今までのワールド工芸の蒸機と違って、今回のキットでは動力ユニットも自分で組み立てなければなりません。
どんな失敗の可能性があるのかまだわかりませんし、組み立ての手順もやってみなければわからないところがあります。
今回予想される失敗
・ネジやギヤをなくしてしまう
・電気的に短絡してしまい、原因がわからない
・軸穴がきれいに整えられておらず、スムーズに走らない
・組み立て後にネジがゆるみ、分解に苦労する
・極性が逆になってしまう
何から手を付けたら良いのかわかりませんので、大きい部品から始めに作りました。 まず左右のフレームを折り曲げます。今までの車体と異なり、少し厚くてがっちりした真鍮板でできています。 |
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モーターフレームを折り曲げ、モーターをネジ止めします。 モーターフレームは箱型にがっちりハンダ付けすべきか悩みましたが、あとの工程でどのような調整が入るか見当がつきませんでしたので、ここではまだ折り曲げたままととしました。
このモーターは今までのワールド工芸の蒸機のモーターに比べ、かなり小さくなっています。これでパワー不足にならないのか心配です(結果は、問題ありません)。 |
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先ほど折り曲げたフレームに、車輪座を取り付けます。これからそのための準備を行います。 |
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フレームには最終的に車輪座をネジ止めしますが、真鍮板が厚いため、1.4mmのタップでネジを切ります。ただ、この作業はどう考えてもフレームを曲げる前にやったほうがよいです。
タップがなくても何とかなると思いますが、あると大変便利で工作の能率がまるで違います。特に塗装後のネジ止めに関しては、余計な力を入れすぎてドライバーの先で塗装をはがしてしまうような危険が少なくなるので、ぜひ用意しておくことをお薦めします。とりあえずφ1.4があれば十分です。 |
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フレームに2つの車輪座(ギヤのないほう)をネジ止めします。軽く首を振ることが大事です。この動きで線路に車輪が追随して確実に集電し、グリップすることになります。 |
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今度は反対側のフレームに付く車輪座を作ります。 |
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ギヤ側から見たところです。丸い大きい穴の下に、真鍮板が1枚重なったようになっていますが、これがギアスペーサの板です。 |
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先ほどの大きい穴には、両ボス回転座がはまりますが、フチの円盤部が前述のギアスペーサと重なるので、ボスの下あたりで切断します。 |
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切断したところです。 なお、ニッパーはエッチングパーツの切り離し用のほかに、少し太い金属線や金属板も切断できるようなものも用意して使い分けると、道具を傷めずに作業できます。 |
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大ギヤを重ね、反対側の穴から大ギヤ軸を差し込んで、その中心に向こう側からネジを通します。 |
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横から見るとこんな具合です。 |
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そのネジを車輪座の中央の穴に通し、あらかじめタップを立てておいたフレームにねじ込みます。 |
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車輪座は前後の2つあるので、同じように取り付けます。 4枚ある車輪座のうち、なぜか1枚だけはここが曲げられておらず、ヤットコで曲げたのですが固くて苦労しました。でもこの部品はある程度丈夫でないと困ります。 |
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反対側から見たところです。 この段階で、ギヤが軽く回るか必ず確認します。 |
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絶縁材のベースプレートに、完成した2つのメインフレームを差し込みます。 まるで知恵の輪のようで、なかなか入らないかもしれません。説明書の図では下から入れるようになっていますが、私はどうにもうまくいかず、最終的には上から入れたような気がします(必死だったので覚えていません、すみません)。 |
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下から見たところです。4つの車輪座が問題なく動くか確認しておきます。 なお、両ボス回転座には絶縁紙(付属していません)を当てるように指示されていますが、0.3mmほどのクリアランスがありショートの危険もないようなので、取り付けませんでした。 |
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モーターを重ねてネジ止めし、フレームから伸びている細長い端子をモーターの端子にハンダ付けします。 ここは電気配線ですからフラックスは使いません。へたに使うと水洗いできませんし、モーター内部に染み込んでだめにする恐れがあります。 モーターのプラスチック部や、ギアにハンダこてを当てて溶かさないように注意します。 |
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車軸を取り付けます。 両端に金属のスペーサを通し、車輪座の軸受けにはめ込み、ギヤをかみ合わせます。 |
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車輪を圧入してしまうと、もう分解できなくなるので、フレームやギヤに歪みがないかよく確認します。特にネジの緩みは致命傷になります。 左右から車輪を慎重に差しこみ、金属スペーサの内側に入り込むようにゆっくり、まっすぐ圧入します。 4軸あるうち、内側の2軸にはゴム車輪が付くので注意します。 無理に圧入しすぎないよう、車輪の間隔を測りながら慎重に圧入することをお勧めします。 |
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線路に乗せて通電してみます。 また、この状態で前後に押してみて、引っかかりなく動くことを確かめます。 |
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ウォームを差し込み、ちょうど大ギヤの中央に来るようにして、エポキシで固定します(ギヤの固定に接着剤はダメと思っていたのですが、そう指示されていますので)。 ウォームギヤと大ギヤの間に、ハンカチの布地が入る程度の適度な余裕がないとうまく動きません。離れすぎていても大ギヤが削れてしまうので注意が必要ですが、正しく組み立てていれば問題ないと思います。 |
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慎重に電圧をかけて走りを確かめます。動くようならテンダー上部をかぶせ、ウエイト兼石炭をセットして念入りに走行テストします。 テンダー上部をかぶせると動かなくなるようなら、ショートしている可能性があるのでよく調べます。 |
やってみると動力ユニットの組み立ては意外と簡単で、2時間もかかりません。幸い何の調整もなく一度でスムーズに走りました。ただ、車輪を圧入すると分解がほぼ不可能になるので(柔らかいギヤ軸を引き抜かなくてはいけない)、後に不調が発覚した場合、原因を突き止めるのは難しそうです。
次はいよいよ塗装です。ここで失敗すると泣くに泣けません。いつもドキドキします。