2007ミステリ&SFベスト

2008.01.01 by SAKATAM


 2007年に読んだ本(再読を除く)の中から、個人的に面白かったもの(国内新刊・海外新刊・国内旧刊・海外旧刊を3作品ずつ)を挙げておきます。
 題名のリンク先は、もう少し詳しい内容紹介と感想です。

国内新刊
1『首無の如き祟るもの』
三津田信三
 首を切られた女の怨霊に祟られているという旧家で、秘儀の最中に起こる首切り殺人。
 傑作ホラーミステリ・シリーズの第3弾。終盤のサプライズとカタルシスは圧巻。
2『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』
深水黎一郎
 作家のもとに送られてきた、《読者が犯人》というトリックを買い取ってほしいという手紙。
 地味な印象ながら、実現困難な大技を限りなく成功に近づけた意欲作。
3『密室殺人ゲーム王手飛車取り』
歌野晶午
 現実の殺人事件をもとに、ネット上で行われる“推理ゲーム”。ただし犯人は出題者。
 “トリックのためのトリック”に“トリックのための殺人”が満載。
 2007年後半に刊行された“大物”を読んでいないということもありますが、1位の三津田信三がやはりダントツです。
 次点は、山田正紀『雨の恐竜』

海外新刊
1『狂人の部屋』
P.アルテ
 開かずの間のじゅうたんが水に濡れるたび、怪死事件が発生して……。
 鮮烈なカタルシスと見事なバカトリック。現時点でのアルテの最高傑作。
2『悪魔はすぐそこに』
D.M.ディヴァイン
 免職寸前の大学講師が変死。背後には、8年前に大学を揺るがした醜聞が……?
 派手ではないものの、巧みなミスディレクションが仕掛けられた傑作。
3『赤き死の訪れ』
P.ドハティー
 14世紀、真冬のロンドン塔で相次ぐ怪事件。そして横行する墓荒らし。
 伝奇小説としてもよくできた歴史ミステリ。
 トップはアルテの最高傑作、わずかな差でディヴァイン久々の新訳。
 次点は、S.レム『大失敗』

国内旧刊
1『『アリス・ミラー城』殺人事件』
北山猛邦
 孤島の館に集められた探偵たちが、チェスの駒とともに一人ずつ殺されていく。
 孤島の連続殺人、館もの、メタミステリ、そしてサプライズ。
2『作者不詳 ミステリ作家の読む本』
三津田信三
 同人誌『迷宮草子』を読んだ三津田信三は、襲いくる怪異から逃れるために謎を解く。
 三津田信三シリーズ第2弾。連作短編ミステリ+ホラーで二度おいしい作品。
3『神のロジック 人間のマジック』
西澤保彦
 奇妙な<学校>の生徒たちを襲う“邪悪なモノ”。そしてクローズドサークル内の惨劇。
 真相の強烈な衝撃と、切ない結末が圧巻。
 次点は、三津田信三『蛇棺葬』『百蛇堂 怪談作家の語る話』と、北山猛邦『『ギロチン城』殺人事件』
 次点も含めてどうも趣味が偏っていますが……。

海外旧刊
1『死の相続』
T.ロスコー
 奇怪な遺言状に記された順序通りに殺害されていく遺産相続人たち。
 無茶苦茶な展開と怒涛のクライマックスが凄まじい“幻の密室ミステリ”。
2『アララテのアプルビイ』
M.イネス
 見知らぬ孤島に流れ着いた漂流者たちが、奇怪な事件に巻き込まれて……。
 何ともとらえどころがないながら、実に愉快で楽しい作品。
3『オックスフォード連続殺人』
G.マルティネス
 謎の記号が描かれた殺人予告とともに、相次いで起こる不可能犯罪。。
 “数学”が大々的に盛り込まれた、アルゼンチン発の風変わりなミステリ。
 ご覧になればお分かりのように、バカミス大好きです。1位は衝撃かつ笑撃の怪作。
 次点は、W.モール『ハマースミスのうじ虫』とK.ロバーツ『パヴァーヌ』

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