花間集　南郷子
南�ｸ子
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　李�c

　　　　　　　　　　　　　　　

乘彩舫， 過蓮塘。 棹歌驚起睡鴛鴦。 游女帶香伴笑， 爭窈窕。 競折團荷遮晩照。

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　　　　　　　　　　　　　南�ｸ子

　　　
彩舫に　乘りて　，
蓮塘を　過ぐ。
棹歌は　驚き起こす　　睡れる　鴛鴦を。
游女　香を帶び　　（よりそ）ひて　笑ひを 伴ひ，
窈窕たるを　爭ひ，
競ひて　團荷を　折りて　　晩照を　遮る。

****************** 私感訳注： ※この作品は『花間集』巻十にあり、同書の後ろから開いていけばすぐにあるという扱いである。 ※南�ｸ子：詞牌の一つ。詳しくは　「構成について」を参照。この作品は、李清照の最初期の作品『如夢令』「嘗記溪亭日暮，沈醉不知歸路。興盡晩回舟，誤入藕花深處。爭渡，爭渡，驚起一灘鴎鷺。」と似た感じである。李清照の方が後代の人になる。 ※乘彩舫：美しく彩りをした舟に乗り。　・彩舫：美しく彩りをした舟。　・舫：もやいぶね。二つ並べた舟。 ※過蓮塘：ハスの花が咲き乱れている池を通り過ぎる。　・蓮塘：ハスの花の池。　・塘：ため池。つつみ。 ※棹歌驚起睡鴛鴦：舟を漕ぐ歌声でびっくりさせて、（堤にいる）鴛鴦（のような男女）を眠りより起こしてしまった。　・棹歌：舟を漕ぐ歌声。　・驚起：びっくりして（眠りより）起きた。　・鴛鴦：オシドリ。鴛は雄のオシドリ、鴦は雌オシドリ。つがいで行動を取ることから、夫婦、男女中の良いことの比喩にも使われる。白居易の『長恨歌』にも「鴛鴦瓦冷霜華重，翡翠衾寒誰與共。」と使われている。 ※游女帶香伴笑：遊びに出かけている女性達は、（ハスの花の）香りをさせて、笑いながら体をすり寄せ合って。　・游女：遊びに出かけている女性達。　・帶香：（ハスの花の）香りが移って。　・：〔白話〕よりそう。（親しんで）しがみつく。（体を）すりつける。　・伴笑：笑いながら。 ※爭窈窕：お上品さを競い。　・窈窕：〔えうてう；yao3tiao3〕（女性の様子の）奥ゆかしい。上品な。美しい。『詩經』「關雎」では 「關關雎鳩，在河之洲。窈窕淑女，君子好逑。」と、女性のさまをいうが、陶淵明の『歸去來兮辭』「既窈窕以尋壑，亦崎嶇而經丘。」では本来の義である、山水や宮殿の奥深いさまをいっている。ここは、前者の意。 ※競折團荷遮晩照：競って円いハスの葉を折り取って（日傘にして）、夕方の太陽光にあたることを防いだ。　・競折：争って折った。　・團荷：円いハスの葉。　・遮晩照：夕方の太陽の光を遮る。日傘とすることをいう。 ◎　構成について 　　単調。三十字。換韻。この作品の韻式は「ＡＡＡｂｂｂ」。韻脚は「舫塘鴦」第二部七陽、「笑窕照」第八部去声十八嘯（笑照）、上声十七筱（窕）。次の詞調はこの作品のもの。 　　　　　　　 　　　　　　 　　　　　　　　　　 　　　○●●，（平韻） 　　　◎○○。（平韻） 　　　●○○●●○○。（平韻） 　　　○●●○○●●，（仄韻） 　　　○○●，（仄韻） 　　　●●○○●●●。（仄韻）

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