40歳~からの読書回帰

第91回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
芥川症

久坂部羊

新潮社 
1,620円(込)
 

978-4-10-335871-8
 

 “破裂”だ“無痛”だでドラマ化絶好調のお医者さん小説家が放つ、その名も“芥川症”賞・にあらず。教科書にもよく載っている名作をもじって7編、病んだ精神と肉体からくるエゴイズムがうずまく芥川短編と、医療現場とをうまく絡めています。ポジションはブラックなユーモア医療小説です。先達、米山公啓・帚木蓬生・なだ いなだ・北杜夫など、医者にして小説家の皆さんに負けませんよう!!


















第92回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
姑獲鳥の夏

京極夏彦

講談社(文庫版) 
864円(込)
 

978-4-06-263887-6
 

 水木しげる先生逝去の知らせが入りました。この世とあの世の境界の無いところで“存在”されていた感が有りましたが、ああこんな日がついに来てしまったという感じです。小さいころも大きくなってからもお世話になりました。怖くて嫌でした。今の子は異界は平気?で著作が多すぎるので自他認めるところの一番弟子、京極氏のデビュー作にしました。こちらもシリーズ・著作多しですが絶対にこれから読んで下さい。後々スピンオフ等々していきます。初読ではこのジャンルとペダンティックな内容になんや分かりませんーぐらいになりますが、嵌ったら最後です。妖怪の世界へようこそ。



















第93回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
約束の海

山崎豊子

新潮社 
1,836円(込)
 

978-4-10-322823-3
 

 12月7~8日といえば、思い浮かぶのは真珠湾攻撃の日(8日はジョン・レノンの命日)ですね。記憶に新しいもととなった漁船と衝突した潜水艦艦長の事件と、真珠湾攻撃時に日本人初の捕虜となった方をその父のモデルとして絡めて小説仕立てにしてあります。残念ながら、父の足跡をもとめてハワイへ向かうのは第2部なので絶筆となってしまった今では、読むこともかなわず残念です。さすが膨大な資料と取材による文体は、専門用語がバシバシ出てくる本書でも健在でうならせます。前出の日本人初捕虜のモデルとなった方が、日系二世を描いた山崎氏の“二つの祖国”にも出てきます。あわせてどうぞ。



















第94回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
堀部安兵衛 上・下

池波正太郎

新潮社 各767円(込)
 

978-4-10-115680-4
978-4-10-115681-1
 

 おのおの方にとって討ち入りでござるのは、もう年末の風物詩では無くなったのかしら。いやいや映画・ドラマ・落語・小説・マンガはては宝塚でもやっている、パロディやモチーフならばキアヌ・リーブスからクレヨンしんちゃんまで、なんと懐の深いこと 日本人大好き演目はまだまだすたれませんよ。スキャンダラスな出来事に忍と義と仇討ちとてんこもりにちょいと脚色入れて、当時から日本人の琴線にバッチリ触れた内容だったのでしょう。吉良町びっくり近松してやったり!!史実だエンタだを問うてはいけません。ああ本誌紹介をしていませんね。ざっくり言うと高田馬場で決闘に助太刀しちゃったんで7年後に仇討ちに参加する武闘派の、池波先生が描く痛快小説です。じゃ明日 朝駈けで本所松坂に行くから早目にうち(堀部)の借宅に集合ね。






















第95回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
君の膵臓を食べたい

住野よる

双葉社 各1,512円(込)
 

978-4-575-23905-8
 

 内容は、よくある病に侵されたヒロインと主人公の少年のやり取り。そのためにやれライトノベルだとか、やれ完成度・文章の稚拙さ・登場人物の掘り下げ方などに荒削りさが目立つとか断罪するのはとても簡単なことだが、主人公(と小説家としての著者自身と)がこうやって大人になるという通過儀礼を描く際に、はなから完璧では困るということなのかとも思う。こういった関係各所の指摘等も、もちろん耳に目にしているはずなので、それをふまえた次回作にぜひぜひ期待を。なによりインパクトのあるタイトルにひかれた方へ、次回 本屋大賞に向けて要チェック。


















第96回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
やりたい事を
 すべてやる方法


須藤元気

幻冬舎文庫 540円(込)
 

