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| 巴陽夜泊 | |
| 明・施敬 | |
獨棹三巴夜, 
天高片月孤。
淮聲將客夢,
萬里下東呉。
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巴陽夜泊
獨棹 三巴 の夜,
天 高くして片月 孤なり。
淮聲 客夢 に將 び,
萬里 東呉に下 る。
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◎ 私感註釈
※施敬:明代の人。字は孟荘。銭塘(現・浙江省杭州)の人。雲南に謫居した。
※巴陽夜泊:巴の国(四川省東部)の山々の南で、(船旅で、)夜に碇泊する。 ・巴陽:巴山の南面。四川省東部の山々の南面。 ・巴:春秋時代の古国名で、現・四川省東部。 ・夜泊:船旅で、夜に碇泊する。唐・張繼の『楓橋夜泊』「月落烏啼霜滿天,江楓漁火對愁眠。姑蘇城外寒山寺,夜半鐘聲到客船。」とある。
※獨棹三巴夜:ただひとつの舟(の旅)で、三巴(四川省東部)の夜。 ・獨棹:ただひとつの舟。≒孤舟。 ・棹:〔たう;zhao4●〕さお。 ・三巴:巴・巴東・巴西の三郡の地域のことで、現・四川省東部一帯を指す。
※天高片月孤:夜空は高く(澄みわたっているが、星はなく)、かたわれ月がぽつんとある。 ・片月:〔へんげつ;pian4yue4●●〕かたわれ月。ゆみはり月。 ・孤:ぽつんと離れてひとりであるさま。
※淮声将客夢:(同乗の旅人が旅先で故郷を想って)見る夢のため、淮地方の方言を帯びて(寝ぼけ声を出している)。 ・淮声:淮地方(長江中下流域である安徽省・江蘇省)の方言。江淮方言。 ・将:帯びている。 ・客夢:旅先で(故郷を想って)見る夢。
※万里下東呉:(そうだ、この船便は)遥々(はるばる)と、江蘇・浙江まで下っていく(舟なのだった)。 ・東呉:現・江蘇省・浙江省の東部一帯。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「孤呉」で、平水韻上平七虞。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○◎●●,
●●●○○。(韻)
| 2012.3.17 3.18 | 


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