陳與義春日　詩詞世界碇豊長の詩詞：漢詩 Chen Yuyi

春日
	南宋・陳與義

朝來庭樹有鳴禽，
紅綠扶春上遠林。
忽有好詩生眼底，
安排句法已難尋。





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　春日　                    　　　　　　　　　　　　　

朝來(てうらい)　庭樹(ていじゅ)に　　鳴禽(めいきん) 有り，
紅綠(こうりょく)　春を扶(たす)けて　　遠林に上(のぼ)る。
忽(たちま)ち　好詩の　　眼底に生ずる有り，
句法を安排(あんばい)するに　　已(すで)に尋ね難し。

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◎　私感註釈

※陳與義：南宋の詩詞人。字は去非。号して簡斎、無住、園公。洛陽の人。また、汝州葉県の人。ともに現・河南省。１０９０（元祐五年）～１１３８年？（紹興八年？）。政和三年に進士に及第するが、靖康の変に遭って南遷する。襄漢、湖湘へと移るが、召されて兵部侍郎となり、臨安に到着し、中書舎人に掌内制を兼ねた。

※春日：春の日。これは其の一。

※朝来庭樹有鳴禽：朝早くから庭の木に、よい声でよくさえずる鳥が来て。（近景）　・朝来：朝早くから。中唐・劉禹錫の『秋風引』に「何處秋風至，蕭蕭送雁群。朝來入庭樹，孤客最先聞。」とある。　・庭樹：庭の木。　・鳴禽：スズメなど、よい声でよくさえずる鳥。

※紅緑扶春上遠林：赤や緑に色づいた花や葉は、春の趣に手助けをするため、遠くの木の茂みに上っている。（遠景）　・紅緑：赤や緑に色づいた花や葉。　・扶春：春の趣に手助けをする。　・扶：茂る。　・遠林：遠くの木の茂み。

※忽有好詩生眼底：たちまち、佳（よ）い詩が目の中に生まれた（が）。　・忽：たちまち。急に。にわかに。　・眼底：目の中。

※安排句法已難尋：詩句をほどよく並べ組み立てる際の決まりが、もはや、なかなか捜せない。　・安排：〔あんばい；an1pai2○○〕ほどよく並べる。ほどよく加減する。また、手はずをつける。都合をつける。　・句法：詩句を組み立てる際の決まり。　・已：すでに。もはや。　・難尋：なかなか捜せない。　・尋：捜す。尋ねる。

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◎　構成について

韻式は、「ＡＡＡ」。韻脚は「禽林尋」で、平水韻下平十二侵。この作品の平仄は、次の通り。

○○○●●○○，（韻）
○●○○●●○。（韻）
●●●○○●●，
○○●●●○○。（韻）