40歳~からの読書回帰

第71回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
日曜日の夕刊

重松清

新潮社 724円(込)

 
978-4-10-134914-5


 

 

 「家族」「なにげない日常」「なにか起きてしまった日常」「カッコ悪い青春」などのキーワードが出たら彼の真骨頂。補欠の息子がいいことが無くても頑張ることに、非情と同情に葛藤する父・監督が気づかされた理由を描いた“卒業ホームラン”が素敵です。日曜に夕刊は無いけれど、週刊“サンデー”毎日連載の短編集だったのでこのタイトルに。なので対象はお父さん世代ですが、青春の葛藤と懐古的な作風から重松清をノスタルジーの作家と見てはいけない。多くの著書に見られる印象は、大人になるとは立派になることではない ただ重ねること、振り返っても後に繋いでもいいのだということを感じます。再び読書し始める人より、実はこれから大人になる人たちにむしろ読んでほしい。父の日に父からお返しだっ!





















第72回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
宇宙飛行士オモン・ラー

ヴィクトル・ペレーヴィン

群像社 1,620円(込)

 
978-4-903619-23-1


 

 

 米ソが先を争って月に行こうとしていたころ、ソ連の技術では自動で月にはたどり着けない。「お前たち行って手動でロケット切り離して、発電機回して月面探査して来い!帰って来られないけどね そんな装置積んで無いし!!」に選ばれたソビエト人青年の、体制への批判と現実と皮肉、虚構なのか合理的という不合理なのかSF小説というにはあまりにもあの国らしくて予備知識多々必要です。崩壊後に書かれたにしても、安部公房を思わせる辛辣かつ不条理小説の体は、裏を返せば党がメディア統制をはからんとするこの国も同じようなもの。ロシア文学なのに評判が良かった本とはいえ、2010年発売でS堂やK屋の巨大店ではなく 店舗面積75坪が店名の由来となっている書店の、外国文学ではないセレクトコーナーで見つけたのでつい買ってしまいました。





















第73回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
スローカーブを、もう一球

山際淳司

角川書店 605円(込)

 
978-4-04-100327-5


 

 

 夏が来れば思い出すのは尾瀬やTUBEだけではない。本書の山際淳司ほか沢木耕太郎・金子達仁などが執筆のスポーツ雑誌「ナンバー」。創刊号に掲載の“江夏の21球”をふくむスポーツノンフィクションを集めたこの本を思い出さずにはいられない。中ではおすすめというより印象深さで、1979816日の甲子園、星稜VS箕島戦 延長18回を描いた“八月のカクテル光線”。当時小学生で、出先でテレビを見ていて帰る頃には終わっちゃっているなあと思っていたらうわ!まだやってた。最近では、横浜PLや早実・駒大苫小牧などが有名ですが、地元なので外せません。というように、この世代で通過儀礼のように体験したスポーツシーンが山際淳司の手で再びまぶたに蘇ります。そしてこちらも夏の風物詩にて展開中の、角川書店・新潮社・集英社、各社夏の文庫100選のうち 角川文庫に毎年ラインナップです。























第74回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
剣と紅

高殿円

文藝春秋 886円(込)

 
978-4-16-790369-5


 

 

 ひこにゃんの主人の義理の祖母(-_-;)、いや徳川四天王・井伊直正の養母 井伊直虎のお話である。「トッカン」の高殿円なので,、歴史小説ではあるが 資料が少ないぶんエンタテインメントな要素多し。絶版の小説「女にこそあれ次郎法師」くらいしか取り上げられていない方ですが、この人がいなければ直正もいないわけでそうすると家康ももしやここまでは…となるのでちょっと大事。しかも昨今のゲーム界ではすごいことになっているらしいです。検定には出ないかもしれませんが、当主とはいえ嫁入り以外歴史の表に出されない戦国女子の生涯を 違った角度から読んで下さい。



















第75回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
想い雲

高田郁

角川春樹事務所 617円(込)

 
978-4-7584-3464-5


 

 

 御存知、高田郁のみをつくし料理帖シリーズです。帯にもあるようにNHKドラマでもヒットだったのでいまさらですが、第三弾には土用の日にだす献立で悩むなんてえ話で進んでいきます。行方知れずの料理人だ ご寮さんだ 奉公先だあのいつもの話ですよ 安心して読めます。だから第一弾「八朔の雪」から続けて読んでやって下さい。丑の日といえばうなぎ。ニュースでもさんざん放送していましたね 近畿大学。絶滅危惧種のウナギに変わり代用ナマズの飼育に!うなぎの養殖はマグロと違い、近畿大学ですら厳しいのかっ?!でナマズといえばこの方、殿下でしょう(^_^;)お後がよろしいようで。


















