■ この住宅は、私鉄の駅から徒歩10分ほどの都市的環境の敷地に、最小限の居住空間と設備を確保することを目的に計画されたものです。
■ 南の隣家によって敷地は充分な日照を得ることができないことから、建物本体は西側の前面道路からのアプローチを受けて北側・東側にL字型の平面計画とし、屋根面に受ける太陽エネルギーを利用できるOMソーラーを空調計画の主役となるように設計しました。
■ 建物が都市空間のなかで占める全体的なヴォリュームをまず設定して、その中を住まい手の要求に対応すべく、やわらかに分節していきました。OMソーラーが建物全体の熱環境をコントロールするシステムであるという事と、ワンルーム的な内部空間を形成したいという計画的要求とが建築的に重なり合って、この住まいの空間は成り立っています。
■ 建具は徹底して引き戸を用い、人の通過するところにはレールのない吊戸を採用して、空間の連続性を、高めようとしています。
■ 材料は、なるべく身近で自然なものを選択しています。外周壁のインテリア側は珪藻土で、間仕切壁はシナベニア。二階床の杉板はそのまま一階の天井材となっています。外周壁と、内部を分節する材の仕上げを変えたことも、空間をワンルーム的に見せることに役立っていると思います。
所在地/埼玉県和光市
構造/木造二階建て
竣工/1999年
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