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登科後解嘲 | |
宋・詹義 |
讀盡詩書五六擔,
老來方得一靑衫。
佳人問我年多少,
五十年前二十三。
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登科 後嘲 りを解 く
讀み盡 くす 詩書 五六擔 ,
老來 方 に得 たり 一靑衫 。
佳人 我 に問ふ年 の多少 を,
五十年前 二十三。
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◎ 私感註釈
※詹義:宋代の人か。七十三歳の老齢になって、科挙(=官吏登用試験)に合格した人。
※登科後解嘲:科挙の試験に合格した後、(他人から受けた)あざけりに言い訳をする。 ・登科:科挙の試験に合格する。 ・解嘲:(他人から受けた)あざけりを取り繕う。他人からの悪口に対し、言いわけをする。照れ隠しをする。
※読尽詩書五六担:『詩経』と『書経』をはじめとする書物・三、四百キログラム分を読み尽くして。 ・詩書:詩を集めた書。詩集。また『詩経』と『書経』。ここは、前者の意。清・石達開の『入川題壁』に「大盗亦有道,詩書所不屑。黄金若糞土,肝膽硬如鐵。策馬渡懸崖,彎弓射胡月。人頭作酒杯,飮盡仇讎血。」とある。 ・担:重量の単位の意。(宋代)1担=100斤。≒71kg。〔重量の単位の意ではdan4去声●で、韻脚とはならない。韻脚とすれば〔dan1○平声十三覃〕で、当然ながら字義が変わる:⇒(動詞)になう。かつぐ。負う〕。 ・五六担:500~600斤。≒355kg~426kg。
※老来方得一青衫:年をとってから、やっと(科挙の試験に合格して、)下級官吏の着る服を手に入れた。 ・老来:年とってから。老後。 ・方:やっと。まさに。ちょうどその時に。いままさに。ちょうどいま。 ・青衫:〔せいさん;qing1shan1○○〕ひとえの短い衣で、地位の低い官吏の着る服。青い色の着物。また、若者。書生。中唐・白居易の『琵琶行』に「淒淒不似向前聲,滿座重聞皆掩泣。座中泣下誰最多,江州司馬青衫濕。」とあり、南宋・陸游の『訴衷情』「青衫初入九重城,結友盡豪英。蝋封夜半傳檄,馳騎諭幽并。 時易失,志難成。鬢絲生。平章風月,彈壓江山,別是功名。」
とあり、南宋・劉克莊の『戊辰即事』に「詩人安得有靑衫,今歳和戎百萬縑。從此西湖休插柳,剩栽桑樹養呉蠶。」
とある。
※佳人問我年多少:佳人が私に、「年齢はどれほどになるのか」と尋ねてきたら。 ・佳人:美人。 ・多少:どれほど。
※五十年前二十三:五十年前には、二十三歳(の若者)であった(と答えよう)。(つまり、今は七十三歳(の老人である)と)。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「(担)衫三」で、平水韻下平十五咸(衫)・下平十三覃(三)。「担」は韻脚ではない。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●●,
●○○●●○○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2019.10.2 10.3 |
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