北イタリアの街並み Northern Italy (1994.10)
<北イタリアの街並み>
(1994年10月)
イタリアの街は、石やレンガの厚い壁と敷き詰められた舗装の道でつくられていて、隙間なく連なったその壁と一体になった舗 装の道を辿っていくと、突然視界が開けて広場に出る、そんな街なのです。広場には、井戸や泉があり周囲の壁の一角には一段と高く聳える教
会と塔があって、そこは街の中心でもありいつも賑わいがあり出会いの場でもあるのです。
このような街は、道と壁が一体感があるように街 全体に適度な変化と統一感があり、人々にとって街並みガあたかも共同の一軒の家のようでもあります。それだけに街並みをつくるデザインは心にくいばかりで、無駄なものや目障りなものがなく魅力的でどちらを向いても絵になります。
数百年を経たこれらの街は、人間の日常の営みに合わせてつくられているため、いまでも生活の息遣いが感じられ、使い捨てられたり造りかえられることはありません。そんなことを思うと、私たちの街づくりやものづくりにとっても大 きな教訓を与えてくれるのです。
< アッシジ アッシジの丘 assisi >
丘陵地の斜面に沿って、数本の道が平行につ付けられていて、周囲を城壁でがっしりと囲まれた街アッシジ。
ウンブリア州にあ るこの街には聖堂が多く、いずれもイタリア屈指の名建築といわれています。
有名なサン・フランチェスコ教会は、私達が訪れたあと゜98年の地震で被害を受 けたと聞いたのですが、今はどうなっているのでしょうか。
< ペルージャ 隊長の館から Perugia >
ペルージャはウンブリア州の州都。この街も緑の多い山の斜面に造られていて、一部に地下の街があります。斜面に積み上げられたように連なる建物と建物の狭い路地は、昼間でも薄暗いほど入り組んでいます。
< ペルージャ 裏通り Perugia/street >
街の中心に11月4日広場があり大噴水やドゥオーモ、プリオーリ宮殿などが並び人通りが絶えません。この街には外国人の多くが学ぶペルージャ大学があることでも知られています。懐かしさのあまり話しかけてくる日本人の学生もいました。
< サン・ジミニャーノ ポポロ宮殿の塔から San Gimignano >
サン・ジミ二ャーノは有名な赤ワイン、キャンティクラシコの産地トスカーナ地方にあります。塔が林立する街としてつとに有 名ですが、これらの塔はルネッサンス中期に建設されたもので、かっては数十本もあったのですが今は数本がみられます。街は丘陵地の上に周囲を城壁で囲って 築かれていて、その周辺の低地にワインの農作地があり、街と農地の関係がよく配置されています。
< サン・ジミニャーノ サン・ジョヴァン二通り San Gimignano >
城壁の門をくぐってメインストリート、サン・ジョヴァンニ通りを行くと両側の建物が石を敷き詰めた道路からつながって立ちあがっているような一体感があって、歩いていくとその素材感とスケール感の良さに感心させられます。通りの正面にポポロ宮殿の塔がシンボリックに見えてきて街の奥行きが感じられます。
< サン・ジミニャーノ チステルナ広場 San Gimignano/piazza della Cisterna >
サン・ジョヴァンニ通りを行くと街の中心チステルナ広場に出ます。広場の中心にこの町の重要な水源だった井戸が残されてい ます。隣接して塔に囲まれたドゥオーモ広場、ドゥオーモの左手に高さ54mの塔があるのがポポロ宮殿、この塔から見下ろすと広場の構成がよくわかります。