Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>C62
初代製品のカタログ落ちから3年(最終生産から8年)、2007年末に完全新規製作でC62が戻ってきました。
初代製品より2回り小さくなり、各部の表現は大幅に向上しました。
2019-2 C62東海道形 2007年 | 2019-2 |
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2019-1 C62 18 2008年 | 2019-1 |
車体上廻りの黒塗装は、初代製品と比べると若干赤みが加わっているような色調で、細かい銀色の粒子が混じっています。
初回動力です。電車用GM-3モーターがボイラー前方に後ろ向きに取り付けられており、キャブ内にしっかりした空間とバックプレートがあります。 この構造のためか重連に向かず(特に下り坂でスリップと粘着を断続的に繰り返し、ガクガク振動することがある)、重連用カプラーは付属していません。単機でも場合によっては下りでガタガタします。 |
前照灯はチップLEDにより黄橙色に点灯しますが、導光材が目立たずすっきりした構造です。また、煙突を回すことによって遮光され、消灯もできます。後にトミックスのC57 135が同じ機構を採用したので、蒸機の消灯機構のスタンダードになったかもしれません。 ナンバープレートは赤ベースで選択式ですが、ランナーから手でもぎ取ってはめ込むだけで取り付けられ、従来品に比べて格段に簡単になっています。18号機は特定ナンバー機なのでナンバー取り付け済みです。テンダー後部カプラーはKATOの日本型蒸機としては初めてナックルカプラーになっていますが、交換用のアーノルドカプラーも付属しています。 薄いデフは前デッキと一体のプラ製で、裏側のリブもモールドされています。カプラー解放テコは引き抜いて取り外すことができ、その後ろの給水温め器箱の前面を交換することによって、ヘッドマークの有無を選択することができる面白い作りになっています。 静かで滑らかに走る模型ですが、良いものに当たるとモーターの音がほとんどせず、ゆっくり走らせるとほとんど無音になりました。中には調子の悪いものもあるので、(これに限らず蒸気機関車は)必ず動きを確かめてから買うのがよいです。 |
あちこちに新しい技術や工夫があって、古くからのKATOのファンにとっては驚きの連続だったろうと思います。
詳しくはこちらをどうぞ→C62東海道形|C62 18
現行製品第一弾だったC62東海道形は、2010年の生産を最後に品切れとなっていましたが、2021年に新動力(コアレスモーター)に変更されて再登場しました。
2017-7 C62東海道形 2021年 | 2017-7 |
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2017-8 C62 2 東海道形 2021年 | 2017-8 |
コアレスモーター動力は、2011年のC62 北海道形以降、C62シリーズの標準仕様となっているものです。これにより初回動力の苦手だった走行場面でも問題なく走れるようになりました。ただし重連やバック運転の必要性がもともと少ない東海道形ということでしょうか、重連用カプラーはやはり付属していません。
外観形状で最も変わったのはフロントで、デフが最近の薄型表現になり、ライト形状も変更されました。解放テコにエアホースが一体表現されるなど、その後のシリーズで採用された表現も取り込まれています。 空気作用管の配管留めも黒色となり、シリンダー空気弁やコンプレッサーなどに金色表現も追加されました。
初回製品の特長であった、煙突を回して消灯する仕組みは省略されてしまいました。無理に回さないよう注意です。
東海道形【初回動力】の次に発売された製品で、人気の2号機・3号機から発売されました。新動力はこれらの製品から採用されたものです。
現在のKATOのC62シリーズの原形仕様となっている模型です。
2017-2 C62 2 北海道形 2011年 | 2017-2 |
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2017-3 C62 3 北海道形 2011年 | 2017-3 |
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2017-1 C62 北海道形 2013年 | 2017-1 |
現役末期の北海道での運行をイメージし、東海道形とは違ったつや消し塗装になっています。この塗装にも細かい銀粉が散らされる隠し味があり、精密なディテールも手伝って重量感があります。
その後の標準となった新動力ユニットです。モーターは前年のD51 498で開発されたコアレスモーターに変更され、フライホイールも2個になりました。GM-3モーター特有のコギングがなくなったため、出発の瞬間から滑らかに動くようになりました。 |
他のコアレスモーター機と同様、かなり低出力から動き出すようになったため、ライトは動き出してから点灯するようになりました。
初回品のライト基板は当時のD51 498と同じ白色LED(+オレンジ色の着色フィルター)でしたが、点灯時の明るさはD51 498に比べると暗めでした。
2017年のC62 2・C62 3の再生産品では、ライト基板が電球色に変更されており、着色フィルターもなくなって少し明るくなっています。
2号機と3号機のナンバープレートの高さの違いも表現されています。煙室扉ハンドルの位置も変えてあるなど遊び心も感じます。
スノープローと前ステップは一体です。スノープローを外すとステップもなくなりますが、代わりに取り付けるステップのパーツも付属しています。
付属の重連用カプラーはアーノルド形とナックルタイプの2種で、先台車に取り付ける方式ですが、スノープローは別体となっているため、重連時もスノープローの有無を選べます。
2号機と3号機は、2017年に最初の再生産があり、一部の部品が変更されました。
2017-2 C62 2 北海道形 2017年 | 2017-2 |
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2017-3 C62 3 北海道形 2017年 | 2017-3 |
いずれも、外見的には初回品とほとんど変わりません。価格も初回と同じです。
