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ヨーロッパの美しい街並みや世界遺産をスケッチで紹介しています。

日本の風景“安曇野の四季”から(2) Azumino,Japan (2) etail

日本の風景“安曇野の四季”から Azumino,Japan (2003)


<安曇野で思うこと>

 安曇野へ出かけるようになって2年になります。
安曇野は風景画を描く人が一度は訪れる写生地でしょう。この地がどうして画家に好まれるのでしょうか、理由をいくつかあげてみると、まず考えられるのが主題となる3000m級のアルプスの山並みが程よい距離にとらえられることでしょう。
近景、中景に配慮しながら選んだ構図の写生適地はおおよそアルプスから10kmに求められます。この「山の高さ」と「距離」の関係は人間の視覚に程よい眺めとしての位置関係にあるのです。このことがかの地を一級の写生適地としていると思われます。
これを的確に証明できるのが池田町の会染からの有明山をモチーフにしたときでしょう、平野をへだててアルプスを望んだとき、近景の変化を考慮するといたるところに絵になる構図が得られるのです。
 つぎにあげられるのは季節の変化がはっきりしていてすばらしいことでしょう。自然を対象にした風景画では当然のことですが、この地の季節変化の美しさは格別です。とくに残雪のアルプスが望める早春ちょうど田植えの始まる頃と、アルプスに冠雪があった頃の紅葉の美しさです。しかしこれに反して夏と冬は比較的色の変化が少なく単調な景色に変わります。そして冬の気象条件は厳しくこの時期の仕事はそれなりに覚悟がいります。
 そして今ひとつこの地の特徴は方位がよいことです。安曇野の地形では東から西を、南から北を望む構図がとりやすいのですがこのために比較的逆光光線になることが少なくなるのです。したがってこの地での写生の日は早朝に起床して午前中に殆ど仕事を済ませる気持ちで出かけることが特に晴れた日には肝要です。

春−spring

 河川を通して見る風景は、途中に障害物がなく見通しがきくために遠景のモチーフが表現しやすく広がりのある構図がねらえます。これは白馬村の松川にかかる橋の上から正面に白馬鑓ヶ岳、左へ杓子岳、白馬岳と続く残雪の雄大なアルプスをねらったものです。















































春−spring

 例年ゴールデンウィークには、安曇野の春を求めて大勢の観光客が訪れます。その中でも多くの人が立ち寄るのが大王わさび農場です。ここはアルプスの雪解け 水を運んできたいくつかの河川が出会う地点で豊富な伏流水が広々としたわさび田を育てます。ワサビ農場のメインアプローチをねらったものです。















































春−spring

 松本から国道19号を北へしばらく行くと、右手に佐久方面への新しいルートが開通しました。この道路を登っていくと料金所の近くで急に視界が開けて来ま す、このあたりからの平野が安曇野の中心になります。手前の河川は犀川に合流する前の梓川、遠景のアルプスは蓮華岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳と続きます。


































夏−summer

 長峰荘に近い山ろくの中腹に朽ち果てた古刹があって、境内のうっそうとした木立の緑陰が真夏のスケッチにはとてもいい場所になります。
手前に新興の住宅が次々と建って近景が多少うるさいのですが、うまく処理すればなんとか構図が得られます。

















































夏 - summer

 安曇野は松本から北へ移動していくと池田町を過ぎるあたりから平野が少しずつ狭くなってきます。そのために車で北へ向かって走ると山並みがだんだん迫ってくるように感じ、比較的低い山の稜線がとても迫力があります。大町に近い田園から見たものです。



































秋 - autumn

 今年の初冠雪は昨年に比べると2週間ほども遅かったようです。それでも10月も半ばを過ぎると白馬連山の嶺々は白銀に覆われて、晴れた日には麓の山々の紅 葉と見事なコントラストを見せていました。この頃の河川には殆ど流水がないので展望のきく川原に下りるといたるところから構図が狙らえます。



































秋 - autumn

 安曇野平野から飛騨へ抜けるルートの途中、梓川に沿って釜トンネルをぬけるとそこはわが国でも有数の山岳景観が見られる上高地です。10月も末近くでは紅 葉の盛りは過ぎて唐松がわずかに黄金色の葉を残していました。晩秋の木立の中を歩いていくと葉を落とした梢の間からアルプスがよく見えるのです。



































夏−summer

 長峰荘に近い山ろくの中腹に朽ち果てた古刹があって、境内のうっそうとした木立の緑陰が真夏のスケッチにはとてもいい場所になります。
手前に新興の住宅が次々と建って近景が多少うるさいのですが、うまく処理すればなんとか構図が得られます。












































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