40歳~からの読書回帰
111回~
第11回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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140万部突破のベストセラー。リタイアする親が、先立つ前に後継者たる息子へ宛てた、30通の手紙。人生の教訓を語っているが説教臭いものではなく、親が子へ送った手紙は、その愛情にあふれた文章は20年たった今でも色あせることなく、まるで一つの小説を読んでいるかのようだ。残すもの、親ならばそれは、財産ではなくビジネスおよび人生を生き抜くための、人としての経験と知恵。受け取る子供ならば、親を見て疎ましく思うのかそれとも師たる対象と見ているのだろうかという感覚。「40歳~」の今、そんな親になれただろうか、そんな親の期待に応えられただろうか
父ちゃん、30通では足らんかも(-_-;)
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第12回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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真宗の多いこの地域なので紹介です。本願寺派第24代門主・大谷光真が書いた生き方の本、お西さんだけど。 朝(あした)には紅顔ありて夕べには白骨となれる身なり、表題はこう続きます。朝起きた時は、血色の良い顔をしていても夕方には死んで骨になってしまうかもしれないと。誰しも、生と死は等しく付いて回るものだから、日常の中で常に死というものを意識することで、その日一日をしっかりと生きようという教えです。惑わずの年が過ぎても惑いっぱなしなので教えに頼ろうかと、が…“他力とは他人を当てにすることではない”のだそうで(>_<) |
第13回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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地下街の人々
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バロウズ・ギンズバーグとならぶ60年代ビートの雄。同じ作者ならブレイク作“路上”のほうが有名ですが広いアメリカを放浪する話よりは地下街(サンフランシスコの地下街=アンダーグラウンド=ビートニクス)のほうが時代をイメージしやすいのでは。ビートジェネレーションのカウンターカルチャーへの絡み方が、ケルアック本人の意図した生き方から外れたこともあってはなれていきます。何度か起きては消えたビートのブームのなかで、バロウズとギンズバーグが同じ年97年に二人とも亡くなられたのが衝撃的でした。あちらこちらでも追悼特集をやっていましたね。昔がよかった…などというつもりは全くないけれど(どう見ても退廃的ですし)、その年に書店員であったことに感慨あり・もちろん3人とも棚常設、でした。インタレストな時代だったのかなという気もします。 |
第14回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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悲しみよ こんにちは
新潮社文庫 497円 |
何読んでる?“~サガン”おしゃれー、な時代が間違いなくあった。お気取りさんといえば言えなくもないが、読んだことがない人もタイトルは耳にしたことでしょう(斉〇由貴とかでも)。…が何のことは無い4角・5角関係(それも親子を交えた)の小説。ともすれば、もっとどろどろにすることもできるであろう今の小説に比べ、いい本訳の影響もあってか悲しくも美しく、学生運動の人が愛読していたのもわかる気がします。特筆すべきはサガン18歳のときの作品。同世代の主人公セシルはともかく、父親の心理まできちんと描いているところですか。 |
第15回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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今年40周年‘S |
古典文学に代表されるようにロングセラーの多い出版界で、今年40周年を迎えるものが多々あります。1974年
物が生まれるとか、変革の兆しを見せたいという風潮があったのでしょうか。高度成長が終わって久しく、オイルショックがきて角栄辞任、長嶋現役引退、バブルの予兆にはまだまだなこの時代。「花とゆめ」「週刊ヤングジャンプ」が創刊し「ねずみくん」シリーズ「ちいさいももちゃん」なども始まりました。親子二代に渡って手にされているものも有ることでしょう。同じ時代を流れてきた出版物に敬意を表し、さらに次の世代に伝える橋渡しができればいいなと思います。 |
第16回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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ネズミに捧ぐ詩 忌野清志郎 KADOKAWA 1,404円 978-4-04-600437-6 |
