40歳~からの読書回帰

第111回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 

大鮃(おひょう)


藤原新也

三五館 1,728円(込)


978-4-88320-682-7

 
 

 代表作「メメントモリ」からもう何年か。作品内容にも歳月の流れを感じさせます。“生と死”“いのち”に向かう立ち位置を中心に据えていた前作に対し、今回の物語テーマは“老い”。よく、人が生まれてから死ぬまでの人生を 流れる四つの季節・四季になぞらえますが、「…人生にはそれぞれの季節にそれぞれの異なる世界が広がって…」いるので死を待つのみの春の来ない老いの季節:冬であっても(だからこそ)、安らぎと包摂を与える存在になりたいと。主人公の青年は、自殺した父親の故郷・スコットランドで出会ったある老人との触れ合いの中で、生息する伝説の大カレイ(ヒラメと書くがカレイ)に対する畏怖と安堵感に 青年自身の父性の獲得と父越えと、老いの自覚とを芽生えさせる。その偶然の出会いは、奇跡であり必然だ。

























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