スケッチの心得は、街並みスケッチを描く場合を想定してみると次のようなものです。
およそこの地球上に線で出来あがっているものはありません。つまり、スケッチの線はあくまでも便宜上の線であって仮定の縁取り線なのです。この線が「生き
た線」「死んだ線」などといわれてスケッチの場合は線へのこだわりが大きいようです。
心地よい線は弛まないクロッキーでのトレーニングから生まれるもので しょう。1本でも多くの線をひくトレーニングを日頃から積んでおきましょう。
2−1 見え方と捉え方
視界という言葉があります。視野とも言いますが人間の見える範囲のことです。
通常私達の楽に見える範囲は自分の位置から左右上下とも60°で示したぐら いの範囲といわれています。これはカメラの標準レンズで捕らえた角度に相当します。このことを理解して構図をねらうと無理がありません。
2−2 高さと距離
ある高さの建物を描こうとした場合、その建物の高さの2倍を超える位置から見上げるようにしましょう。
見上げる角度(仰角)は約27°になります。つまり 2−1に関連しますが楽に見えるのがこの位置なのです、2倍を少し超えると建物の上に空を少し入れて楽に見えるのです。
一方、見下ろす構図の場合は(俯 角)は30°よりは少ない角度、せいぜい10°ぐらいがいいようです。
何を描くかは、こころを動かす対象物によります。しかしその対象物だけを描いても絵になりません。中心になる主題とそれを支える周辺との関係で構図が出来あがります。これは絵に限らず他の表現にも当てはまることでしょう。
動きのある構図が見る人に感動をあたえるのは言うまでもありません。特にスケッチの場合は短時間で纏めますから、ねらった構図にいかに動きを与えるか線を
引く前に考えて見ます。
奥行きと立体感を強調する。動きのある配置を考える。車や船、人間や動物などの点景を入れる。雲や陰を強調する。などがありますが 肝心なのはただ対象を描き写すのではなく感動を表現することでしょう。
「絵になる風景」というのがあります。いいかえれば感動を呼ぶ景色ということでしょうか。
人間の作った風景にも、人跡未踏の風景にも描こうとする対象物(モチーフ)に深い愛情と思い入れがあれば自ずから絵に魅力がでてきます。
線を引く材料、用紙、絵の具、その他イーゼルやいすなどさまざまにありますが材料や道具は自分に合ったものを選ぶべきでしょう。
絵にはどうしても個人の癖 (パーソナリティー)が現れるものです。いろいろ挑戦してみて最も自分らしい個性的な作品をつくるために自分に合う画材を選びましょう。