陳師道十七日観潮　詩詞世界碇豊長の詩詞：漢詩 Chen Shidao

十七日觀潮
	北宋・陳師道

漫漫平沙走白虹，
瑶臺失手玉杯空。
晴天搖動淸江底，
晩日浮沈急浪中。


2006.10.9　銭塘江にて
（by碇豊長）



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　十七日　潮(うしほ)を觀(み)る                    　　　　　　　　　　　　　

漫漫(まんまん)たる　平沙(へいさ )に　　白虹(はくこう) 走り，
瑶臺(えうだい)に　失手(しっしゅ)して　　玉杯(ぎょくはい)　空(むな)し。
晴天　搖動(えうどう)す　　淸江(せいかう)の底，
晩日(ばんじつ)　浮沈す　　急浪(きふらう)の中。

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◎　私感註釈

※陳師道：中国北宋の詩人・政治家。１０５３年（皇祐五年）～１１０１年（建中靖國元年）。字は履常、無己。号して後山居士。徐州彭城県の人。徐州教授、潁州教授等を歴任する。

※十七日観潮：陰暦の十七日、（銭塘江の）逆流（遡上現象）を見物する。　・十七日：陰暦の十七日で、太陽暦では十月上旬。このページに添えた写真は２００６年１０月９日のもの。　・観潮：（銭塘江の）逆流（遡上現象、あげしお）を見物する。　・観：見物する。　・潮：しお。うしお。あげしお。みちしお。ここでは、銭塘江の逆流を指す。

※漫漫平沙走白虹；限りなく広い砂浜に、白い虹が湧き起こり。　・漫漫：〔まんまん；man4man4●●〕水流の広いさま。時間や空間の限りないさま。長々しい。　・平沙：果てしなく広がっている砂原。平らかな砂浜。平らかな砂州。　・走：ここでは湧き出すことを謂う。　・白虹：白い虹（にじ）の意で、ここでは、銭塘江の逆流（遡上の流れ）を指す。実際に見学した時（写真上：2006.10.9　銭塘江にて（by碇豊長））の感じでは、水面に湧き起こる白い浪を指しているようだ。

※瑶台失手玉杯空：天上世界の瑶台（ようだい）での酒盛りで、天上の仙人が手を滑らせて、玉の杯（さかずき）（の酒を）無くしてしまった。　・瑶台：〔えうだい（現・ようだい）；yao2tai2○○〕玉で造られた天上世界の御殿。玉で飾ったたかどの。立派なたかどの。　・失手：手を滑らす。手元が狂う。　・玉杯：玉のさかずき。　・空：空（から）っぽになる。空（むな）し。

※晴天搖動清江底：青空（青天）が清らかな川（清天）の底で揺れ動き。（＝大空が川に映って）。　・晴天：青天。　・搖動：動かす。揺り動かす。　・清江：清らかな流れの川。ここでは、銭塘江を指す。

※晩日浮沈急浪中：（水面に映った）夕陽が、激しい浪の動きのため、浮き沈みしている。　・晩日：夕陽。おそい日。　・浮沈：浮き沈みする。　・急浪：激しい浪。

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◎　構成について

韻式は、「ＡＡＡ」。韻脚は「虹空中」で、平水韻上平一東。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●●○，（韻）
○○●●●○○。（韻）
○○○●○○●，
●●○○●●○。（韻）