■ 周囲に緑が多い環境のなかで開放的な住まい方をかたちにした住宅です。2世帯住宅という計画条件を、1階に親世帯の寝室と共用空間、2階に子世帯(両親と子供たち)の寝室と最小限の水周りいう構成でまとめています。すなわち、2世帯をいかに分けるかというより、共用できるものは最大限共用しながら、やわらかく繋がっていく生活像が求められました。
■ 1階平面の周囲にはっきりした機能を持つ諸室を配置し、残った中央が主室(リビング・ダイニング)となります。その上部に吹き抜けを設け、その吹き抜けに2階の諸室が結びつく構成です。さらに2階もロフトを介して連続しています。これは、開放的な家族の住まい方を促しますが、閉じる可能性も準備しています。また主室ではサンクン・フロアから外のテラスへも空間が連続し、垂直・水平それぞれに空間の繋がりが実現しました。
■ 空間の繋がりをさらに視覚化するために、壁面の仕上げ材料を使い分けています。すなわち、外周壁と二階の天井には珪藻土とペイントによる白い面(大壁)を。間仕切り壁と二階床は、木を表して(真壁)、大きな覆いのなかを、木軸で仕切っていくという表現です。このことで、開きながら閉じるという二重性が目論まれています。
■ 設備的には、屋根で太陽の熱を受ける簡易OMソーラーが建物全体の熱環境をコントロールしています。
■ 施工にあたって、一部の壁や床の塗装工事において、建て主さん家族に、積極的に関わっていただきました。自分達の手の痕跡が住まいに残ることは、造る段階から家を生きる経験となったにちがいありません。
所在地/埼玉県川口市
構造/木造二階建て
竣工/2005年
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