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漢詩 陸放翁   夜讀范至能攬轡録言中原父老見使者多揮涕感其事作絶句
            

            
        南宋 陸游

公卿有黨排宗澤,
帷幄無人用岳飛。
遺老不應知此恨,
亦逢漢節解沾衣。


    **********************

         夜に 范至能の『攬轡録』を讀み、「中原父老 使者を見て多く涕を揮ふ」と言ふ  其の事に感じて絶句を作る
           
公卿
(こうけい) 黨 有りて  宗澤を 排し,
帷幄
(ゐあく)  人の 岳飛を 用うる 無し。
遺老  應
(まさ)に 此の恨みを 知るべからざるも,
亦た 漢節に 逢ひて  衣を 沾
(うるほ)すを 解す。

             ******************


◎私感訳注:

※夜讀范至能攬轡録言中原父老見使者多揮涕感其事作絶句:夜に、范成大の『攬轡録』を読んで、書かれてあった『中原の父老は、南宋の使者を見て涕を揮うことが多い』と言うのを讀み、その事に感動して絶句を作る。 *媾和派の朝廷に反撥し、抗金派の立場で抗戦を歌いあげる。 ・夜:陸游の詩題での「夜」字の使い方は、『夜讀兵書』『夜登白帝城…』『夜讀岑嘉州…』『秋夜懷呉中』『秋夜讀書…』『秋夜不寐…』『冬夜不寐…』と「夜に(…する)」といった用法になっている。・讀:読む。「讀」は「范至能攬轡録言中原父老見使者多揮涕」にまでかかっている。ただ、読み下す時は切った方が、不正確になるのかも知れないが、わかりよい。正しくは、「夜に 范至能の『攬轡録』に『中原父老 使者を見て多く涕を揮ふ』と言ふを讀む」がよかろう。 ・范至能:范成大のこと。至能は字になる。その亡国の恨みの詩に『州橋』「州橋南北是天街,父老年年等駕迴。忍涙失聲詢使者,幾時眞有六軍來。」 がある。 ・攬轡録:范成大の著作物の名。 ・中原父老見使者多揮涕:金の領土となった中原に遺された(漢民族の)遺民は、南宋朝廷の使者を見て、涙を拭った。異民族の金の領土となってしまった中原に遺された漢民族の遺民は、南宋朝廷の使者を見て、中華佛國の者として涙を流して拝んだという。 ・感其事:「中原父老見使者多揮涕」との事に感動する。

※公卿有黨排宗澤:高官連中は、派閥を作って(勇将の)宗沢を排除して。 ・公卿:〔こうけい;gong1qing1○○〕高位高官のこと。三公と九卿の併称。ここでは、対金の媾和派の高級官僚のことになる。 ・有黨:党派を作る。党派がある。派閥がある。ここでは、対金抗戦派と媾和派のことをいう。 ・排:排除する。 ・宗澤:〔そうたく;Zong1Ze2○●〕抗金の勇将。北宋末南宋初の東京(開封)留守(守備隊長)。高宗に仕える。『宋史・列傳・卷三百六十・列傳第一百一十九・宗澤』に出る。『宋史・宗澤列傳』には、次のように記されている:宗沢は、首都を避難先の臨安から、再び宋王朝の本来の首都であった開封に戻すようにと、前後二十余回に亘って上奏した。しかし、毎回潛善等によって上奏文は抑えられ、宗沢は憂憤のあまり病を得、疽(かさ)を背中に発した。配下の諸将が見舞いに訪れたところ、宗沢は、矍然として、「吾 二帝を以て 塵に蒙らしめ(靖康之変、二帝の拉致のことをいう)、積憤 此(こ)こに至る。汝(なんぢ)等 能(よ)く 敵を殲(つく)さば、則(すなは)ち 我れ 死すとも 恨み無し。」と言ったので、皆 涙を流して、「敢へて 力を盡くさざらんや!(どうして力を尽くさないことがあろうか!)」と言った。配下の諸将が出ていった後に、嘆きながら杜甫の「蜀相」の詩句『出師 未だ捷(か)たざるに  身 先に 死し, 長(とこし)へに 英雄をして  涙を 襟に 滿たしむ。』を口にした。翌日、風雨がひどく、昼でも暗かった。宗澤は、一語も個人的なことに言い及ぶことが無く、但だ「河を渡れ(敵地へ討ち入れ)」と三たび連呼して、亡くなった。原文は「澤前後請上還京二十餘奏,毎爲潛善等所抑,憂憤成疾,疽發于背。諸將入問疾,澤矍然曰:「吾以二帝蒙塵,積憤至此。汝等能殲敵,則我死無恨。」皆流涕曰:「敢不盡力!」諸將出,澤歎曰:「『出師未捷身先死,長使英雄涙滿襟。』」翌日,風雨晝晦。澤無一語及家事,但連呼「過河」者三而薨。キ人號慟。遺表猶贊上還京。贈觀文殿學士、通議大夫,謚忠簡。」となっている。蛇足になるが、この故実は現在の中国の歴史教科書でも大きく採りあげられている。

