花間集
南�ｸ子
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　李�c

　　　　　　　　　　　　　　　

相見處， 晩晴天， 刺桐花下越臺前。 暗裡回眸深屬意， 遺雙翠， 騎象背人先過水。

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　　　　　　江城子

　　　
相ひ見（まみ）ゆる　處，
晩（くれ）の　晴れたる天，
刺桐の花 の下　　越臺の前。
暗裡に　眸（ひとみ）を回（めぐ）らし　　深く　意を　屬（たく）し，
雙翠を　遺（のこ）し，
象に　騎（の）り　　人に　背むけて　　先（さき）に　水を　過（わた）る。

****************** 私感訳注： ※この作品は『花間集』巻十にある。 ※南�ｸ子：詞牌の一つ。馮延巳以降、双調の方が一般的だがこれは、初期の単調。 ※李�c：〔りしゅん；li3xun2〕五代十国の前蜀。８５５年？〜９３０年頃。字は�ｺ潤。四川梓州の人。『花間集』には詞三十七首が採録されている。詩集『瓊瑤集』があるが、伝わっているものは三首だけ。 ※相見處：出逢ったところは。見そめたところは。詞の主人公の若い女性が、男性を見そめたところは。 ※晩晴天：夕暮れの晴れた日のことである。　・天：天には「天空」の意とともに、白話では「日」の意味が強い。 ※刺桐花下越臺前：デイゴの花の咲く下の越王台の前で。　・刺桐：デイゴ。南方産のマメ科喬木で、強烈な赤い色の花を著ける。トゲがあることからこの名がある。　・越台：（南越の）越王台のこと。前漢の南越王趙佗が築いた。現在広州市内の越秀山にある。蛇足になるが、越王勾践の臥薪嘗胆で有名な越王台は、紹興市にある。本サイトで屡々現れる越王台は、紹興の方。 ※暗裡回眸深屬意：こっそりと瞳（ひとみ）をめぐらして深い思いを含んで。　・暗裡：ひそかに。こっそりと。　・回眸：ひとみをめぐらす。瞳を動かして。白居易の『長恨歌』に「回眸一笑百媚生，六宮粉黛無顏色。」とある。　・屬意：期待する。望みをかける。意を含んで。思いを含んで。なお、「屬」は、普通、〔shu3〕と言うが、この意味の場合は〔zhu3〕と言う。 ※遺雙翠：一対のヒスイのかんざしを（わざと）落として。　・遺：〔白話〕ぬかす。なくす。紛失する。　・雙翠：一対のヒスイのかんざし。 ※騎象背人先過水：ゾウに乗って、（男にはわざと）背を向けて、さきに川を渡って（、密会の場所に出かけて）いく。　・騎象：ゾウに乗る。李�cの一連の南�ｸ子に「漁市散，渡船稀，越南雲樹望中微。」というのがあり、やはり南方の風物を詠んでいるのがよく分かる。　・背人：後ろを向く。背を向ける。　・先：さきに。　・過水：川を渡る。 ◎　構成について 　　単調。三十字。換韻。韻式は「ＡＡｂｂ」。韻脚は、「天前」は詞韻第七部一先。「意翠水」は第三部仄声（上声：四紙去声：四（＊）の通用。次の詞調はこの作品のもの。 　　　　　　　 　　　　　　 　　　　　　　　　　 　　　○●●， 　　　●○○。（平韻） 　　　●○○●●○○。（平韻） 　　　●●○○○●●，（仄韻） 　　　○●◎○○◎●。（仄韻）

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