柳巷 | |
中唐・韓愈 |
柳巷還飛絮,
春餘幾許時。
吏人休報事,
公作送春詩。
******
柳巷
柳巷 還 た飛絮 ,
春餘幾許 の時ぞ。
吏人 事を報ずるを休 めよ,
公 春を送るの詩を作らん。
****************
◎ 私感註釈
※韓愈:中唐の文人、政治家。768年(大暦三年)〜824年(長慶四年)。洛陽の西北西100キロメートルの河陽(現・河南省孟県)の人。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)44−45ページ「唐 都畿道 河南道」にある。字は退之。諡は文公。四六駢儷文を批判し、古文復興を倡えた。仏舎利が宮中に迎えられることに対して韓愈は、『論仏骨表』を帝(憲宗)に奉ったが、却って帝の逆鱗に触れ、潮州刺史に左遷された。唐宋八大家の一人。
※柳巷:「柳巷」は柳を並べて植えてある街路。なお、「柳巷花街」は、花街(色町・遊郭)のことだが、関係は無かろう。
※柳巷還飛絮:柳並木の街筋は、なおまた風に飛び散る花で(いっぱいで)。 ・還:また。なお。 *「柳巷還飛絮」の句の「還」は、すぐその後の動詞・「飛」に係る。上記の読み下しで「還(ま)た飛絮(ひじょ)」とした。「還(ま)た絮(じょ)を飛ばす」も可か。 ・飛絮:風に飛び散るヤナギの花。
※春余幾許時:春の名残(なごり)も、後どれほどだろうか。 ・春余:春の末。春の名残。 ・幾許:いくばく。どれほど。何ほど。
※吏人休報事:下役人よ、(しばし)報告文書の手を止めよ。 ・吏人:下役人。「官」は天子から任命されるが、「吏人」は官庁の長から任命される。 ・休:やめよ。禁止の表現。 ・報事:報告文書。出来事を報告する下級役人の事務。
※公作送春詩:吾輩(わがはい)が春を送る詩を作ろう。 ・公:自称。「吾輩(わがはい)」。また、高官。ここでは、作者を指す。
***********
◎ 構成について
この作品の平仄は、次の通り。韻式は、「AA」。韻脚は「時詩」で、平水韻。
●●○○●,
○○●●○。(韻)
●○○●●,
○●●○○。(韻)
となる。
2021.11.14 11.15完 |
次の詩へ 前の詩へ 抒情詩選メニューへ ************ 詩詞概説 唐詩格律 之一 宋詞格律 詞牌・詞譜 詞韻 唐詩格律 之一 詩韻 詩詞用語解説 詩詞引用原文解説 詩詞民族呼称集 天安門革命詩抄 秋瑾詩詞 碧血の詩編 李U詞 辛棄疾詞 李C照詞 陶淵明集 花間集 婉約詞:香残詞 毛澤東詩詞 碇豐長自作詩詞 漢訳和歌 参考文献(詩詞格律) 参考文献(宋詞) 本ホームページの構成・他 |