Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


雁門太守行

李賀

黑雲壓城城欲摧,
甲光向日金鱗開。
角聲滿天秋色裏,
塞上燕支凝夜紫。
半卷紅旗臨易水,
霜重鼓寒聲不起。
報君黄金臺上意,
提攜玉龍爲君死。


******

雁門太守行       

黑雲 しろあっして  城 くだけんとほっし,
甲光かふくゎう 日に向かひ  金鱗きんりん ひらく。
角聲かくせい 天に滿つ  秋色のうち
塞上さいじゃう 燕支えん じ   夜 らす。
なかば卷ける 紅旗こう き   易水えきすゐに臨み,
霜は 重く は 寒くして  聲 起こらず。
君の黄金臺わうごんだいじゃうに むくひて,
玉龍ぎょくりょう提攜ていけいして  君が爲に死せん。


                      ****************

◎ 私感註釈

※李賀:中唐の詩人。字は長吉。官職名から李奉礼。出身地から李昌谷とも呼ばれる。昌谷(現・河南省洛陽附近『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期都畿道44-45ページ(中国地図出版社)にはなかった)の人。791年(貞元七年)~817年(元和十二年)。その詩風は不気味で、「鬼才」(日本語での意とは異なり、「幽鬼に通じる才能」)と評される。

※雁門太守行:異民族との戦闘の最前線である雁門の太守のうた。本来は漢楽府篇名で、相和歌辞・瑟調曲。 *作者・李賀は、『戰國策・燕策』を読んでいたのだろう。『戰國策・燕策』の241ページ、252ページ(わたしの持っている本・香港・商務印書館出版の『戰國策』臧励龢選註のものでのページ)にある「南有碣石
之饒」や「於是昭王爲隗而師之」とあるのによろうか。 *これは律詩ではない。色彩を表す語が効果的に使われて、凄絶な場面を強烈に訴えかけている。 ・雁門:〔がんもん;Yan4men2●○〕現・山西省北部の代県。大同の西南西120キロメートルのところ。大同と太原の中間点にある。鴈門北西すぐに鴈門関がある。その山を越えれば朔州で西北異民族との接点であり、最前線である。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)46-47ページ「唐 河東道」にある。張仲素の『塞下曲』に「朔雪飄飄開雁門,平沙歴亂捲蓬根。功名恥計擒生數,直斬樓蘭報國恩。」とある。  ・太守:(漢以降の)郡の長官。 ・行:うた。本来は楽曲の名称であるが、その歌詞の楽府題に附けられることが多く、「…(の)うた」といった詩題を構成する長詩の一体を謂う。

※黑雲壓城城欲摧:黒い雲(のような異民族の軍隊)が、城を押しつぶすように襲いかかってきて、城は摧(くだ)けそうになり。 ・黑雲:黒色の雲
■■■■。不吉な雲とされる。 ・壓城:城郭をおさえ(て押し潰すかように)。 ・摧:〔さい;cui1○〕くだく。

※甲光向日金鱗開:(我が軍の)よろいの輝く光は、日に向かって、黄金の鱗が開いたようだ。 ・甲光:よろいの輝き。 ・向日:太陽に向かって。 ・金鱗:黄金の鱗(うろこ)。よろいの表面を覆う小さな金属板のさま。■■■■

※角聲滿天秋色裏:(戦場では)角(つの)笛の音は、秋景色の天に満ちて響いて。 ・角聲:角(つの)笛の音。 ・滿天:空一面。空に満ちていること。 ・秋色:秋の景色。秋のけはい。

※塞上燕支凝夜紫:昼間の要塞(紫塞)での戦闘で、燕脂(えんじ)色の流血は、夜になって紫色に凝(かた)まった。 ・塞上:要塞で。要塞のほとり。 ・燕支:〔えんじ;yan1zhi1○○〕(「燕脂」ともする。臙脂(えんじ)色の血糊。「
えんじ色■■■■」。 ・凝夜紫:(昼間の戦闘で流した臙脂(えんじ)色の血が)夜になって紫色■■■■になって凝(かた)まっていることをいう。

