客心爭日月,
來往預期程。
秋風不相待,
先至洛陽城。
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蜀道期に後(おく)る
客心 日月と 爭ひ,
來往 預(あらかじ)め 程を期す。
秋風 相ひ 待たず,
先に 至る 洛陽城。
◎ 私感註釈 *****************
※張説:〔ちゃうえつ;Zhang1 Yue4〕盛唐初めの人。667年(乾封二年)〜730年(養老十八年)。玄宗の時代、中書令となり、燕国公に封ぜられる。
※蜀道後期:蜀から洛陽の都への規程がずれて予定した期日に遅れをとってしまった。 ・蜀道:都から蜀(四川地方)に達している道筋。『蜀道難』の「蜀道」の意ではなかろう。また、唐代では道州制が敷かれていたがそれでもない。今、『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)で調べているところ。 ・後:おくれる。あとになる。 ・期:時(とき)。一定の時日。名詞。
※客心爭日月:旅先での心細い気持ちから、季節の推移に負けないように進もうとしてきた。 ・客心:〔かくしん;ke4xin1●○〕旅先での心細い気持ち。 ・爭:作者の移動と季節の推移との競争をいう。 ・日月:月日の運行。時間の経過。 *何とはなく、『懷風藻』にある大友皇子の『侍宴』「皇明光日月,帝コ載天地。三才竝泰昌,萬國表臣義。」(皇明 日月と光(かがや)き、…)を聯想する。
※來往預期程:(というのも)行き来する日程は、あらかじめ前もって決めておいた(からだ)。 ・來往:行って帰ってくる。行き来する。往来する。 ・預:あらかじめ。前もって。 ・期:日時を決める。時を知る。また、約束する。願う。詩題『蜀道後期』の「期」は名詞の用法だが、ここでは動詞の用法をとっている。 ・程:道のり。割り当て。ほど。度合い。
※秋風不相待:(しかしながら)秋の季節を知らせる風は(わたしを)待っていてくれないで。 ・秋風:秋の季節の訪れを悟らせる風。秋風 ・相待:…を待っていてくれる。 ・相…:動作が相手に及ぶ表現。
※先至洛陽城:先に洛陽の街に着いてしまっていた。 *洛陽は既に秋色を帯びていた、ということ。 ・先:(わたしよりも)さきに。 ・至:物事や場所に着く。達する。いたる。 ・洛陽城:洛陽の街。
◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「程城」で、平水韻下平八庚。平仄はこの作品のもの。
●○○●●,
○●●○○。(韻)
○○●○●,
○●●○○。(韻)
2006.8.13 8.14 8.15 8.19 |
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