襄邑道中 | |
南宋・陳與義> |
飛花兩岸照船紅,
百里楡堤半日風。
臥看滿天雲不動,
不知雲與我倶東。
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襄邑 道中
飛花 兩岸に 船を照らして紅 く,
百里の楡堤 半日 風 ふく。
臥 して看れば 滿天の 雲 動かず,
知らず 雲と我 と倶 に東 するを。
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◎ 私感註釈
※陳与義:南宋の詩詞人。字は去非。号して簡斎、無住、園公。洛陽の人。また、汝州葉県の人。ともに現・河南省。1090(元祐五年)〜1138年?(紹興八年?)。政和三年に進士に及第するが、靖康の変に遭って南遷する。襄漢、湖湘へと移るが、召されて兵部侍郎となり、臨安に到着し、中書舎人に掌内制を兼ねた。
※襄邑道中:旅の途中で、(現・河南省睢(すゐ;sui1)県にある)襄邑(じょうゆう)を(船で)旅して。 ・襄邑:〔じゃういふ(じょうゆう);xiang1yi4○●〕現・河南省の睢(すゐ;Sui1)県。開封(かいほう;Kai1feng1○○)(北宋の首都=汴京(べんけい))の東南80キロメートルのところ。汴河(べんが)や睢水(すゐすゐ)が流れる。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)12−13ページ「北宋 京畿路 京西南路 京西北路」にある。 ・道中:旅の途中。
※飛花両岸照船紅:(風に)舞い散る花が両岸にあり、船を真っ赤に照らしている。 ・飛花:散る花。落花。 ・照船紅:(風に舞い散る花が)船を真っ赤に照らしている、意。
※百里楡堤半日風:(乗った船は、)百里(40余キロメートル)に(わたって)楡(にれ)の(生えている)堤(つつみ)を、半日かけて風にふかれてすすむ(こととなった)。 ・百里:宋代では、1里を400メートル強とすると、40余キロメートル。歩くことを基調とした当時の人にとっては、十時間ほどの距離か。「百里不同風」という諺があるが、時代が不明。 ・楡堤:ニレの生えている堤(つつみ)。 ・風:風にふかれてすすむ。動詞。
※臥看満天雲不動:(船に)寝転がって、空一面を見れば、雲が動いていない(が)。 ・臥看:寝転がって…を見る。 ・看:(意識的に)みる。みつめる。 ・満天:空一面。
※不知雲与我倶東:(実は、雲が動いてないのではなくて、)雲と私とが、ともにつれだって、東に向かっているのに気付かなかった(のだ)。 ・不知:わからない。 ・雲与我:雲と私と。 ・倶:ともに。つれだつ。 ・東:東する。東に向かう。動詞としての用法。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「紅風東」で、平水韻上平一東。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
○●●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2020.5.28 5.29 5.30 |
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