ミステリ&SF感想vol.187 |
2011.06.05 |
『ヴェロニカの鍵』 『造花の蜜(上下)』 『匣の中の失楽』 『シンフォニック・ロスト』 『私たちが星座を盗んだ理由』 |
ヴェロニカの鍵 飛鳥部勝則 | |
2001年発表 (文藝春秋・入手困難) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1:
“処女作『殉教カテリナ車輪』も、失われた青春ものとしての側面を持っている。中に東条寺桂という登場人物が出てくるが、この男に関して書ききれなかった部分が、『ヴェロニカの鍵』の久我和村となったようだ。故に『ヴェロニカの鍵』も失われた青春ものとしての側面を持つ。”(「あとがき 暗い青春あるいは鍵について」より)。 *2: 特にある程度以上の年齢の方には、伝わるものが大きいのではないでしょうか。 *3: このあたり、通常とはやや違った意味で“謎解きの手順に力を注いだミステリ”といっていいように思います。 2011.02.05読了 [飛鳥部勝則] |
造花の蜜(上下) 連城三紀彦 | |
2008年発表 (ハルキ文庫 れ1-8,9) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: 「『造花の蜜』(連城三紀彦/ハルキ文庫) - 三軒茶屋 別館」の、
“本書の凄みはタイトルにて「造花」であることを謳っている点にあります。(中略)そうした凄みが立ち上がってくるのが最終章です。実に奥ゆかしくも挑発的な構成です。”との指摘で気づかされました。ここに感謝いたします。 *2: 解説の冒頭には “ここから先に読んでも、大丈夫だと思います。”(下巻312頁)とあるのですが、私見では下巻315頁最後の三行はアウトだと思います。 2011.02.10 / 02.14読了 [連城三紀彦] |
匣の中の失楽 竹本健治 | |
1978年発表 (講談社ノベルス) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: 残念ながら、発表当時の状況をリアルタイムで体験したわけではありませんが、山田正紀の『神狩り』によるデビュー(雑誌「SFマガジン」に一挙掲載)と同様、そのインパクトは想像に難くないところです。
*2: 私自身は恥ずかしながらいずれも未読なのでよくわかりませんが、本書にはこれら“三大奇書”の影響を受けている部分があるようです。 *3: いうまでもありませんが、綾辻行人『十角館の殺人』や有栖川有栖『月光ゲーム Yの悲劇'88』など。 *4: 例えば、“曳間了(ひくま・りょう”→“ピグマリオン”、“倉野貴訓(くらの・たかよむ)”→“グランギニョール”など。 *5: もし必要ならば、「匣の中の失楽 - Wikipedia」や「匣の中の失楽とは (ハコノナカノシツラクとは) [単語記事] - ニコニコ大百科」などをご参照下さい。 *6: 個人的には、“エクゴニン”に基づく推理(「三章」)の突拍子もなさが気に入っています。 2011.02.25読了 [竹本健治] |
シンフォニック・ロスト 千澤のり子 | |
2011年発表 (講談社ノベルス) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: 『ルームシェア』は“宗形キメラ”名義、合作第2弾の『レクイエム』は“二階堂黎人/千澤のり子”名義。
*2: 「『聖地巡礼』真梨幸子/『シンフォニック・ロスト』千澤のり子|講談社ノベルス」の「一問一答」中に、 “中1のときの定期演奏会で吹きました。”とあります。 *3: ちなみに私自身もだいぶ考えたつもりですが、恥ずかしながら何も思いつきません。 2011.03.09読了 [千澤のり子] |
私たちが星座を盗んだ理由 北山猛邦 | |
2011年発表 (講談社ノベルス) | ネタバレ感想 |
[紹介と感想]
*1: カバー裏の紹介文に
“全てはラストで覆る!”とあるので、これを書いてもネタバレにはならないかと思います。 *2: 今にして思えば、デビュー作『『クロック城』殺人事件』を読んだ際に抱いた(設定やガジェットに関して) “説明/掘り下げが不足したまま終わってしまう”という不満も、作者のスタイルを把握していなかったがゆえのものといわざるを得ません。 *3: 本書の登場人物のうち、姓+名が表記されているのはわずかに2人だけ、それも物語の進行上やむを得ない事情によるものです。 *4: あるいは、「吸血狩り」(『人獣細工』)を書いた小林泰三ならば。 2011.03.17読了 [北山猛邦] | |
【関連】 『千年図書館』 |
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