確かにこのアルバム、ほとんどWayne Henderson一色と言っても過言ではないほどWayne色に色濃く染められています。しかもあのWilton Felderでさえ14曲中3曲と、出番を控え気味。それでもなおCRUSADERS特有の色香を漂わせ、熱気を発散しているのは、Wayne Hendersonのハートの奥深くに闘魂の刺青が刻み込まれているからでしょう。
それにしても「Overjoyed」から「Imagine」に至るグルーブ感は素晴らしい。誰しも胸中に隠し持つ感性のハンカチを、感激汁でじっとりと濡らす「泣き」のシーンから入り、ハードボイルド・ファンク「Clima Suave」を経て、「Trail of The Sidewinder」で、あの「レオン」の最初のアパートでの凄絶な殺戮シーンのようなイメージを演出したかと思うと、一転して胸キュンと締め付けるような切なさの「Imagine」のロニーローズのソプラノ・サックスでとどめを刺しに来ます。
「Prodigal Son」では何と和楽の琴とインド楽器のシタールを交えて、異国情緒纏綿としたオリエンタル・ファンクを醸し出すのです。ファンク醸造酒の趣きか。
そして極めつきは「Over The Rainbow」。心のハンカチーフをびっしょり濡らした感激汁がWayne渾身のトロンボーン・バラッドで搾り出されます。だから聴いた後ハートを陽に照らせばカラッと乾いてスッキリすること請け合いですヨ。
ただ一言、13、14曲は当世流行のあの過剰なワイヤー・アクションをついつい彷彿とし、コレはエンド・ロールにはちょっと不向きかなって思いました次第。
|