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 これは井古綆先生の詩で、読みも井古綆先生のものです。
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看坂上之雲劇第一部其一


夙識家貧孝子顯、
方知國小賢才生。
軍文共抱青雲志、
自此東瀛向盛榮。
邦家柱石依忠勇、
奬學富強行任重。
蠶食鯨呑被脅威、
東洋弱國凌揺動。
進路亡羊若汎雲、
三人懊惱亂紛紛。
他年史語濫觴事、
俳句騎兵于海軍。
先驅各國修騎馭、
改革歌壇廣俳句。
如湧智謀孚海軍、
明治三彦開雲霧。
凌雲閨秀放新光、
小説詩歌藻翰香。
男子キ之否粗野、
天ヘ廣遠亢希望。





つとに識る 家貧しくして孝子あらはれ、
まさに知る 国小にして賢才うまるるを。
軍 文 共に抱く 青雲の志、  
此れより東瀛とうえい 盛栄に向かふ。
邦家の柱石ちゅうせきは 忠勇に依るも、
奨学 富強は にん重きを行く。
蚕食 鯨呑 脅威をかうむり、
東洋の弱国 はげしく揺動。
進路亡羊ばうやう 汎雲はんうんごとく、
三人の懊悩あうなう 乱れて紛々。
他年史は語る 濫觴らんしゃうの事、
俳句と 騎兵と 海軍と。  
各国に先駆して 騎馭 き ぎょを修め、
歌壇を改革して 俳句を広む。  
湧くが如き智謀は 海軍をはぐくみ、
明治の三彦さんげん 雲霧を開く。
雲を凌ぐ閨秀けいしうは 新光を放ち、
小説 詩歌しいか 藻翰香る。
男子はすべれ 粗野にらず、
天は広遠をして 希望をかうせしむ。


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<汗顔>   生前より尊敬申し上げる文豪、故司馬遼太郎先生原作「坂の上の雲」のドラマを見て、作りました。ただし、漢詩としての性格上、ドラマのストーリーとのズレがあります。また、詩体は、従来の古詩とは異なり、律絶と同様な平仄に整えてあります。

  作るに当たっては、ドラマの解説中の語は、出来る限り使用を避けるように心がけました。なお、ウィキペディア及び広辞苑を参考にしました。



・軍文: 軍人と文人。
・東瀛: 日本をさす。
・柱石: 柱やいしずえのように頼みになる大切な人。
・奨学: 学問のすすめ。
・富強: 富国強兵。
・行任重: 正しくは任重而道遠。背に負う荷物が重くて、行くべき道が遠い。
・蚕食鯨呑: 蚕が桑の葉を食うように次第に他国を侵略し、鯨が小魚を飲み込むように弱国を併合すること。当時東アジアに及んでいる、西欧列強の植民地政策をさす。
・亡羊: 亡羊の嘆。ここでは学問の道が多方面に分かれているため思案にくれること。
・汎雲: ただよう雲。
・懊悩: 悩み。
・他年: 後年。
・濫觴: 物事の起源。俳句は正岡子規、騎兵の育成は秋山好古、海軍の東郷元帥の参謀となった秋山真之をさす。
・騎馭: 秋山好古が渡仏して学んだ乗馬術。
・俳句: 平仄の関係で俳諧をさす。
・如湧: 東郷元帥の言。「(秋山真之は)智謀湧くが如し」
・三彦: このドラマでの三人の俊髦をさす。
・閨秀: 女流作家をさす。当時女性の社会進出を文学に代表した。
・藻翰: はなやかで美しい文章。
・粗野: ハイカラをもじって対応させた、当時の風采・言動バンカラをさす。
・亢: たかぶ(らせ)る。 亢進。


2009.12.11




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