978-4-344-42419-7
 

 年末は格闘技でしょという向きが少し薄れてきましたが、ピポザルのプレゼン(失礼な!!)のような派手な入場シーンで格闘家のなかでも格段にスタイリッシュな脳みそと感性を持つ、須藤元気氏の最新刊。背中に“ナスカの鳥”がいないけどなんでもできるといった頃が選手としては初見です。あまりにもいろいろなスタイルを持っているのでもはや何の人かと思われがちでも、一頃ダンスパフォーマンスでTVによく出られていましたね。物事を成し続けるために、替えのきかないものであれとし、何がやりたいというスタートから何をすればそこへたどり着けるのかということを逆算し積み上げて構築していくと説く様は、囲碁や将棋のような感覚でしょうか。まるで出来上がった小説の様です。ダンス自体も引退し次に向かっているということで、現役時代のファイトスタイルのように動き変化し続けていますね。
























第97回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
犯人に告ぐ

雫井修介

双葉社 
648円・669・1,836円(各込)
 

978-4-575-51155-0
978-4-575-51156-7
978-4-575-23918-8


 

 あー犯人に告ぐ、お前は完全に包囲されている。速やかに武装を解いて自首してきなさい。いやだ?国の御両親も雪深いなかで泣いているぞ。何?愛知県(雫井氏の)だから雪はない?! しょうがないカツ丼でも食うか取調室でもない?ぢゃあ要求はなんだ、“大藪春彦賞”や“このミス”8位やトヨエツこと豊川悦司主演では不満なのか。芥川賞とって250万部?もうベテランだから直木賞だ。よし「我々はようやくお前を追い詰めた。今夜は震えて眠れ!」えーと、ちゃんとした?誘拐犯対劇場型捜査の警察小説なので、安心して読んで下さい(-_-;)



















第98回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
楽隊のうさぎ

中沢けい

新潮社 594円(各込)
 

978-4-10-107231-9
 

 佐多稲子「三等車」ときた。全集にしか入っていないうえその他も入手不可。幸いに短編なので全文出題で新聞に掲載されたのを読めばといわれそうですが、ハイッ!捻くれてみました。過去問です。ざっくり言うと、いじめにあっていたが部活動に打ち込むことで対象外化されていく主人公の中学生活のお話。吹奏楽部にかかわっていく姿が淡々とした文章で、悪く言えば取り留めもなくだらだらと続きます。まさにこの時期の“男子”のふわふわとしているのに触れると崩れるような感覚の描写にはぴったりかと。少し読みにくいですが、そこらへんが読解を要するセンター現代文2010年に選ばれた理由でしょうか。“通俗小説ではなくもっと論理的思考を養う文章の授業に国語の時間を割いて~”なる意見が時々聞かれます。受験用でしか小説が読まれないのもつまんないなあと思いながらも、出題された他ジャンル・英数理社の問題を見てもチンプンカンプンだったので・チャックです(-_-;)。受験で読めなかった分を40歳~から取り返しに!!



























第99回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
王とサーカス

米澤穂信

東京創元社  1,836円(込)
 

978-4-488-02751-3
 

 「このミステリーがすごい!」本作にて3冠ほか、2003年「折れた竜骨」以来ミステリー系各賞に必ず顔を出すのは伊達じゃないぞの著者の本年度本屋大賞ノミネート作。青春ミステリと新本格の、2系統の代表作が有るので要注意。「さよなら妖精」から「王とサーカス」「真実の10メートル手前」と主人公が文字通り成長していく過程や後日譚なので、できればこの順番に読まれるのがわかりやすいでしょう。が読書回帰には向かないかも(オイオイ)。章ものを押さえたい向きにはOK。ところでっ!山周とって直木賞候補そして本屋大賞候補…といった都市伝説のような不文律を去年この人も踏襲しているのかっ(-“-)



















第100回タイトル・著者・出版社・税込・ISBN コメント


 
ソクラテスの弁明・クリトン

プラトン

岩波書店  518円(込)
 

978-4-00-336011-8
 

 (大石吾朗さんの声で読んで下さい)5秒前432・・・♪毎週日曜日・頃 ワタクシ・コッシーがお届けしますこの時間、いつものようにお付き合い下さい。では最初のお葉書 ラジオネーム「劇団黒パンダ」さんから。“コシさんコンバンワ勉強の合間に聞いています”こんばんはいいですねぇ“わたし知らなかったのに分かったんです”ん?“正確には自分が知らないということに無自覚だったのだということが分かりました”おおそれは素晴らしい“これからは世の中の真理すべてを知る・知っているなんて言わないでいる、全く無知の自分からスタートしていこうと思います”疑問を常に持ち、分からなければなんで?と他人に聞いてみるのも大事ですね。そんな黒パンさんのリクエスト、堺ススムの「ナンデカフラメンコ」を聞きながら今週はお別れです。バイバイ。 って漫談ジャン、音源あるのかい?いや100回目がこれ?100匹目のサルとか百年の孤独とか百億の昼と千億の夜とか100万回生きたとかアッタンジャナイ!?弁明を 




























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