○燕丹=燕の太子 ○宿怨=かねてからの恨み ○蚕食=蚕が桑の葉を食うように次第に他国を侵略すること ○牙城=大将のいる城 ○淅淅=寂しい風の音 ○空山=寂しい山 ○江月=川に映る月 ○淡靄=あわいもや ○筑=琴に似た楽器 ○俠者=義に勇む男だて(刺客) ○対崢嶸=深い危険に向う ○群英=太子を含む見送りの人々 ○四坐=周りを囲んで
○淒淒=寂しく冷たいこと ○商韻=悲しい響き
(庚韻)
紀元前二二七年 荊軻は秦王刺殺に成功したところで生きて帰る可能性はない。太子丹を始め、この事を知る人々は喪服(白衣)を纏い、易水のほとりで別れを告げる。
「漸離、筑を撃ってくれ。わしは歌おう」 荊軻は立ち上がり歌った。 ・・・風蕭蕭として易水寒し、壮士ひとたび 去って復た還らず・・・
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