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   竹枝詞
          唐  劉禹錫


山上層層桃李花,
雲間煙火是人家
銀釧金釵來負水,
長刀短笠去燒


**********
       

山上 層層たる  桃李の花,
雲間の 煙火は  是れ 人家。
銀釧 金釵  來りて 水を負ひ,
長刀 短笠  燒に 去
(ゆ)く。

      **********

私感註釈

※この作品は「尊前集」にはない。
※山上:山の上に。
※層層:何層にもなった。幾重にもなった。
※桃李花:モモやスモモの花。
※山上層層桃李花:山の上には幾重にもなったモモやスモモの花があり。
※雲間:(山腹の)雲の間。
※煙火:炊煙。
※是:(白話)…は…だ。
※人家:人家。
※雲間煙火是人家:雲の間から(立ち上る)煙は、人家(のところ)だ。ここは杜牧の「山行」の「白雲生處有人家」からきているかも知れないが、ニュアンスがやや異なる。
※銀釧金釵:銀の腕輪や金の髪飾り。若い女性を謂う。
※來:(白話)他の動詞の前に用いて、動作に取り組む積極的な姿勢を示す。 ・來負水:(銀の腕輪や金の髪飾りをしながら)水を背負うことをする。
※負水:水を背負って(運ぶ)。
※銀釧金釵來負水:銀の腕輪や金の髪飾りをして、水を背負って。
※長刀短笠:長い刀を差して、笠を被った。成年男子のことを謂う。
※去:(白話)行く。でかける。前出の「來」に合わせて使っている。
※燒:焼き畑をする。
※長刀短笠去燒:長い刀を差して、笠を被った男の人が、焼き畑をしに出かけた。



◎ 構成について
  
 平韻一韻到底。 韻式は「AAA」。韻脚は「花家」で、平水韻下平六麻。次の詞調はこの作品のもの。


   ○●○○○●○(韻)
   
○○○●●○○。(韻)
   ○●○○○●●,
   
○○●●●○○。(韻)
 

***********************

2002.5.26完

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