天涯 | |
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唐 李商隱 |
春日在天涯,
天涯日又斜。
鶯啼如有涙,
爲溼最高花。
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天涯
春日 天涯 に在り,
天涯に日 又 た斜めなり。
鶯 啼 きて 涙 有るが如く,
爲に溼 す 最高の花を。
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◎ 私感註釈
※李商隠:晩唐の詩人。杜牧、温庭筠らと同時代人。812年(元和七年)〜856年(大中十年)。字は義山。河内(現・河南省)の人。玉溪生とも号した。独自の世界を開いた。
※天涯:空の果て。遙かなところ。非常に遠いところ。
※春日在天涯:春の日に、地の果てにいる。 *「春日在天涯,天涯日又斜」に、頂真格の表現(前句の末尾の語を次句の冒頭に重複して使用する表現形式)が使われる。無名氏『木蘭詩』に「歸來見天子,天子坐明堂。…出門看火伴,火伴始驚惶。」とある。 ・春日:春の日。 ・在:…にいる。
※天涯日又斜:地の果てに、太陽が(今日も)また沈もうとしている。 ・日又斜:太陽が(今日も)また沈もうとしている。 斜:(日が)傾く。
※鴬啼如有涙:(春の季節を象徴する)ウグイスが、涙があるかのように鳴いて。 ・鴬:(春の季節を象徴する)ウグイス。 ・啼:(鳥やけものが)鳴く。 ・如:…かのようである。ごとし。 ・有涙:涙がある意。涙ぐむ意。
※為湿最高花:そのために、一番上に著(つ)いている花が濡れている。 ・為:ために。 ・溼:しめらす。うるおす。=濕、湿。 ・最高花:一番上に著(つ)いている花。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「涯斜花」で、平水韻下平六麻。この作品の平仄は、次の通り。
○●●○○,(韻)
○○●●○。(韻)
○○○●●,
●●●○○。(韻)
2017.1.26完 1.30補 |
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