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D51/D61 その9-リアル・ライン/やえもんデザイン

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リアル・ライン

2007年5月に発売された、新規参入メーカー「リアル・ライン」の製品です。
新規メーカーでありながらプラ成型品、しかも従来大手メーカーが避けてきた細密化が徹底的に行なわれており、発売前から大きな話題になりました。

●通常ラインナップ(北海道型)

S1001 D51 710 標準型 2007年 D51 710 S1001
D51 710 標準型

2007年 (拡大写真)
リアル・ラインの第1作。
切り詰めデフ・密閉キャブのスタイルです。
S1002 D51 711 標準ギースル装備 2007年 D51 711 S1002
D51 711 標準ギースル装備

2007年 (拡大写真)
同時発売の、ギースルエジェクタ装備機です。

2006年末に発表され、半年ほどで発売された製品です。初回の入荷数は非常に少ないもので、予約していても入手が困難でした。
プラスチックを基本とした製品で、部品を手作業で修正しながら組み立てたらしく、製造に苦労した様子が伺えます。
現役時代の北海道型の雰囲気はとてもよく出ています。初回品は組み立ての歪みが目に付く箇所もありましたが、その後少しずつ修正されています。

機関部の全長はマイクロエースと同じくらいですが(すなわちボイラーがやや長い)、見かけの高さはだいぶ低く見え、特に前面やドームの印象がよいです。模型化において、スケールに多少の限界があっても、デザインしだいでは似せられることがよくわかります。
キャブの形が今一歩なのがちょっと残念で、これはその後発売された開放キャブの製品で特に目立ちます。

走りの滑らかさはKATOやマイクロエースにはかないませんが、ちゃんとエンジンドライブの動力ユニットを開発しており、模型の扱いに慣れた方なら常用することが可能です。 第1動輪の上部も向こう側に抜けています。最小曲線半径はR341以上と大きく設定されています。

KATOとリアル・ラインのキャブの高さ キャブの屋根の高さは、約1/140であるKATO旧製品と比べてあまり差はありません。
左がKATO、右はリアル・ラインです。

初回出荷分は、ハンドレールのノブなどが破損しやすかったため、同年12月の再生産でパーツの材質が見直され、だいぶ丈夫になりました。

リアル・ライン製品(初年度)については、下のジャンプ先にも掲載しました。
D51北海道型(リアル・ライン)
D51 710(リアル・ライン)2次製品

●プレミアム・コレクション(なめくじ)

2009年以降は、対象をよりマニアックな層にシフトし、「プレミアム・コレクション」「フルディテールシリーズ」という製品展開がなされました。
これは各機関区の特定機に向けた細密化を行ない、少量ずつ発売するというもので、東北・北陸の特定機を皮切りに各種発売されました。
これはその中のひとつです。

S2015 D51 1 青森機関区 2009年 D51 1号機 S2015
D51 1 青森機関区

2009年 (拡大写真)
東北最終仕様ということで、晩年のイベントを想定した光沢塗装です。
1号機には他につや消し仕様の製品もあります。

品番はS2000番台となっており、通常シリーズとは違うものとされています。ライトはLEDによる点灯式になりました。
キャブは密閉キャブのドアをカットして使用しているようで、細いので乗員が落っこちそうですが、それを除けば全体の印象はよいです。特に前面やドームの形状はさすがです。初回品でみられたランボードやデフの歪みはほとんどなくなりました(初回とあまり変わらないところもありますが…)。

値段は1万円以上アップして、2万円台後半になりました。ただ、発売数や工数のかかり方を見ると、このあたりが本来妥当な値段だったような気がします。実際のところはわかりません。

まったくの標準タイプなどは大手メーカーに任せて、めったに発売されない特定機を発売することに特色を出そうとしていたようです。2010年にはKATOよりD51 498が発売されましたが、ほぼ同時期にリアル・ラインからも現役時代と2010年の後藤デフ付きの姿で、D51 498が3種発売されています。

●フルディテールシリーズ(D61)

フルディテールシリーズの品番は通常ラインナップと同じS1000番台ですが、価格帯や特定番号別の細密化という路線は先のプレミアム・コレクションと同じです。
これはその中のD61シリーズです。

S1102 D61 1 深川機関区時代 2011年 D61 1号機 S1102
D61 1 深川機関区時代

2011年 (拡大写真)
D61の特徴である特殊な従台車は、真鍮ロストワックスで製作されています。火室下の速度検出器などもよい雰囲気です。

リアル・ラインは特に北海道型D51のデザインには確固たるイメージがあるようで、全体的な実物らしさはよく伝わってきます。思い切ってキャブを直してほしかったのですが、これは今までと変わりません。
説明書の「当製品の特徴」には、「石炭、ナンバープレート、配管もすべて取り付け済みの完成品です。」とありますが、私が買った製品で取り付け済みだったのはナンバーだけで、石炭・ランボード下のテンダー予熱管やキャブ下配管・オイルポンプ箱は未取り付けで別添されていました。この写真は配管類だけ取り付けてみたものです。
D61(リアル・ライン)

●2012年以降

リアル・ラインはデビューから5年たった2012年に休店となりました。この間に残した製品は膨大な数に上りました。
リアル・ライン製品リスト
全部お持ちの方、いらっしゃいますか?


