Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


山石

韓愈

山石犖确行徑微,
黄昏到寺蝙蝠飛。
升堂坐階新雨足,
芭蕉葉大支子肥。
僧言古壁佛畫好,
以火來照所見稀。
鋪床拂席置羹飯,
疏糲亦足飽我飢。
夜深靜臥百蟲絶,
清月出嶺光入扉。
天明獨去無道路,
出入高下窮煙霏。
山紅澗碧紛爛漫,
時見松櫪皆十圍。
當流赤足蹋澗石,
水聲激激風吹衣。
人生如此自可樂,
豈必局束爲人鞿。
嗟哉吾黨二三子,
安得至老不更歸。



******

山石       

山石さんせき 犖确らくかくとして  行径かうけい 微にして,
黄昏くゎうこん 寺に到れば  蝙蝠へんぷく 飛ぶ。
堂に昇り かいすれば  新雨 足り,
芭蕉 ば せうの葉は大いにして  支子しし 肥ゆ。
僧は言ふ 「古壁の佛畫ぶつぐゎ 好し」と,
火を以て 來り照らすに  見る所 まれなり。
とこき むしろはらひて  羹飯かうはんを置き,
疏糲 そ れい た我がうゑを かしむるに 足る。
夜 深く 靜かに臥すれば  百蟲ひゃくちゅう 絶え,
清月 みねでて  光 とびらに入る。
天明 ひとくに  道路 無く,
高下に 出入して  煙霏えん ぴ きはむ。
くれなゐに たに みどりに  まじりて 爛漫,
時に見る  松櫪しょうれきの 皆 十圍じふ ゐ なるを。
流れに當りて 赤足せきそくもて  澗石かんせきみ,
水聲 激激げきげきとして  風 ころもを吹く。
人生 かくの如く  みづから樂しむべく,
に必ずしも 局束きょくそくとして  人のためつながれんや。
嗟哉ああ  が黨の 二、三の
いづくんぞ おいに至りて  更に歸らざることをん。


                      ****************

◎ 私感註釈

※韓愈:中唐の文人、政治家。768年(大暦三年)〜824年(長慶四年)。洛陽の西北西100キロメートルの河陽(現・河南省孟県)の人。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)44−45ページ「唐 都畿道 河南道」。字は退之。諡は文公。四六駢儷文を批判し、古文復興を倡えた。仏舎利が宮中に迎えられることに対して韓愈は、『論仏骨表』を帝(憲宗)に奉ったが、却って帝の逆鱗に触れ、潮州刺史に左遷された。唐宋八大家の一人。

※山石:山(に転がっている)石ころ。韓愈の「以文爲詩」(散文的な手法の詩=散文的な語彙や句法、段落で作った詩)の代表的なもの。六朝詩や唐詩の華麗さがなく、夕暮れから夜、更に早朝の光景が、淡々と語られている。

※山石犖确行徑微:山に大きい石がごろごろとたくさんあって、小道は細くなってかすかになり。 ・犖确:〔らくかく;luo4que4●●〕山に大きい石が多くあるさま。ごろごろと。でこぼことしている。 ・行徑微:山道がだんだんと細くなるさまを謂う。 ・行徑:こみち。

※黄昏到寺蝙蝠飛:黄昏(たそがれ)になって寺にたどり着いたら、蝙蝠(こうもり)が飛んでいた。 ・黄昏:〔くゎうこん;huang2hun1○○〕。たそがれ。夕方の薄暗い時刻。 ・蝙蝠:〔へんぷく;bian1fu2○●〕コウモリ。

※升堂坐階新雨足:堂に昇って階に坐れば新たに降った充分な雨で。 ・升堂:お堂に入る。「昇堂」。 ・坐階:階(きざはし)に坐(すわ)る。 ・足:充分である。足(た)る。

※芭蕉葉大支子肥:芭蕉の葉は大きくなって、支子(しし=梔子(しし)くちなし)の実が大きくなった。 ・芭蕉:〔ばせう;ba1jiao1○○〕バショウ科の多年草。高さ4メートルくらい。葉身は、長さ約1.5メートルの長楕円形。 ・大:大きくなる。後出の「肥」と句中の対を構成する。 ・支子:〔しし;zhi1zi3○●〕=梔子〔しし;zhi1zi3○●〕(くちなし)の実。「梔」:〔し;zhi1○〕クチナシ。

