八重櫻の下 廖公子,
五月花(メイフラワー)中の韓大哥(あにき);(喬冠華)
道(い)ふ莫(なか)れ 「敝人(それがし) 功業 小し」と,
北京に 報(しんぶん)を賣りて 賺錢(まうけ)多し。(毛澤東)
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私感註釈
※七言詩:この詩は、文革後期のもの。七言詩としているが、七言絶句の格式でもある。
※續喬冠華打油詩:喬冠華の詩作に続けて作り、戯詩を仕上げた。前半を喬冠華が作り、後半を毛沢東が作った。前二句は対句になっている。 ・續:喬冠華が作りかけた詩に、毛沢東が続けて仕上げた。 ・喬冠華:文革後期、アメリカのニクソン、続いて日本と国交樹立後、外交面で活躍した。 ・打油詩:諧謔詩。ふざけた詩。「漢風『川柳』」?。唐・張打油から始まったという。
※八重櫻下廖公子:〔喬冠華の詩で:〕八重櫻の下の、(日本での)廖(承志)の若殿よ(立派なものだ!) ・八重櫻下:八重櫻の下での。日本での。八重櫻:日本語からいった。ヤエザクラ。勿論、桜は日本の象徴として使っている。 ・廖公子:廖の若殿。廖承志公子。 ・公子:貴公子、若様。廖承志:LT貿易等、中国側の対日窓口となった人物。
※五月花中韓大哥:〔喬冠華の詩の続きで:〕五月花(メイフラワー)ホテルの(アメリカでの)韓(敘)の兄貴よ(立派なものだ!) ・五月花中:メイフラワーというアメリカでの宿舎(ホテル)での。 ・五月花:メイフラワー。対米国交の際の宿舎か。 ・韓大哥:韓敘の兄貴。ニクソンショック後、米中の国交回復の時にワシントンに派遣されて、中国駐米美聯絡処を起ちあげた人物。 ・韓兄。韓の兄貴。 ・大哥:(現代語)同年輩の男子に付ける尊称。
※莫道敝人功業小:〔毛沢東の詩で:〕(喬冠華よ、)「自分の功績は小さいものだ」と言って(卑下なさる)な」/言いなさるな、「敝人(それがし)の功業は小さいものだ」と。 ・莫道:言うな。そう言わないで。 ・道:言う。 ・敝人:それがし、やつがれ、わたくしめ。一人称単数の自卑の呼称。文語的で作者のような年輩の人が使える語。ここでは、喬冠華のことになる。=鄙人。 ・功業小:てがらは小さい。功績は大したことがない。功業:功勲と業績。
※北京賣報賺錢多:〔毛沢東の詩の続きで:〕(あなた(=喬冠華)は、文革で批判されたので、)北京で新聞を売らされて、しっかり稼いでいたのではないか?!/北京で報(新聞)を賣るのに 賺錢(もうけ)を多くして(人々の関心を集め、大したものだ)ぞ。/「北京で新聞を売って、儲けが多い」。これは、文革前期に喬冠華のしていたこと。(喬冠華は批判されて、王府井で造反派の新聞を売らされていたという。)同時に、「(彼らの行動は、)北京の新聞紙価を高からしめた」と、「洛陽紙貴」をもじって洒落たものともみえる。日本では「洛陽紙價貴」で、おなじみ。「晉書・文苑傳」「豪貴之家,競相傳冩,洛陽爲之紙貴。」からきている。なお、「貴」は、現代語と全く同じで、「値段が高い」という意味。 ・北京賣報:北京で新聞を売る。報:新聞。現在、北京日報、北京晩報などがある。 ・賺錢多:(現代語)儲けが多い。賺錢(現代語):もうける。金を稼ぐ。
◎ 構成について:
平韻。平起式。韻式は「AA」。脚韻は、「哥多」で、平水韻下平「五歌」。次に、この作品の平仄を掲げる。
●○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○●●●○○。(韻)
2001. 6.3
6,4完
6.5補
2013. 3.13
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