第76回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
粗にして野だが卑ではない
石田助の生涯

城山三郎

文藝春秋 518円(込)

 
978-4-16-713918-6


 

 

 石田禮助、三井物産から国鉄総裁になった人物。国会にて総裁就任のあいさつで言ったのが、“…自己認識と志…”を表現したあまりにも有名な表題の言葉。明治の人間の立身出世という枠には収まらない生涯を、あの 城山三郎が書いた本。メザシの土光敏夫、出光興産の出光佐三などなど、気骨と心意気のあふれる方が政財界に大勢いらっしゃいましたね。ITでも企業できる今は、この手合いの本を読んで よし自分も一丁~と言う時代ではないのでしょうが、〇芝さん、田中久重ガナイテイルヨ。


















第77回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
 親子鷹~
きかんしゃやえもん


阿川弘之
岡部冬彦

阿川佐和子
岡部いさく

 
978-4-00-115122-0


 

 去る8月3日阿川弘之氏が亡くなられました。海軍3提督を描いたシリーズで…というよりも今では、阿川佐和子氏の父親としての認知が先に来てしまいますね。ベストセラー作家は絵本でもミリオン、擬人化鉄道ものはトーマス・チャギントンなどなどをみても、洋の東西を問わずヒットします(個人的には大野しげひささん主演の“走れ!K100”を見ていました)。挿絵の岡部冬彦氏、テレビでおなじみの軍事評論家・岡部いさく氏の父親で、えとぶんともに著名でそれぞれのご子息ご息女も有名人という珍しい本ですね。


















第78回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
一路(上)・(下)ほか

浅田次郎

文春文庫 各691円(込)
 

978-4-12-206100-2
978-4-12-206101-9
978-4-06-293063-5(810円)



 

 

 もう毎回かなわんなあ!はよ来いや ゆうて出向させられて、一年でっせ。はぁ でんしや?なんですのんそれ、銭も暇もかかりますぅ、誰がるうとと費用の算段しよるとおもうてんねん※、なんせ何百人連れていかなあかんよって、ほんであそこの宿場また混むんやろなあ。隣の藩は奇数年やったで何ぞ噂やが えらいでかい本陣やそうで禄持ちはええなあ。ほや前回医者連れていかんよって往生したわ、センセ連れてったろ…。てきな内容では勿論ありません、浅田節(超高速~は近いかも)なので。今日の交通インフラのもとと、標準語ができる前に全国で“日本語”が通じる環境のもととなったのは実はすごい事だったりする。参勤交代プチマイブームです。 (※こちらより)





















第79回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
檸檬

梶井基次郎

角川文庫 432円(込)
 

978-4-04-100838-6




 

 

 長くやっていると 本なんか読みたくなーい\(>_<)/そんな時も有ります。受け止めるのでもなく、真っ向対立する元気を奮い起こすのでもなく溶けるように“浸る”のもありかと。「~以前にはあんなに私を引き付けていた」のに叱咤と希望と悲哀と喜びと怒りと…感情と情報と色彩の渦が押し寄せてくる紙と埃のなかはイヤ。「そうだ」その上にレモンを置いてみよう。「~檸檬の色彩が紡錘型の身体へ吸収され」るかもしれない。御存知 梶井基次郎の、たった5ページのよく知られた表題小説のほか13編収録です。さあ、丸善に行って積んだ芸術書の上にレモンおいてこなきゃ。本屋迷惑としてはこの方が「~本屋を襲撃して広辞苑を奪い」に行くのよりずっといい(-_-;)…か? 読みたくない時に只々浸ってみては






















第80回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント




 
あたっくNO.1


樫田正剛

幻冬舎 702円(込)
 

978-4-344-42371-8




 

 

 ワールドカップバレーをやっているからでも、汗かく季節なので洗濯をというのでもない。真珠湾攻撃に参加し、2年後に米駆逐艦フレッチャーに撃沈された潜水艦“伊18”の史実をもとにした小説。「~の0」の潜水艦版と思ってください。普通に家族がいて 普通に悩み 普通に生活する 普通の青年たちが、唯一違う状態の戦争という狂気にさらされ 家族のために・お国のために・陛下のために、賛成した軍人がいて反対した軍人がいて、それでも人の命でもって生きて帰るのか死んで散るのかの天秤にかけられるという美化でも卑下でもない現実がありました。それでももっかいやるつもり?31日、夏が終わりの日でもまだ続いています。もう一度読書を始める題材にぜひ。






















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