■ 戸建住宅やアパート・マンションなど、さまざまな住宅が混在する環境に建つ、二世帯住宅です。敷地の広さに余裕があり、様々な配置が検討されましたが、周囲に高い建物があることなどから、建物全体を北側道路がわに寄せた上で、中庭を囲むような「コの字」型の平面構成が導かれました。二世帯の構成としては、中央の玄関とホールを共有し、入ったところで左右に振り分ける分離型が求められました。
■ 要求された室数が多く、かつ個々の部屋の性格も異なっていたため、空間を繋げていくというより、どう分節していくかがプランニングの焦点でした。いわゆるLDKも単に一室空間としてつくるのではなく、スキップフロアで高さの分節を作り出しています。それでも温熱環境的には連続していく空間なので、OMソーラーによって空気の循環を促すシステムをとっています。東西に長い2階の屋根形状は、OMの集熱面を多く取る上で有効でした。
■ 北側の前面道路に対しては塀を全面に立てるのではなく、町屋的な接し方をとっています。1階を下屋のように表現することでスケールを押さえ、人通りも多い道なので、要所にスクリーン的な構えを設けて関係を調整しています。
■ かつてのお住まいで使われていた欄間や書院の建具など、また何本かの樹木や石なども再び利用され、記憶を繋げることも試みられました。
所在地/鹿児島県鹿児島市
構造/木造二階建て
竣工/1986年
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