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南風之薰兮
可以解吾民之慍兮
南風之時兮
可以阜吾民之財兮
南風の歌
南風の 薰ずる
以て 吾が民の慍(いか)りを 解く 可(べ)し
南風の時なる
以て 吾が民の財を 阜(ゆた)かにす 可(べ)し
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◎ 私感註釈
※南風之薰兮:南風が薫るように吹いてきたので。 ・南風:南風。・之:の。ここでは之字脚という虚字脚として使われてはいないが、この作品では一定の音楽的な效果を出している。 ・薰:かおる。風が薫るように吹くこと。薫風が吹く。 ・兮:上代の詩歌で、語調を調えるために附く接尾辞。押韻に似た、音楽的な要素があろう。兮字脚という虚字脚の一。
※可以解吾民之慍兮:わたしの統治する人民のいきどおりをときほぐすことができるだろう。 ・可以:…ことができる。 ・解:とく。ときほぐす。 ・吾民:わたしの統治する人民。 ・慍:いかる。いきどおる。むっとする。
※南風之時兮:・南風の時になので。
※可以阜吾民之財兮:わたしの統治する人民の財産を豊かにすることができるだろう。 ・阜:肥え太る。盛んである。豊かになる。大きい。育てる。 ・財:財産。たから。
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◎ 構成について
換韻。韻式は、「AABB」。韻脚は「薰慍」「時財」。このうち、「時」と「財」は、後世の平水韻などから見れば異なった韻部になるが、古韻では「時:dh1g⇒ろ1ei」「財:dzg⇒dzi」という具合に同じ韻部になる。兮字は兮字脚という虚字脚で、韻脚とはみない。その一つ前が韻字になる。この作品の平仄は次の通り。平字と仄字との配列に、一種独特の配慮がなされているようにもみえる。
○○○○,(韻)
●●●○○○●○。(韻)
○○○○,
●●●○○○○○。(韻)
□□□兮,
□□□□□□兮。
(換韻)
□□□兮,
□□□□□□兮。
南風之薰兮,
可以解吾民之慍兮
南風之時兮
可以阜吾民之財兮
押韻などの音楽上の配慮は、次の通りになる。
南風之薰兮
可以解吾民之慍兮
南風之時兮
可以阜吾民之財
2004.1.27 |
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