不謂殘生兮卻得旋歸, 撫抱胡兒兮泣下沾衣。 漢使迎我兮四牡 ![]() ![]() 胡兒號兮誰得知。 與我生死兮逢此時, 愁爲子兮日無光輝, 焉得羽翼兮將汝歸。 一歩一遠兮足難移, 魂消影絶兮恩愛遺。 十有三拍兮弦急調悲, 肝腸攪刺兮人莫我知。 身歸國兮兒莫之隨, 心懸懸兮長如飢。 四時萬物兮有盛衰, 唯我愁苦兮不暫移。 山高地闊兮見汝無期, 更深夜闌兮夢汝來斯。 夢中執手兮一喜一悲, 覺後痛吾心兮無休歇時。 十有四拍兮涕涙交垂, 河水東流兮心是思。 十五拍兮節調促, 氣填胸兮誰識曲。 處穹廬兮偶殊俗。 願得歸來兮天從欲, 再還漢國兮歡心足。 心有懷兮愁轉深, 日月無私兮曾不照臨。 子母分離兮意難任, 同天隔越兮如商參, 生死不相知兮何處尋。 十六拍兮思茫茫, 我與兒兮各一方。 日東月西兮徒相望, 不得相隨兮空斷腸。 對營草兮憂不忘, 彈鳴琴兮情何傷。 今別子兮歸故鄕, 舊怨平兮新怨長。 泣血仰頭兮訴蒼蒼, 胡爲生兮獨罹此殃。 十七拍兮心鼻酸, 關山阻修兮行路難。 去時懷土兮心無緒, 來時別兒兮思漫漫。 塞上黄蒿兮枝枯葉干, 沙場白骨兮刀痕箭瘢。 風霜凜凜兮春夏寒, 人馬飢 ![]() 豈知重得兮入長安, 歎息欲絶兮涙闌干。 胡笳本自出胡中, 縁琴翻出音律同。 十八拍兮曲雖終, 響有余兮思無窮。 是知絲竹微妙兮均造化之功, 哀樂各隨人心兮有變則通。 胡與漢兮異域殊風, 天與地隔兮子西母東。 苦我怨氣兮浩於長空, 六合雖廣兮受之應不容。 ![]() |
胡笳十八拍******************
(第十三拍~第十八拍)
謂(おも)はざりき 殘生 卻(かへ)って旋歸(せんき)を得て,
胡兒を 撫(な)で 抱(いだ)きて 泣き下り 衣を 沾(うるほ)す。
漢使 我れを 迎へて 四牡(しぼ)(ひひ)たり,
胡兒 號すれど 誰(たれ)か 知ることを 得ん。
我が 生死に 與(あづか)りて 此の時に 逢ひ,
愁ひて 子の爲に 日 光輝 無し,
焉(いづくん)ぞ 羽翼を得て 汝(なんぢ)を將(したが)へて 歸らんや。
一歩 一遠すれど 足(あゆみ)は 移り 難(がた)く,
魂は 消え 影は 絶ゆるとも 恩愛は 遺(のこ)る。
十有三拍 弦は 急にして 調(しらべ)は 悲し,
肝腸 攪刺(かうし)さるも 人の我れを 知る 莫(な)し。
身 歸國すれど 兒 之れに 隨ふ 莫(な)く,
心 懸懸として 長(つね)に 飢うるが 如し。
四時(しいじ)の 萬物は 盛衰 有れど,
唯(た)だ 我が愁苦のみ 暫(しば)しも 移らず。
山 高く 地 闊(ひろ)くして 汝(なんぢ)に 見(まみ)ゆる 期(とき) 無し,
更 深く 夜 闌(たけな)はにして 汝の斯(こ)こに來(きた)るを 夢む。
夢中に 手を 執(と)りて 一喜 一悲し,
覺めし後 吾が心を 痛まして 休歇(きうけつ)せる時 無し。
十有四拍 涕涙 交(こもご)も 垂れ,
河水 東流して 心 是れ 思(うれ)ふ。
十五拍 節調 促(せ)き,
氣 胸を填(ふさ)ぎ 誰(たれ)か 曲を 識(し)らん。
穹廬に 處して 殊俗(しゅぞく:異人)に 偶(つれそ)ふ。
願ひ得て 歸り來たるは 天の 欲するに 從(まか)し,
再び 漢の國に 還(かへ)れば 歡心 足(み)つ。
心に 懷ひ 有りて 愁ひ 轉(うた)た 深し,
日月 無私にして 曾(かつ)て照臨せず。
子 母に 分離せば 意 任(た)へ 難(かた)く,
天を 同うするも 隔て 越(とほ)きこと 商・參(せん)の如かりせば,
生死 相ひ 知らずして 何處(いづく)にか 尋ねん。
十六拍 思ひ 茫茫として,
我と兒とは 各(おの)々 一方。
日は 東し 月は 西して 徒(いたづ)らに 相ひ望み,
相ひ隨ふを 得ずして 空しく斷腸す。
營草に對して 憂ひ 忘れず,
琴を 彈(ひ)き鳴らして 情 何ぞ 傷(いた)まん。
今 子に 別れて 故鄕に 歸れば,
舊怨 平けくなるも 新怨 長ず。
血に泣き 頭(かうべ)を仰(あふ)ぎて 蒼蒼(さうさう)たるに訴ふ:
胡爲(なんすれ)ぞ 生きて 獨(ひと)り此の殃(わざはひ)に罹(かか)らんや。
十七拍 心鼻 酸(つら)く,
關山は 阻み修(そな)へて 行路 難し。
去る時は 土(くに)を懷(おも)ふ 心緒 無く,
來たる時は 兒に別れて 思ひ 漫漫たり。
塞上は 黄蒿して 枝は 枯れ 葉は 干き,
沙場の白骨は 刀痕(たうこん) 箭瘢(せんはん)あり。
風霜 凜凜として 春夏 寒く,
人馬 飢ゑ(かまびす)しくして 筋力 單(つ)く。
豈(あに) 知らんや 重ねて 長安に入るを 得(う),
歎息し 絶えんと欲して 涙 闌干たり。
胡笳 本(も)と 胡中 自(よ)り 出づ,
琴に縁(よ)り 翻(か)へ 出だすも 音律は 同じ。
十八拍 曲 終はると 雖(いへど)も,
響に 余 有りて 思ひ 窮(きはま)り 無し。
是れ 絲竹 微妙にして 均(ひと)しく 造化の功なるを 知る,
哀・樂 各(おのおの)人心に 隨ひて 變 有れば 則(すなは)ち 通ず。
胡と漢とは 域を 異にして 風(ふう)を 殊(こと)にす,
天と地と 隔つがごとく 子は 西し 母は 東す。
我を苦しめたる 怨氣は 長空よりも 浩(ひろ)く,
六合(りくがふ) 廣しと 雖(いへど)も 之(こ)れを 受くること 應(まさ)に 容(い)れざるべし。
◎ 構成について
2004.7.13 7.15 7.16 7.17 7.18 9.19完 10. 8補 10. 9 |