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題李凝幽居 | |
賈島 |
閒居少鄰並,
草徑入荒園。
鳥宿池邊樹,
僧敲月下門。
過橋分野色,
移石動雲根。
暫去還來此,
幽期不負言。
******
李凝の幽居に題す
閒居 鄰並 少に,
草徑 荒園に 入る。
鳥は宿る 池邊の樹,
僧は敲く 月下の門。
橋を過ぎて 野色を分かち,
石を移して 雲根を動かす。
暫く去りて 還た 此に來る,
幽期 言に負かず。
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◎ 私感註釈
※賈島:中唐の詩人。779年(大暦十四年)~843年(會昌三年)。字は浪仙。范陽の人。初め、僧侶で無本と号し、後、韓愈に認められて還俗、仕官した。五言律詩にすぐれる。
※題李凝幽居:李凝の隠棲している閑居についての詩を作る。 ・題-:…につき詩を作る。 ・李凝:不詳。李疑ともする。 ・幽居:静かなわび住まい。
※閒居少鄰並:李凝の隠棲している閑居は、隣り合う家が少なく。 ・閒居: ・少:まれである。 ・鄰並:隣り合う住まい。隣居。
※草徑入荒園:草深い小道は、荒れて雑草の生い茂る田園に入っている。 ・草徑:草深い小道。田舎道。 ・荒園:荒れ果てた畑。
※鳥宿池邊樹:鳥は、池の畔の樹々に宿っており。 ・池邊:池の畔。「池中」ともする。「鳥宿池中樹」では、意味が捉えにくい。「大正池」の木のような感じではなく、池の上に枝を突きだした木か。
※僧敲月下門:外出から帰ってきた僧が月の光の下で門をたたいている。 ・敲:たたく。ここのくだりが「推敲」という語の由来。作者・賈島が「僧敲月下門」か「僧推月下門」がいいか、悩んでいる内に、京兆伊の行列に行き当たったが、京兆伊であった韓愈は、これを咎めることなく、「『敲』がいい」と助言した、いわく附きの詩。
※過橋分野色:橋を渡ると野原の景色や雰囲気が変わり。 ・過橋:橋を渡る。 ・分:分かつ。分け隔てる。 ・野色:野原の景色。
※移石動雲根:(庭に山中より雲を湧かせる立派な)石を移しているので、雲を起こしている。 ・移石:李凝の幽居の庭には、山より石を運んできて庭石として置いていることを謂う。或いは、「雲根」を石を移すかのように動かしているさまを謂う。*分かりづらい部分である。 ・雲根:石の別名。雲は石に触れて生じるので謂う。また、山の高い所。雲は山から生じるので謂う。ここは、前者の意か。
※暫去還來此:暫(しばら)く去っていて、また(今日)、ここに来たが。 ・暫:しばらく。 ・還:また。なおまた。 ・此:李凝の幽居を指す。
※幽期不負言:奥ゆかしい出会いの時期は、ことば通りであった。 ・幽期:奥深い約束。 ・不負:そむかない。 ・言:(声に出して言う)ことば。
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◎ 構成について
韻式は、「AAAA」。韻脚は「園門根言」で、平水韻上平十三元。この作品の平仄は、次の通り。
○○●○●,
●●●○○。(韻)
●●○○●,
○○●●○。(韻)
◎○◎●●,
○●●○○。(韻)
●●○○●,
○○●●○。(韻)
2008.10.9 |
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