月出照松關, 松陰正滿地。 恐有山僧歸, 終夜不須閉。 |
松關
月 出 でて松關 を照らし,
松陰 正 に地に滿 つ。
恐 らくは 山僧の歸 る有 らん,
終夜 閉 づるを須 ゐず。
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◎ 私感訳註:
※唐順之:明の文学者。1507年〜1560年。字は応徳、また義修。荊川先生と呼ばれた。常州武進 (現・江蘇省に属す) の人。1嘉靖八年(1529年)の会試に首席で合格した博学多才の人。倭寇の防御に功があり、官は右僉都御史、鳳陽巡撫に至った。王陽明の弟子・王畿に良知説を学んだ。散文家としては、初め、偽古文派七子に倣った文を制作したが、後に悟って古文家として、王慎中、茅坤、帰有光らと並称された。
※松関:松を植えて門の代わりとしたもの。=松門。
※月出照松関:月が出て松の樹(を植えた門代わり)の門を照らしており。
※松陰正満地:(月光による)松のかげが、ちょうど地面に満ちている。 ・松陰:松におおわれているところ。「陰」:物におおわれているところの意のかげ。なお、「影」は、かげぼうしの意のかげ。
※恐有山僧帰:たぶん、山寺の僧が帰ってくることでもあるのだろう。 ・恐有:たぶん…だろう。おそらくは…あらん。「恐」:おそらく。たぶん。 ・山僧:山寺の僧。
※終夜不須閉:一晩中閉ざすに及ばない(ようだ)。 ・終夜:よどおし。一晩中。 ・不須:…する必要がない。…に及ばない。…すべきでない。…もちゐず。中唐・賈島の『三月晦日贈劉評事』に「三月正當三十日,風光別我苦吟身。共君今夜不須睡,未到曉鐘猶是春。」とあり、晩唐・于武陵の『勸酒』に「勸君金屈卮,滿酌不須辭。花發多風雨,人生足別離。」とある。
◎ 構成について
2016.3.15 3.20 3.21完 3.24補 |