現在出版されている本にはあらゆるジャンルのものがあります。本や読書になじみのない人でも、自分の興味のある分野のものがあれば、手に取ってみようと思うでしょう。スポーツ・料理・車・芸術・ビジネス・などなど極論すればどんなカテゴリーでも受け入れてくれるはずです(入手の可不可を除いてください(>_<))。中でもタレント・ミュージシャンものは写真集、エッセイから自伝まで大きな比率を占めています。ざっと挙げただけでも「ムーンウォーク:マイケル・ジャクソン」「Chronicles:ボブ・ディラン自伝」「ライフ:キース・リチャーズ自伝」「成りあがり:矢沢永吉激論集」「蒼い時:山口百恵」…(自伝・他伝?)まだまだ出てきますね。
で、未発表の書き下ろしを含む原稿が出てきた、清志郎の言葉をもう一度。斜に構えるのも直球勝負の詩も、どちらもキヨシロー。二度と聞けないのか、いつでも在るのか。稀代のPOPスターの命日にあわせて発売された本書で、文章の世界へ。 |
第17回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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ブラッカムの爆撃機 ロバート・ウェストール 岩波書店 1,728円 978-4-00-024632-3 |
子供向けファンタジーと侮るなかれ。英軍の旧式爆撃機ヴィッカース・ウェリントンの機内で展開される情景は、ただの戦争反対!ものとは違う生々しさがあり(少し奇想ありそこがFT扱いなのでしょうか)。映画“メンフィスベル”が似ている感じのイメージなので十分 読書回帰できます。かの宮崎駿氏がロバート・ウェストールのファンだったことも有って、すわジブリで映画化か?と思わせますが、挿絵とあとがきを書かれています。飛行機好きは絶対に読んでもOKです。 |
第18回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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夏への扉 ロバート・A・ハインライン 早川書房 1,404円 978-4-15-209059-1 |
ニュースでペットの猫が、飼い主を噛んだ犬を体当たりで追い払ったのを流していた。ねこ・ネコ・猫小説?でこれです。名前は“タラちゃん”じゃなく“ピート”のほうで。
言わずと知れたSFの超古典。強引なタイムトラベルもの…とか復讐譚だとかいろいろ言われているようですが、エンターテインメント小説としてみればありかも。過去の自分に出会って歴史が変わる~といった論理矛盾すらネタになるほど、時間旅行を扱った小説はもう星の数です。そのなかでタイムパラドックスの概念をこんなころから描いています。でもネコには関係ないニャ。「未来は過去よりいいものだ」という件の未来(2001年想定)を追い越してしまいましたね。ルンバもどきも出ます。画像は「アルジャーノンに~」の訳者小尾芙佐
氏の新訳版にて。
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第19回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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仕掛人・藤枝梅安 殺しの四人 池波正太郎 講談社 535円 978-4-06-273135-5 |
実は、自分の中で池波(ちなみに去年が生誕90周年でした)作品と言えば「剣客商売」や「鬼平」ではなく、ましてや「真田太平記」でもない。後の必殺シリーズから入ったからなのか、時代劇好きな祖父が気に入っていた作品だからだろうか。なので梅安先生のイメージは、BSで再放送をやっている渡辺兼さんよりも、小林桂樹さんです。 |
第20回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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匣の中の失楽 竹本健治 講談社 1,296円 978-4-06-181587-2 |
0番台区切りなので少し趣味を。日本ミステリ―界における三大奇書「ドグラ・マグラ/夢野久作」「黒死館殺人事件/小栗虫太郎」「虚無への供物/中井英夫」に、インスパイアを受けた当小説をして四大奇書とする向きもあるほどの新本格・変格推理小説。驚くべきは36年前、23歳のデビュー作であること。ペダンティックな内容や、登場人物が書く小説内小説で、予言されるように展開されるところの虚実が入り混じったメタフィクション的構成は、自分自身の立ち位置を見失ってしまう程。乾くるみ氏はじめ
本作以降の新本格小説家に少なからぬ影響を与えています。70~80年初頭のシニカルなセリフ回しが、今となっては新鮮。絶版・再販を繰り返し、現在は講談社ノベルズにて入手可です。三大奇書もぜひ。。
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