40歳~からの読書回帰
111回~
第51回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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薔薇忌 皆川博子 実業之日本社(文庫) 640円(込) 978-4-408-55175-3 |
幻想文学の 現実と非現実のはざまで 彩り怪しくも怪奇で耽美(もちろんBLのことではないです)な世界に浸るということを、読書に許された大きな特権といわずしてなんとしよう。ところが 古典な上田秋成・泉鏡花~はぴんとこないし、伝奇な国枝史郎・夢野久作~はちょっと…という御仁のための第95回直木賞受賞作家・皆川博子です。どの著作をとっても等しく目を引くのはその装丁の綺麗さで、作品世界のイメージどおりなのはいいのですがその分?ちょい値段張るもの多し(文庫であっても)です。そして古いものは入手難(>_<)。導入には本書を、さらに深みにはまりたい方は「開かせていただいて光栄です:早川文庫」へ、懐に余裕の方は「皆川博子コレクション~:出版芸術社」へどうぞ。 |
第52回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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33年後のなんとなく、クリスタル 田中康夫 河出書房新社 1,728円(込) 978-4-309-02334-2 |
現在50代のみなさま。今更元本の解説はいらないですね。ちょー流行りました。思えば著者が知事になり参議院議員になり…が当時どう想像できたでしょうか。トレンドの先端(死語)だった人は国政に出なければいけないという決まりがあるみたい。青島・石原~などなどノックさんは違うか(-_-;) |
第53回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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悟浄出立 万城目学 新潮社 1,404円(込) 978-4-10-336011-7 |
西遊記の悟浄、三国志・五虎将の趙雲、項羽の妻・虞美人の虞…などなど物語の脇役に甘んじている者たちが、実はこんな気持ちでいるかもねといったサイドストーリー的小説。 |
第54回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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猫は知っていた 仁木悦子 ポプラ社 637円(込) 978-4-591-11677-7 |
2月22日 猫の日にちなんで“三毛猫~”を挙げると思ったら大間違い、現場で事件を見ていた 家政婦ではなく黒猫のチミにて。ちょっと前 神田で講談社社文庫版をみつけて喜んでいたら、清張の「点と線」より前に出された本格推理の先駆けで、当時の物は市場にはだいぶ出回っていますね。昭和初期の兄妹探偵を主人公とするジュブナイル要素も強いもので、長い期間をおいてポプラ社から再刊されたシリーズは、今の目でもワクワクするほど色あせません。ルドルフ・ジジ・ヨゴロウザ・ピッチ…ネコものもまとめて読書回帰してください。 |
第55回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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春宵十話 岡潔 角川書店 562円(込) 978-4-04-409464-5 |
数学を志す方ならば知らない方はいないであろう人(名前だ・け・ならばなんと私でも知っている!)。幾何、代数、解析を多次元化する多変数解析函数論の研究者で…と後書きを丸写ししても何のことを言っているのか分かりません、が数学の利について“スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、春の野にどんな影響が有ろうとスミレのあずかり知らぬこと”と表現する感覚に惹かれます。論理の学問である数学をとらえる人の中心は 情緒であるという持論は、先日来の大学生・中学生の事件や年末よりのISに対する受け方など、まさに今の日本がもう一度考え直すべき事柄だと思います。偉大なる数学者の熱く美しい文章を、命日に紹介できるのも何かの縁かと。 |
第56回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜 普及版 エンツェンスベルガー 晶文社 1,728円(込) 978-4-7949-6454-0 |
数学の苦手なロバート少年が、バッタぐらいの大きさの“数の悪魔” の話術についつい乗せられて、聞きたくもない数学の話をしているうちに楽しさに引き込まれてしまう十二夜。はたして夢なのか現実なのか、子供向けにしておくにはもったいないくらい算数・数学の見地が拡がります。ユリイカ!と閃くときは得てして夢見心地ですしね。私の記憶は湯船で蘇ります。ボーッと繋がりかしら。算数つながりの紹介本、ラストはエンツェンスベルガーの名著で数学嫌いだったあのころを思い出し、読書回帰を始めてください。 |
第57回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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金沢あかり坂 五木寛之 文春文庫 540円(込) 978-4-16-790295-7 |
新幹線開業に沸く金沢を舞台にした小説。地名は勿論、ヒト・モノ・コトバに実在のモデルがあります。その中で今も3つ残る花街で芸妓となった主人公“凛”の心象を描く小説です。北陸の観光に 産業誘致にとニュースを賑わしていますが、清張の「ゼロの焦点」・西村京太郎「御当地電車殺人シリーズ?」・内田康夫「旅情事件シリーズ?」などなどより金沢という 緩く深く古くて革新な 話ことばや人や町を端的に描いています。人と物の流れがこの先どう変わっていこうとも、帰るとこんな感じの気持ちにさせてくれます。福岡生まれの金沢育ち(^_^;)といってもいい五木寛之氏の物語を読書回帰のとっかかりにして下さい。 |
第58回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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あのこ BL出版 1,944円(込) 978-4-7764-0675-4 |
先日3月20日、松谷みよ子氏に続き児童文学の世界で知らない人は、おそらくいないであろう今江祥智氏が亡くなられました。教科書にもよく掲載された作品の数々で、ああ
あの人かと思う事でしょう。理論社にて出版されていた本書が絶版となり、今年BL出版にて装丁も変え復刊となった矢先で残念です。 疎開先で出会った、馬と話のできるという女の子を守ることが出来なかった太郎の、その子が遠くに去ってしまってからの後悔と埋める事の出来ない喪失感の話。50近くでジュブナイルな気持ちを呼び起こさせてしまう、“いまだ木鶏たり得ず”の双葉山の心境ですか。ちょっと違います(-_-;) 好みの分かれるところですが、氏とコンビ作品の多い宇野亜吉良の幻想的なイラストは、今よりも背伸びしていたであろう当時の児童文学読者と太郎のもどかしい心象を、満たし滲んでいくようでイメージどうりですね。当時を思い出し、お世話になった氏を想い(小説ではなく絵本ですが)読書回帰を始めて下さい。 |
第59回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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ナナフシ 文藝春秋 1,620円(込) 978-4-16-390212-8 |
経済小説で有名な著者の、もちろん金融がらみではあるが
より人を描いた小説です。 |
第60回 | タイトル・著者・出版社・税込・ISBN | コメント |
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1981年のスワンソング 幻冬舎 1,728円(込) 978-4-344-02735-0 |
今から34年前の1981年、携帯もインターネットもない時代へタイムスリップし、音楽業界にて旋風を巻き起こす主人公
俊介。そりゃあそうです、後年のヒット曲を過去に持ってきて発表するという。何せヒットした(この場合はするであろう)曲ですから!!タイムスリップ物にありがちな
M・J・Fやド〇えもんみたいなことは言ってられないんですよ、歴史が変わろうがどうしようが、生きていくためには。マッキ-の「世界で一つだけの花」や聖子チャンの「赤いスイートピー」、サザンの「TUNAMI」などのお馴染みの曲が実名で出て、リリース(パクリ)し大ヒットさせます。ちなみに俊介のスワンソング、つまり最後に出した(パクッた)のが山下達郎の「クリスマス・イブ」でした。懐かしい曲もいっぱいです。鈴木英人
風の表紙もイカス!(死語)。読書にて回帰というよりJPOP回帰のような。 |
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