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神明台の家


<リフォームか新築か>

■ さいたま市浦和区、神明台という高台の住宅地での、住宅の建て替えです。以前は築40年ほどの平屋の住宅が建っていました。南側に、緑たっぷりの庭をもち、家の中央の居間から、その庭へ、さらに前面の道まで、ゆるやかに繋がっていくような住まいでした。建て主さんご家族はその家とそこでの住まい方に愛着があり、リフォームで検討していた時期もありました。しかし、育ち盛りの子供たちの空間の狭さ、改装を重ねた水回りなどの機能的問題、さらに構造面などから、ソフトを引き継ぎながら、ハードは新築という方向になりました。


<配置計画との関連>

■ 50坪の敷地は比較的広い南側道路に面し、その道路を挟んだ土地は一階分ほど高くなっていて、その上に三階建てなどの住宅が建っているので、南からの日照条件は不利です。建て替えにあたり、東の二項道路からのセットバックが発生し、建物の東西方向の間口は制限されます。南からの引きをとるために、建物は北側に寄せた二階建てとし、太陽熱を屋根面で受けて、床下から室内に循環させるソーラーシステムを採用することにしました。さらに深夜電力を利用した蓄熱暖房のシステムも用意しました。


<「まち」と「いえ」の間> 

■ かつての家のたたずまいを引き継ぐために、街路からの直接の視線を遮りつつも、「まち」と「いえ」が柔かく浸透しあうように、間の空間を重視しました。すなわち、室内から前面道路への間に、雪見障子、ルーバー付サッシ、庇のかかったた濡れ縁、前庭の植栽、木製格子の垣根が、層状に展開しています。玄関前の空間も、「まち」と「いえ」の関係を調整しています。


<内部計画> 

■ 「いえ」の中心となる居間の上部に吹き抜けを設けて、二階の子供部屋などの諸室が、吹き抜けを囲むように計画しました。このことは、ソーラーシステムで暖められた空気の循環を助けます。回遊動線の多い、機能的に柔軟なプランです。


<材料面> 

■ 外観で、南に面した壁と、外構の板塀にペイントされた板を用いたのは、元の家の色のイメージを引き継いでいるもので、南の道への「向き」を強調する役目も担っています。また、元の家の床材を、出窓の窓台などに部分的に再利用しています。庭には、県産木材のチップをご家族で敷きました。

  

所在地/埼玉県さいたま市
構造/木造二階建て
竣工/2007年

南側道路に面した外観

一階、庇下のウッドデッキから、庭を通して南側道路を見る

居間。上部に吹き抜け

居間から食堂方向

二階、吹き抜けまわり

二階、子ども部屋

二階、予備室

一階、洗面
Photo : Yasuyuki Aoyama


二階、主寝室
Photo : Shigeyuki Tanaka
断面パース
隣地(北)から、庭・街路(南)へと切った、断面パース
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