※半卷紅旗臨易水:半ば巻いた紅旗は易水(河北省)に向かって臨み。 ・紅旗:あかい色
■■■■のはた。王事の象徴。天子や宮廷を象徴するもの。中唐・白居易の『劉十九同宿』に「紅旗破賊非吾事,黄紙除書無我名。唯共嵩陽劉處士,圍棋賭酒到天明。」とある。 ・易水:現・河北省/北京(現在の行政区劃では、北京市は直轄市として、河北省に含めない)の西南100キロメートルを流れる川。秦・始皇帝暗殺のための刺客・荊軻が「風蕭蕭兮易水寒,壮士一去兮不復還。」(『易水歌』)と歌って、燕・太子・丹や高漸離に別れを告げたところでもあり、流血の気が漂う川の名である。

※霜重鼓寒聲不起:寒気は激しく、霜は重く満ちて鼓の音は寒々として威勢がない。 *この句「SV+SV+SV」(「
」+「」+「不起」)となっているが、同義反復はなく、テンポよく展開している。(「霜重鼓聲寒不起」ともする。その場合の意は、「霜は重く満ちて、鼓は寒々と冷えて、音が立たない。」)なお、敢えて色と関聯づければ、霜。 ・不起:起こらない。

※報君黄金臺上意:我が君の黄金台(戦国・燕の昭王が人材を招いたところ)での皇恩に報(むく)いるために。 ・君:君主。第一義的には、戦国・燕の昭王のことになるが、ひろく主君の意でもある。 ・黄金臺:戦国・燕の昭王が台を築き、台上に千金
■■■■を置いて賢者を招いたと称される台。燕台。現・河北省東部/北京市西南附近の易水の畔にあった。『中国歴史地図集』第二冊 秦・西漢・東漢時期(中国地図出版社)41-42ページ「戦国 燕」にはない。初唐・陳子昂の『薊丘覽古 燕昭王』に「南登碣石館,遙望黄金臺。丘陵盡喬木,昭王安在哉。霸圖悵已矣,驅馬復歸來。」とある。 ・黄金臺上意:燕の昭王が、招いてくれた恩義のこと。

※提攜玉龍爲君死:剣を執(と)って、我が君の為に死のう。 ・提攜:〔ていけい;ti2xie2○○〕手をたずさえる。手を引いて行く。助け合う。協力する。聯合する。 ・玉龍:剣をいう。

               ***********




◎ 構成について

 韻式は、「AAbbbbbb」で、(他の詩人と比べて)極めて稀な形。韻脚は「摧開 裏紫水起意死」で、平水韻上平十灰と上声四紙。この作品の平仄は、次の通り。律詩ではない。

●○●○○●○,(A韻)
●○●●○○○。(A韻)
●○●○○●●,(b韻)
●●○○●○●。(b韻)
●●○○○●●,(b韻)
○●●○○●●。(b韻)
●○○○○●●,(b韻)
○○●○●○●。(b韻)

2008.10. 9
     10.10
     10.11完
2012. 9.21補
2015. 4.11



xia 1ye次の詩へ
shang 1ye前の詩へ
抒情詩選メニューへ
    ************
shici gaishuo詩詞概説
唐詩格律 之一
宋詞格律
詞牌・詞譜
詞韻
唐詩格律 之一
詩韻
詩詞用語解説
詩詞引用原文解説
詩詞民族呼称集
shichao shou ye天安門革命詩抄
Qiu Jin ci秋瑾詩詞
碧血の詩編
李煜詞
Xin Qiji ci辛棄疾詞
李淸照詞
陶淵明集
Huajianji花間集
Huajianji婉約詞:香残詞
Huajianji毛澤東詩詞
zhuozuo碇豐長自作詩詞
漢訳和歌
参考文献(詩詞格律)
cankao shumu(wenge)参考文献(宋詞)
本ホームページの構成・他
Riyu:zhiciわたしのおもい
hui shouye
huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye