寒雀 | |
南宋・楊萬里> |
百千寒雀下空庭,
小集梅梢話晩晴。
特地作團喧殺我,
忽然驚散寂無聲。
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寒雀
百千の寒雀空庭 に下 り,
梅の梢 に小集 して晩晴 に話す。
特地 に團 を作 して我 を喧殺 せしも,
忽然 として 驚き散じて寂 として聲 無し。
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◎ 私感註釈
※楊万里:南宋の学者、詩人。字は廷秀。号して誠齋。吉水(現・江西省吉水県)の人。靖康二年/建炎元年(1127年)〜開禧二年(1206年)。生涯、抗金に勤めた。南宋の「中興四大詩人」の一。
※寒雀:寒い時期のスズメ。
※百千寒雀下空庭:何百もの寒い時期のスズメが、人気(ひとけ)のない何もない庭に下りてきて。 ・百千:何百もの、の意。 ・空庭:人気(ひとけ)のない庭。何もない庭。
※小集梅梢話晩晴:梅のこずえに小さな群れになって、夕方のお天気の話をしている。 ・小集:小さい集まり。ささやかな定期市場。 ・梅梢:梅のこずえ。 ・梢:〔せう;shao1○〕こずえ。 ・晩晴:夕方の晴。
※特地作団喧殺我:特に、群をなして、この上なく(わたしに)うるさく鳴いてくる(が)。 ・特地:〔とくち;te4di4〕〔副詞〕わざわざ。特に。もっぱら *副詞で、後に続く「作」にかかる。「-地」は、副詞接尾字。 ・作団:群をなす、意。 ・喧殺:この上なくやかましい。この上なくかまびすしい。 ・喧:やかましい。かまびすしい。 ・ -殺:ひどく…。甚だしく…。〔動詞+殺〕と、動詞の後に附き、程度のはなはだしいことを表す。
※忽然驚散寂無声:急に驚いて散って、しんと静かになった。 ・忽然:にわかに。急に。突然。また、たちまちに。思いがけなく。 *「-然:」と語尾について、副詞や形容詞を作る。…のようなありさま。 ・驚散:驚いて散る、意。 ・寂:静かである。しんとしている。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「庭晴声」で、平水韻下平九青(庭)・下平八庚(晴聲)。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2019.10.11 10.12(台風19号) |
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