■ まだ周辺に畑の点在する静かな住宅地での、6人家族のための住宅です。特に狭い敷地ではありませんが、ミニ開発的な環境の行き止まりに当たっていて、その敷地の持つ法的問題に対応するため、最小限のヴォリウムでの準耐火建築物という対応が求められました。
■ 老夫婦をふくむ家族構成ですが、いわゆる二世帯住宅としての計画はしませんでした。水まわり等を共有することで、何とでもなる空間をよけいに残しておくことのほうが有効であろうと、話し合いのなかから方向を見出していきました。この部屋は何の部屋、と、機能的に一対一対応させて造り込んでいくことよりも、家族構成を含めた時間的な変化に柔軟に答えていけるような、フレキシブルな計画が要求されたのです。そのため、計画可能な大枠の覆いをまず設定し、その中を、極力可動な間仕切りでやわらかく分節していくという構成を採用することになったのです。
■ ここでの部屋は、入り口がひとつだけの独立した行き止まりの空間ではなく、大きな覆いのなかの場の連なりのなかに位置を占める小さな空間となるように計画しています。
■ 中央の吹き抜けは、家族全体の視線や声が交差する媒体です。ここを介して、だれがどこにいるのか、気配がそれとなく伝わります。また、一階からも屋根のかたち・覆いの全体像をとらえることができます。
■ 各部屋相互は、熱環境としても繋がっていくため、OMソーラーを採用しました。また、全体の覆い=外周壁と、分節するものとしての間仕切壁=内壁とを仕上げの上でも区別して、個室の集合としての住宅ではなく、家全体の覆いとしての空間性を表現しようとしました。
所在地/東京都世田谷区北烏山
構造/木造二階建て
竣工/2000年
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