※帷幄無人用岳飛:軍部、幕閣は、(抗金の英雄)岳飛を登用する人物がいない。 ・帷幄:〔ゐあく;wei2wo4○●〕帷と幄。たれぎぬ。幕。テント。「帷」は、たれまく(とばり)で、「幄」は、ひきまく(あげばり)。作戦計画を立てる所。大将の陣営。本営。本陣。ここでは、ここは、後者の意で、軍部、参謀本部の意で使われている。 ・無人:…する人がいない。だれも…しない。…する人物がいない。 ・用:登用する。用いる。 ・岳飛:〔がくひ;Yue4Fei1●○〕宋代相州湯陰の人。抗金の英雄。主戦派。そのため、講和派の秦檜の讒言により、罪を得て謀殺される。漢民族の英雄とされる

※遺老不應知此恨:宋の遺民は、この(南宋の政界内部の)恨みごとを知るまい(が)。 ・遺老:金の領土となった淮河以北に取り残された漢民族をいう。宋の遺民。南宋時代の宋の遺民。南宋遺民。遺黎。南宋の張孝祥の『六州歌頭』「念腰間箭,匣中劍,空埃蠹,竟何成!時易失,心徒壯,歳將零。渺~京,干瀦懷遠,靜烽燧,且休兵。冠蓋使,紛馳鶩,若爲情?」や「聞道中原遺老,常南望,剃ワ霓旌。使行人到此,忠憤氣填膺,有涙如傾。」や陸游の『病起書懷』「病骨支離紗帽ェ,孤臣萬里客江干。位卑未敢忘憂國,事定猶須待闔棺。天地神靈扶廟社,京華
父老望和鑾。出師一表通今古,夜半挑燈更細看。」や、南宋・范成大の『州橋』に「州橋南北是天街,父老年年等駕迴。忍涙失聲詢使者,幾時眞有六軍來。」とあり、辛棄疾の「渡江天馬南來,幾人眞是經綸手。 長安父老,新亭風景,可憐依舊。」や陸游の『書事』「關中父老望王師,想見壺漿滿路時。寂寞西溪衰草裏,斷碑猶有少陵詩。」とある。 ・不應:…ないことだろう。…べくもない。…たことがない。…ないはずだ。また、…べきでない。ここでは、前者の意。 ・知:分かる。知る。 ・此恨:この恨み。宗沢が外され、岳飛が、退けられた遺恨。軍部に受け容れられない恨み。また、亡国の恨み。ここでは、前者の意。晩唐・杜牧は、『泊秦淮』で「煙籠寒水月籠沙,夜泊秦淮近酒家。商女不知亡國恨,隔江猶唱後庭花。」 と詠うのは、後者の例。ここは、岳飛の『滿江紅』「康耻, 猶未雪。臣子憾, 何時滅。」 などを指そう。

※亦逢漢節解沾衣:(南宋政府の事情はわからなくても、それでも)なおまた、(漢民族である)南宋の使節に出くわせば、涙で衣服を濡らしているので、(その無念さを)理解できよう。 ・亦:…もまた。 ・逢:出くわす。出会う。 ・漢節:漢民族である南宋の朝廷の使節。本来の意は漢朝の使節。 ・解:〔かい;jie3●〕わかる。理解する。解る。とく。ゆるす。はなれる。なお、「解衣」で、服を脱ぐ、の意があるが、ここでは関係なかろう。 ・沾:〔てん;zhan1(tian1)○〕うるおす。濡らす。





◎ 構成について

韻式は「AA」。韻脚は「飛衣」で、平水韻上平五微。次の平仄はこの作品のもの。

     ○○●●○○●,
    ○●○○●●○。(韻)
    ◎●●○○●●,
    ●○●●●○○。(韻)

2005.12.31
2006. 1. 1
      1. 2

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