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亂後曲江 | |
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唐 王駕 |
憶昔爭遊曲水濱,
未春長有探春人。
遊春人盡空池在,
直至春深不似春。
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亂後の曲江
憶 ふ昔曲水 の濱 に爭ひ遊びしを,
未だ春ならざるに長 に探春 の人 有りき。
遊春 人盡 きて空 しく池 在り,
直 ちに 春の深くなるに至るまでは 春に似ず。
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◎ 私感註釈
※王駕:晩唐の詩人。大中五年(851年)~?)。字は大用。自ら守素先生と号した。
※乱後曲江:乱の後の曲江(の風情)。 ・乱:(時期的に)黄巣の乱を指すか。作者在世の九世紀後半の主な変乱は:牛李の党争(=牛僧孺党派と李徳裕党派の政争)、859年の裘甫の乱、868年の龐勛の乱、874年頃からの黄巣の乱等。 ・曲江:長安中心部より東南東数キロのところにある池の名。また、地名。唐代に再開発された風光明媚な池。盛唐・杜甫の『曲江二首』其一に「一片花飛減卻春,風飄萬點正愁人。且看欲盡花經眼,莫厭傷多酒入脣。 江上小堂巣翡翠,苑邊高冢臥麒麟。細推物理須行樂,何用浮名絆此身。」
大きな地図で見る現・西安市(長安)東南東に曲江郷(曲江乡)とある。
下図は曲江の拡大図
大きな地図で見るとあり、『曲江二首』其二に「朝囘日日典春衣,毎日江頭盡醉歸。酒債尋常行處有,人生七十古來稀。穿花蛺蝶深深見,點水蜻蜓款款飛。傳語風光共流轉,暫時相賞莫相違。」
とある。
※憶昔争遊曲水浜:昔を思い起こせば、(人々は)きそって、曲水の水辺で遊んだもので。 ・憶昔-:(…を)思い起こせ(ば…)。昔のことを思い起こす。盛唐・杜甫の『哀江頭』に「少陵野老呑聲哭,春日潛行曲江曲。江頭宮殿鎖千門,細柳新蒲爲誰綠。憶昔霓旌下南苑,苑中萬物生顏色。昭陽殿裏第一人,同輦隨君侍君側。輦前才人帶弓箭,白馬嚼齧黄金勒。翻身向天仰射雲,一笑正墜雙飛翼。明眸皓齒今何在,血汚遊魂歸不得。清渭東流劍閣深,去住彼此無消息。人生有情涙霑臆,江草江花豈終極。黄昏胡騎塵滿城,欲往城南望城北。」とある。 ・曲水:曲水宴のこと。=流觴曲水。上巳(陰暦三月上旬の巳の日)の節に水辺で宴を開いた故事。我が国では「曲水(ごくすゐ)」。 ・浜:みずべ。
※未春長有探春人:まだ、春になりきっていないのに、春の景色の優れているところをたずね歩く人がいつもいたものだった。 ・春:春になる。「未春」と、動詞として使う。 ・長:〔ちゃう;chang2○〕つねに。=常〔しゃう(じゃう);chang2○〕。 ・探春:春の景色をさぐる。春の景色の優れているところをたずね歩く。
※遊春人尽空池在:春を遊ぶ人が尽(つ)きて、人気(ひとけ)のない池(だけ)がある。 ・尽:尽(つ)きる。 ・空池:人気(ひとけ)のない池、の意。
※直至春深不似春:晩春になるまでは、春らしくない。 ・直至-:〔zhi2zhi4●●〕…になるまで。 ・春深:晩春になる。陰暦・三月になる。動詞としての用法。 ・不似春:春らしくない、の意。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「浜人春」で、平水韻上平十一真。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
○○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2017.12.16 12.17 12.18 |
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