※僧言古壁佛畫好:僧侶は「古い壁の仏画は好いものだ」と言うので。 ・「古壁佛畫好」:「古い壁に画かれている仏画は素晴らしい。」僧侶が作者・韓愈に言った言葉。

※以火來照所見稀:火で照らし出したものの、見えたのは、わずかだった。 ・以火:火で。 ・來照:照らし出す。 ・所見:見えるところ。見える事柄。 ・稀:わずかである。

※鋪床拂席置羹飯:床(しょう)をしつらえ、席(むしろ)の敷物を払(はら)って、羹(あつもの)と御飯を置き。 ・鋪床:床(しょう)をしつらえる。茣蓙(ござ)を敷く。 ・拂席:席(むしろ)の敷物を払(はら)って(席をしつらえる)。 ・置:しつらえる。準備する。 ・羹飯:〔かうはん;geng1fan4○●〕羹(あつもの)と御飯。

※疏糲亦足飽我飢:玄米もわたしの空きっ腹を満腹させるに充分である。 ・疏糲:〔それい;shu1li4◎●〕粗末な飯。粗食。 ・亦:…も(また)。 ・飽:〔はう;bao3●〕満腹する。満足する。 ・飢:〔き;ji1○〕腹が減る。飢(う)える。

※夜深靜臥百蟲絶:夜、深なって静かに横になっていれば、多くの虫の声が途絶え。 ・夜深:夜が更ける。中唐・白居易の『夜雪』に「已訝衾枕冷,復見窗戸明。
夜深知雪重,時聞折竹聲。」とある。 ・靜臥:静かに横になる。 ・百蟲:色々な虫。多くの虫。 ・絶:(虫の声が)途絶える。

※清月出嶺光入扉:清らかな月が、嶺(みね)を出て、月光が扉(とびら)から入ってくる。 ・清月:くもりのない月。

※天明獨去無道路:天が明るくなったので、独(ひと)りで出かけようと思うが、道らしい道が無く。 ・天明:夜明けになる。明けがたになる。 ・獨去:独(ひと)りで出かける。 ・無道路:道らしい道が無い。

※出入高下窮煙霏:道は高くなったり、下に下がったりして変化に富み、朝靄(もや)を窮(きわ)めるまで行った。 ・出入:出たり入ったりする。行ったり来たりする。 ・高下:高くなったり低くなったり。唐・魏徴の『述懷』に「中原初逐鹿,投筆事戎軒。縱計不就,慷慨志猶存。杖策謁天子,驅馬出關門。請纓繋南越,憑軾下東藩。
鬱紆高岫出沒平原。古木鳴寒鳥,空山啼夜猿。既傷千里目,還驚九折魂。豈不憚艱險,深懷國士恩。季布無二諾,侯嬴重一言。人生感意氣,功名誰復論。」とある。 ・窮:〔きゅう;qiong2○〕窮(きわ)める。 ・煙霏:〔えんぴ;yan1fei1○○〕たなびく靄(もや。)煙がたなびく。

※山紅澗碧紛爛漫:山は紅(くれない)で、谷川の流れは、碧(みどり)色で、混じり合って、光り輝いており。 ・山紅:山は、紅(くれない)になる。SV構文。 ・澗碧:谷川は、碧(みどり)色である。SV構文。 ・澗:〔かん;jian4●〕谷川。 ・紛:〔ふん;fen1○〕入り乱れる。 ・爛漫:〔らんまん;lan4man4●●〕光り輝くさま。あふれ散らばり消える。花が咲き乱れるさま。

※時見松櫪皆十圍:時々、松や櫪(くぬぎ)の十かかえほどもあるのを見かける。 ・時見:時折見かける。 ・松櫪:〔しょうれき;song1li4○●〕松と櫪(くぬぎ)。 ・十圍:十(とお)かかえ。十人よって抱え込む(大きさ)。

※當流赤足蹋澗石:谷川の流れに行き当たったので、裸足(はだし)になって、谷川の石を踏めば。 ・當流:(谷川の)流れに行き当たる。 ・赤足:裸足(はだし)。 ・蹋:〔たふ;ta4●〕踏(ふ)む。=踏。 ・澗石:〔かんせき;jian4shi2●●〕谷川の石。