→C62 2・3北海道形 2017年再生産(KATO)
この再生産の際、関連製品として「2017-9 C62 2 梅小路機関区“1972”」も製造され、KATO京都駅店限定で販売されています(後述)。
2017-5 C62 山陽形(呉線) 2016年 | 2017-5 |
前年末に発売されたC59 戦後形(呉線)と関連した商品です。基本的には前回の北海道形と同様の構造ですが、デフが薄く感じがよくなり、一風変わっていたテンダー下のATS車上子が普通の形状になりました。ライト消灯機構はなくなりました。
新しいC62シリーズの特徴であった、細かい銀色をまぶした塗装は変更され、通常の黒塗装となりました。くっきりした白線が入っていることもあって、新しい感じの外観です。
→C62 山陽形(呉線)
2017-6 C62 常磐形(ゆうづる牽引機) 2019年 | 2017-6 |
常磐形ということで特定機というわけではありませんが、昭和42年頃の23号機がプロトタイプとされています。
煙突が短いのが特徴で、通常タイプの煙突も付属しており、交換が可能です。22号機に装着することを狙ったスノープロウも付いています。
そのほか副灯の付いた前面、低い位置にある空気作用管、カバーのない動力逆転器など、各種の特徴が表現されています。
→C62 常磐形(ゆうづる牽引機)
2017年に、C62 2 北海道形が再生産された際、KATO京都駅店から限定販売品として、梅小路機関区タイプの2号機が発売されました。
京都駅店で通常商品を加工した特製品とは違い、KATO製造のれっきとしたメーカー品(京都駅店限定販売品)です。従ってメーカー品番も与えられていますのでご紹介します。ネット予約も受け付けられて全国で購入できました。
複数の製品の混合体であり、ボイラー部は3号機、テンダーとデフ周辺は2号機、煙室扉は新規作成というのが基本です。
2017-9 C62 2 梅小路機関区“1972” 2017年 |
2017-9 |
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2017-K C62 2 梅小路機関区“京都駅店5周年記念” 2021年 |
2017-K |
こちらにも書きました。→C62 2 梅小路機関区(品番2017-K)のパーツ構成
これらの煙室扉パーツには、煙室扉ハンドルが十字形の専用品が使用されています。
元が北海道形のため、煙突を回すライト消灯機構も健在です。
C62 2 北海道形 | C62 2 梅小路機関区“1972” |
登場時から9mmゲージの普及に大きな役割を果たし、数々の作品の加工ベースとなってきました。
約1/140と大柄で、ボイラーの外径は1/130くらいになっています。今となってはやはり大きい印象が強いですが、上手にデザインされていたため、実物の雰囲気を十分味わうことができました。
203 C62 1971年 | 203 |
初期製品の発売は1971年製と古く、旧C11と同じ年の発売です。ボイラーが太いので、当時のモーターでも何とか直接駆動方式にできたのでしょう。初期の製品のプラケースの裏には、予定品としてD52とD62も印刷されていました。
ナンバープレートはシール式で、先台車はフランジが低く、その軸距離も最終製品より1mm広くなっていました。先台車と従台車は金属板の折り曲げでした。
最初期は動輪にヤスリ状の滑り止め加工がありましたが、その後なくなりました。
登場時の「鉄道模型趣味」誌の製品の紹介では、一定の理解を示しつつもオーバースケールな点、全体のデフォルメのバランスについての指摘はしっかり入っていました。ただしC11に比べれば多少マイルドな指摘でした。
1978年のリニューアルで、初の金属製ロッドが採用されました。第1動輪がロッド連動になり、第3動輪にゴムタイヤが装着されました。
当時の広告で「10輌の客車を引いてスイスイ走ります」とあります。
203 C62 1978年 | 203 |
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203→2003 C62 1980年 | 203→2003 |
先台車と従台車は金属のブロック式に変わりました。重みを持たせて脱線しにくくしているようです。先台車の軸距離も短くなりました。
当初はモーションプレート〜バルブスピンドルガイドが黒成形であり、足元が引き締まった感じでしたが、1980年製品では元の銀灰色に戻りました。従台車とテンダー台車の色も途中で黒から暗いグレーへと、わずかに明るくなっています。品番2003の途中から、先輪がハイフランジになり、動輪がC57と兼用になりました。そのため下廻りの印象が少し変わってしまいました。
2003 C62 | 2003 |
初代製品の登場時 |
初代製品の登場時 登場当時の広告の一部です。キャブいっぱいのモーターは、取り外して撮影されていますね。下側に見える青写真は、発売予告されていたD51です。日本型9mmゲージがいよいよ活気付いてきた時代です。 ※1971年関水金属広告より画像引用 |
プラ製ロッド時代の動力 |
プラ製ロッド時代の動力
動輪はすべてギア連動のため、ギアが3つ露出しています。ゴムタイヤはありません。最初期は踏面にヤスリ状の加工がありましたが、すぐ通常の車輪に変更されています。 | |
最終期の動力 |
最終期の動力
第1動輪は金属製ロッドだけで連動しています。先・従台車は自重で粘着する方式です。最後に先輪フランジが高いものに変わったため、台枠に当たってショートすることがありました。動輪もC57の流用に変わりました。 |
C62は地味に先・従台車からも集電されているので、もし分解したときは車輪(片側絶縁)をはめ込む方向を間違えないようにします。
生産時期が長期にわたるため、他にも細々とした違いはありますが、性能に影響するほどのものはないと思います。モーターも最後までFM-5タイプ(片軸)でした。
配管などのモールドは立体的で、とても50年前の設計とは思えません。 |
デフはD51以降の製品と違い、フロントデッキに接着されています。 | 実物の前面です(復活3号機)。模型の印象把握の上手さがわかります。 |
2004年12月、33年間走り続けたこのロングセラーのC62も、とうとう製品カタログから落ちてしまいました。本当にお世話になりました。
新シリーズが充実した今でも、たまに走らせています。