漢詩
柬徐寄塵
祖國淪亡已若斯,
家庭苦戀太情癡。
只愁轉眼瓜分慘,
百首空成花蕊詞。
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柬徐寄塵
祖國 淪亡 已
(すで)
に 斯くの若し,
家庭の 苦戀 太
(はなは)
だ 情癡。
只だ愁ふ 眼を轉ずるまの 瓜分 慘たり,
百首 空しく成る 花蕊の詞。
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◎私感注釈
※柬:書翰を出す。≒簡。書簡。
※徐寄塵:秋瑾の極めて親密な友人。徐自華のこと。寄塵は字。潯渓女校の教務。後に、秋瑾の墓表を著す。
※祖国淪亡已若斯:祖国。 ・祖國:祖国。秋瑾は「漢民族の祖国」という意味でよく使うが、ここでは後出の「瓜分」の語を考えれば、清朝の大清と列強の関係をいうようである。 ・淪亡:(白話)滅亡。滅亡する。 ・已:すでに。とっくに。 ・若斯:かくのごとし。普通は「如此」とするが、「若斯」は
●○
で、句中
○○
とすべきところで使う。「如此」は
○●
となり、句中
●●
とすべきところで使う。る。ここのところは、
●○
とならねばならない(
○○
とすべきところ)。それ故、「若斯」となる。
※家庭苦戀太情癡:個人的な恋愛沙汰は、はなはだ情痴の限りである。 ・家庭:個人的な。私的な。 ・苦戀:恋愛沙汰。 ・太:はなはだ。あまりにも。白話では、好ましくないことによく使う。 ・情癡:色事に呆けている。また、その人物。ここでは、前者の形容詞の意。
※只愁轉眼瓜分慘:ただ、本当に悲しく愁うるのは、祖国が分割されて分け取り状態になっていることだ。 ・只愁:ただ…を愁うる。 ・轉眼:(白話)瞬く間。ちょっとの間。眼を転じたわずかな間のことを言う。 ・瓜分:(白話)分割。(国土を)分け取りにする。 ・慘:みじめなさま。ひどいさま。むごいさま。
※百首空成花蕊詞:多くの軟弱な詩歌がむなしく出来あがっても(それが一体どんな役に立つというのだ)。空成百首花蕊詞のこと。 ・百首:多くの詩作。多くの詩歌。 ・空成:無意味に出来あがる。むなしく出来あがる。 ・花蕊詞:婉約詞。
花の蕊を詠った婉約詞。軟弱な詩歌。嫋々とした詩詞。
◎ 構成について
平声一韻到底。韻式は「AAA」。韻脚は「斯癡詞」で、上平四支。この作品の平仄は次の通り。
●●○○●●○
,
○○●●●○○。
●○●●○○●,
●●○○○●○。
2002. 1.15完
2007.10. 6補
2012. 1.13
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