※水聲激激風吹衣:水の音は激しく、風は衣(ころも)に吹きつけてくる。 ・激激:〔げきげき;ji1ji1●●〕水の勢いの激しいさま。

※人生如此自可樂:人生とは、このように自ら楽しむべきものであって。 ・人生:人生。人が生きる。 ・如此:このよう(に)。 ・自可樂:自(みずか)ら楽しむべきものである。或いは、後出の東晉・陶潛『飮酒二十首』其八の「吾生夢幻間,何事紲塵羈。」の部分を指して、韓愈自身の答を詠ったのか。

※豈必局束爲人鞿:他人のために繋がれてちぢこまっているということが、どうして必要なのか。 ・豈必:必ずしも…するには及ばない。 ・局束:〔きょくそく;ju2shu4●●〕体や心が縮こまる。のびのびしない。 ・爲人:〔ゐじんwei4ren2●○〕他人のために。他人に向かって。蛇足になるが、「爲人」:〔ゐじんwei2ren2○○〕はひととなり。人柄。人格、のこと。 ・鞿:〔き;ji1○〕きずな。束縛。作者は動詞として使っている。東晉・陶潛『飮酒二十首』其八に「松在東園,衆草沒其姿。凝霜殄異類,卓然見高枝。連林人不覺,獨樹衆乃奇。提壺撫寒柯,遠望時復爲。吾生夢幻間,何事紲塵
。」とある。陶淵明の使用例は、名詞。

※嗟哉吾黨二三子:ああ、わたしの仲間の二、三人よ。 ・嗟哉:〔jie1zai1○○〕ああ。おお。歎息する。感嘆する。ここは、前者の意。 ・吾黨:わたしの仲間。 ・二三子:二、三人の者。

※安得至老不更歸:どうして歳を取って、なおまた隠棲することが得られないのか。 ・安得:〔あんとく;an1de2○●〕どこに求められよう。どうして…だろうか。いづくにか…を得ん。いづくんぞ…なるを得んや。東晋・陶潜の詩『諸人共游周家墓柏下』「今日天氣佳,清吹與鳴彈。感彼柏下人,
安得不爲歡。」や、宋・陸游の『浪淘沙』丹陽浮玉亭席上作に「克暗長亭。幾把離尊。陽關常恨不堪聞。何況今朝秋色裏,身是行人。   C涙浥羅巾。各自消魂。一江離恨恰平分。安得千尋鐵鎖,截斷煙津。」、(『昭明文選・巻十三』)「楚襄王遊於蘭臺之宮,宋玉景差侍,有風颯(『文選』では「颯」字は「颯」の偏と旁が逆になっている)然而至,(襄)王廼披襟而當之曰:『快哉此風!』寡人(寡人:朕)所與庶人共者邪?」襄王の「素晴らしい風だが、帝王と庶民はこの風を共有しているのか、」との問いに対して、宋玉は「宋玉對曰『此獨大王之風耳,庶人安得而共之?』」とあり、漢の高祖・劉邦の『大風歌』「大風起兮雲飛揚。威加海内兮歸故ク。安得猛士兮守四方。」、或いは、李Uの「金鎖已沈埋,壯氣蒿莱。」や、韓愈自身の『忽忽』「忽忽乎余未知生之爲樂也,願脱去而無因。安得長翮大翼如雲生我身,乘風振奮出六合。絶浮塵,死生哀樂兩相棄,是非得失付關l。」がある。 ・至老:老齢になっても。年をとっても。 ・不更歸:なおまた隠棲することがない。「更不歸」の意。

               ***********




◎ 構成について

 韻式は、「AAAAAAAAAAA」。韻脚は「微飛肥稀飢扉霏圍衣歸鞿」で、平水韻上平五微,。この作品の平仄は、次の通り。

○●●●○●○,(韻)
○○●●○●○。(韻)
○○●○○●●,
○○●●○●○。(韻)
○○●●●●●,
●●○●●●○。(韻)
○○●●●○●,
◎●●●●●○。(韻)
●○●●●○●,  絶
○●●●○●○。(韻)
○○●●○●●,
●●○●○○○。(韻)
○○●●○●●,
○●○●○●○。(韻)
◎○●●●●●,
●○●●○○○。(韻)
○○○●●●●,
●●●●●○○。(韻)
○○○●●○●,
○●●●●●○。(韻)

2008.10.6
     10.7
     10.8



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