やえもんデザイン

ディテールアップ用パーツをリリースしてきたやえもんデザインから、本格的な上廻りコンバージョンキットとして発売された製品です。 マイクロエースのD51の下廻りとテンダーを利用しますが、加工によってKATOのD51も使用できます。
NゲージのD51では、こうしたキットは初めてということもあって注目を集め、初回生産分は予約完売になってしまいました。

●標準型

YD51-1 D51 標準タイプ 2009年 D51 標準タイプ YD51-1
D51 標準タイプ

2009年 (拡大写真)
同社コンバージョンキット第1作です。
YD51-2 D51 長工タイプ 2009年 D51 長工タイプ YD51-2
D51 長工タイプ

2009年 (拡大写真)
長野式集煙装置と変形デフ仕様です。比較的早く生産終了になりました。デフ周辺の工作がキモです。
YD51-3 D51 鷹取タイプ 2009 D51 鷹取タイプ YD51-3
D51 鷹取タイプ

2009年 (拡大写真)
鷹取式集煙装置と重油タンクが特徴です。デフは点検扉付きです。
YD51-4 D51 後藤タイプ 2009年 D51 後藤タイプ YD51-4
D51 後藤タイプ

2009年 (拡大写真)
何と言っても後藤デフが目を引きます。

これら4種が初回のシリーズです。1〜2ヶ月ごとに再生産されましたが、長工タイプは早期に終了となってしまいました。

ややスタイルにクセのあるマイクロエース製のボディーを、実機の雰囲気を最優先した金属ボディーでまとめ直そうという製品です。
従って基本寸法は元の製品に準じます。発売前のサイト表記では、バランスを考慮し約1/147になっているとされていました。ベース車両に応じた車高がありますが、金属製ボイラーの厚みはプラに比べてずっと薄いので、その分だけ少し車高が下がります。 印象は元のプラ製ボディーに比べてはるかにD51らしくなっています。スケールではなく似顔絵として見せる製品だと思います。

キャブ周辺 ドーム周辺 煙室扉
キャブのスタイルが的確で目を引きます。 砂撒管は1本ずつロスト一体になっており、先端をドームに差し込むだけで完成します。 煙室扉も開閉可能で、内部にはカンヌキが付いています。

キット第1作とはいえ、全体の作りには破綻がなく、他社のキットを組んだ経験があれば迷う部分はありません。
ボイラーはプレス加工済みでテーパー部も表現されています。部分的に少し大きく見えるものもありますが、細かいディテールパーツもほとんどがロストになってまいす。
煙室扉上部の手すりは、ごく細密な挽物のハンドレールノブと細線による表現です。こうした各部の細密化も特徴のひとつなので、慣れない方は細かい部分に苦労されるかもしれません。

ベース車両をそのまま使うとモーターがキャブ後方にはみ出しますが、小型モーターに交換する人のためにキャブ後妻も付属しています。写真の作例はすべてBトレイン・ショーティーのモーターに交換してあります。

翌年になって、北海道型2種が発売されました。ひとつはマイクロエース以来のD61です。

YD51-5 D51 北海道タイプ 2010年 D51 北海道タイプ YD51-5
D51 北海道タイプ

2010年 (拡大写真)
密閉キャブと切り詰めデフが特徴です。カバー付きの逆止弁や、ランボード後方に沿っているテンダーの予熱パイプも付いています。
YD51-6 D61 北海道タイプ 2010年 D61 北海道タイプ YD51-6
D61 北海道タイプ

2010年 (拡大写真)
独特な2軸従台車が付属しています。従輪は別途用意する必要があります。

これらの作例では未取り付けですが、標準タイプ以外にはロストのスノープローが付属しています。

D51貨物列車

こちらでもご紹介しています。
D51-やえもんデザイン
D51の組み立て(やえもんデザイン)

●なめくじ

約半年おいて、「なめくじ」タイプが3種発売されました。

YD51-7 D51 なめくじ標準タイプ 2011年 D51 なめくじ標準タイプ YD51-7
D51 なめくじ標準タイプ

2011年 (拡大写真)
なめくじ形の第一弾です。作例では動力逆転機を付けましたが、キットは手動逆転機の姿です。
YD51-8 D51 なめくじ長工タイプ 2011年 D51 なめくじ長工タイプ YD51-8
D51 なめくじ長工タイプ

2011年 (拡大写真)
組み立てのポイントはやはり長工式デフで、取り付けステー部をちぎらないようにご注意。
YD51-9 D51 なめくじ北海道タイプ 2011年 D51 なめくじ北海道タイプ YD51-9
D51 なめくじ北海道タイプ

2011年 (拡大写真)
煙突に回転式火の粉止めの切り欠きがあるのがポイント。この作例はテンダー前面に後退角をつけました。

標準型と同じくマイクロエースまたはKATO旧製品を利用するコンバージョンキットです。なめくじドームは煙突の直後で前後2パーツに分かれており、煙突部分の形状の作り分けを行なっています。ここの接合とボイラーへの削り合わせがこのキット組み立てのキモです。
ドームはちょっと高めにデザインされているので、そのまま組むと最高部はKATO(旧)やマイクロエースとあまり変わらない高さになります。しかし種車の動力にうまく合うようバランスが取られているため、似顔絵モデルとして全体の印象は整っています。
丸みのある煙室枠となり、キャブも標準型と比べて若干短めに作られています。
D51なめくじの組み立て(やえもんデザイン)

●KATO新D51ベース

2015年にはそれまでのマイクロエース(またはKATO旧製品)ではなく、KATOの新D51をベースとした臨時企画品が発売されました。

D51 862(中央西線時代) 2015年(写真なし)
長工デフと上部が切り取られた煙室扉、そして前後が斜めにカットされた独特なドームが特徴です。

D51戦時型キット+バラエティーパーツセット 2015年(写真なし)
そのままで船底テンダーの戦時型D51を組むことができ、さらに他車種も組めるよう各種パーツを添付したものです。

たくさんのD51が発売されていますが、1,115両も作られ全国で活躍した人気形式ですから、今後もまだまだ新しいバリエーションが発売されるかもしれません。
(おわり)


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