秋瑾漢詩 菊


鐵骨霜姿有傲衷,
不逢彭澤志徒雄。
夭桃枉自多含嫉,
爭奈黄花耐晩風。


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菊 
鐵骨の霜姿  傲衷 有り,
彭澤に 逢はざれど  志は 徒
(いたづ)らに雄(たか)ぶる。
夭桃
(えうたう) 枉(いたづ)らに自(みづか)ら 多(た)として 嫉(ねたみ)を含む,
いかでか 黄花  晩風に耐へん。


           **********
◎私感注釈

※菊:霜にうたれ、苦難に耐える菊の姿に、自分の姿を託している。

※鐵骨霜姿有傲衷:凛々しい姿の(菊の)枝ぶりが霜にうたれている姿には、強く誇らかな意気が見られる。 ・鉄骨:凛々しい姿の(菊の)枝ぶりをいう。 ・霜姿:(菊が)霜にうたれている姿。 ・有:持っている。ある。 ・傲衷:〔がうちゅう;ao4zhong1●○〕(霜に負けない)傲(おご)りの心境。強い心。雄雄しい心中。

※不逢彭澤志徒雄:(菊の真価を発見してくれた)彭沢県県令である陶淵明のような人物に出くわさなかったので、いたづらに昂(たかぶ)っているのだ。 ・不逢:出くわさない。菊の真価を発見してくれる陶淵明のような人物に出くわさなかった。 ・逢:偶然に出くわす。 ・彭澤:陶淵明が県令となったところの地名。転じて陶淵明。陶淵明は菊の真価を発見して、東のまがきに摘み採った。『飮酒二十首』其五「結廬在人境,而無車馬喧。問君何能爾,心遠地自偏。
采菊東籬下,悠然見南山。山氣日夕佳,飛鳥相與還。此中有眞意,欲辨已忘言。」とあるのに拠っている。 ・徒雄:いたづらに昂ること。

※夭桃枉自多含嫉:美しく咲き誇った桃の花には、意味もなく誇るので、嫉みが混じる。 ・夭桃:〔えうたう;yao2tao2○○〕美しく咲いた桃の花。若く麗しい桃の花。若い女性を指す。 *「菊」に対して使われている。ここでは、具体的には何を指しているのか。恵まれた階級を指すのか。 ・枉:〔わう;wang3●〕まげて。むりにも。ことさら。むだに。むざむざ。いたずらに。むなしく。
盛唐・李白の『清平調』三首之二に「一枝紅艷露凝香,雲雨巫山斷腸。借問漢宮誰得似,可憐飛燕倚新粧。」とあり、明・袁宏道の『荅君御諸作』に「溪鳥溪花盡寄聲:花源無路只空行。陶潛老被漁翁悞,把山累後生。」とある。 ・自多:自慢する。自分をひけらかす。後世、毛沢東は『送瘟神』其一で、「告青山自多,華佗無奈小蟲何!千村薜茘人遺矢,萬戸蕭疏鬼唱歌。坐地日行八萬里,巡天遙看一千河。牛郎欲問瘟神事,一樣悲歡逐逝波。」と使う。 ・含:…を浮かべる。心中に……を持つ。ふくむ。 ・嫉:ねたみ。

※爭奈黄花耐晩風:どのようにして菊の花が、晩(おそ)くから吹き出した風に耐えていくのだろうか。 ・争奈:どうして…になろうか。いかんせん。いかでか。 ・黄花:菊の花。 ・耐:耐える。 ・晩風:夕暮れ遅く吹き出した風。






◎ 構成について

    韻式は「AAA」。韻脚は「衷雄風」で、平水韻上平一東。次の平仄はこの作品のもの。

●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
○○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)

2005.8.30
     8.31完
2015.9.26補

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