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淸明上河圖畫讃其九 | |
如壽 |
汴梁自古帝王都,
興廢相尋何代無。
獨惜徽欽從北去,
至今荒草徧長衢。
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淸明上河圖 畫讃 其の九
汴梁は 古より 帝王の都,
興廢 相尋ねて 何れの代にか 無けん。
獨り惜しむ 徽・欽 北へ去りてより,
今に至るも 荒草 長衢に徧し。
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◎ 私感註釈
※如壽:
※淸明上河圖畫讃其九:『清明上河図』の画讃にある絶句の其の九。清明節の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)絵の画讃詩其の九。或いは、天下が平和に治まっていた時代の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)画讃の絶句の其の九。普通は前者の意を採る。 *北宋末、張擇端によって描かれた北宋の首都・汴梁(開封/汴京)とそこを流れる汴河の風物絵巻物である。『清明上河図』に書き添えられた詩。複製が北京で売られており、伊勢丘人先生が手に入れられ、絵画の後に書かれている画讃部分の詩文の釈文をされた。本ページの原詩は伊勢丘人先生のものに依る。 ・淸明上河圖:〔せいめいじゃうがづ;qing1ming2shang4he2tu2〕画題。普通は『清明節の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)絵』の意とするが、果たしてこの絵は本当に清明節(新暦・四月五、六日頃)を描いたものか。『天下が平和に治まっていた時代の帝都の川((汴水)の畔の殷賑を描いた)絵』の方が相応しくないか。北宋末、張擇端によって描かれた汴水の流れる北宋の首都・汴梁(開封/汴京)の賑わいを描いた絵巻物。 ・淸明:天下が平和に治まる。または、清明節で、二十四節気の一。新暦の四月五、六日ごろに当たる。 ・上河:帝都の川。また、川を溯る。 ・畫讃:絵に書き添えたほめことばや詩歌。
※汴梁自古帝王都:汴梁(=開封の街)は、昔から帝王の都(みやこ)するところであった。 ・汴梁:開封。汴京のこと。 ・自古:昔から。いにしえより。 ・自:〔●〕…より。 ・帝王都:帝都。帝京。帝王の都(みやこ)するところ。春秋・鄭や戦国・魏など、七つの王朝の首都「七朝故都」であったことを指す。
※興廃相尋何代無:興亡は、次から次に引き続いて起こり、どの時代に(興亡が)起こらなかっただろうか。 ・興廃:興(おこ)るとすたれると。盛んになることとすたれること。≒興亡。ここで「興廃」を使って、「興亡」を使わないのは、平仄との関係でもある。前者は本来●●のところで使い、後者は本来○○の所で使う。 ・相尋:〔(古)白話?〕ついで。引き続き。間もなく。 ・何代:どの時代。
※獨惜徽欽從北去:ひとり惜しいことには、(北宋の末の)徽宗と欽宗の二皇帝が、北方(の金国へ)連れ去られてより。 ・獨惜:ひとり惜しむ。ひとり惜しいことには。 ・徽欽:徽宗と欽宗。徽宗は、(北)宋の第八代皇帝。欽宗は、第九代(=末代)皇帝(徽宗の長男)。両帝(徽宗と欽宗)は、靖康元年(1126年)の戦乱(靖康の変)で、金国軍に拉致された。両宋・張元幹の『石州慢』己酉秋呉興舟中作に「雨急雲飛,瞥然驚散,暮天涼月。誰家疏柳低迷,幾點流螢明滅。夜帆風駛,滿湖煙水蒼茫,菰蒲零亂秋聲咽。夢斷酒醒時,倚危檣淸絶。 心折,長庚光怒,群盗縱横,逆胡猖獗。欲挽天河,一洗中原膏血。兩宮何處?塞垣只隔長江,唾壺空撃悲歌缺。萬里想龍沙,泣孤臣呉越。」とある。 ・從:〔○〕…より。 ・北去:北方(の金国へ連れ)去る。1126年(靖康元年)~27年、金軍が、汴京に侵攻し、欽宗、徽宗を金国へ拉致し、(北)宋が滅んだ靖康の変のことを謂う。『中国軍事史略』中巻(高鋭主編 軍事科学出版社)第一章第十五節「北宋的滅亡」(216ページ~218ページ)では、大要は次の通り:「1125年(宣和七年/金:天會三年)八月、金国は動員令を発布して南下の準備。十月、二路に別れて南進を開始。西路軍は、西京(現・山西省大同)から太原の攻略を目指す。東路軍は南京(現・河北省廬龍)から燕山の攻略を目指す。1126年(靖康元年/金:天會四年)正月、東路軍は邢(現・河北省邢臺)、相(現・河南省安陽)から浚州(現・河南省浚県東北)の黄河の渡河点に直行した。黄河を渡った六万の金軍は開封に迫った。最終的に和議で収まった。二月に金軍は撤兵した。八月に金軍は再び南下。九月太原を攻略。十一月、金の二路の軍が開封で落ち合う。閏十一月末、金軍は開封を攻撃。十二月初、宋・欽宗は金軍に降服。1127年(靖康二年/金:天會五年)二月、金は宋の欽宗、徽宗二帝を廃することを宣布。四月、二帝や大臣三千余人を北方に拉致。北宋は滅亡する」。金・南宋の地図
。
※至今荒草徧長衢:今なお、(汴梁(=開封)の)大通りは、雑草で埋めつくされている。 ・至今:未だに。今なお。今に至るまで。 ・荒草:雑草。地に生え広がった雑草。 ・徧:〔へん;bian4●〕あまねく行きわたる。=遍。 ・長衢:〔ちゃうく;chang2qu2○○〕長いみち。長い大通り。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「都無衢」で、平水韻上平七虞。この作品の平仄は、次の通り。
●○●●●○○,(韻)
○●○○○●○。(韻)
●●○○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2010.9.1 9.2 9.3 9.4 |
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