白居易問劉十九　詩詞世界　碇豊長の詩詞：漢詩 BaiJuyi BaiLetian

問劉十九
	白居易

綠螘新醅酒，
紅泥小火壚。
晩來天欲雪，
能飮一杯無。

日本的ですが……

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劉十九に問ふ　　　

綠螘りょくぎ　　新醅しんぱいの酒，
紅泥こうでい　　小火せうくゎの爐ろ。
晩來ばんらい　　天雪ふらんと欲ほっし，
能よく一杯を飮むや無いなや？

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◎　私感註釈

※白居易：中唐の詩人。７７２年（大暦七年）～８４６年（會昌六年）。字は楽天。号は香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。平易通俗の詩風といわれるが、詩歌史上、積極的な活動を展開する。

※問劉十九：劉家の十九男（の劉軻）を慰問する。　・問：慰問（する）。　・劉十九：劉家の十九男の意で、劉軻のこと。嵩陽の人。十九は、排行。白居易の江州での詩作仲間・飲み友だちか。白居易に『劉十九同宿』「紅旗破賊非吾事，黄紙除書無我名。唯共嵩陽劉處士，圍棋賭酒到天明。」がある。

※綠螘新醅酒：緑色をした醪（もろみ）から新たに醸（かも）した酒と。　・綠螘：〔りょくぎ；lù（lǜ）yǐ●●〕緑色をした醪（もろみ）。醪（もろみ）の表面に浮く油。　・新醅：〔しんぱい；xin1pei1○○〕新たに醸（かも）した酒。

※紅泥小火壚：赤い埋（うず）み火の炉（ろ）（がある）。　・紅泥：赤い小さな火の塊。あるいは、コンロのような粘土（製の囲炉裏や火鉢）。　・小火炉：炉。ストーブ、火鉢のような暖房具。　・壚：酒の瓶を置いている土台。唐・蜀・韋莊の『菩薩蠻』「人人盡説江南好，遊人只合江南老。春水碧於天，畫船聽雨眠。　　壚邊人似月，皓腕凝雙雪。未老莫還鄕，還鄕須斷腸。」と使う。

※晩來天欲雪：夕暮れになって、空は、雪が降りだそうとしているので。　・晩來：夕暮れになって。　・天欲雪：空は、雪が降りだそうとしている。　・雪：雪ふる。動詞。

※能飮一杯無：ともに一杯やろうではないか？　・能…無：…できるでしょうか？　・無：文末にあって疑問を表す。杜甫の『贈高式顏』「自失論文友，空知賣酒壚。平生飛動意，見爾不能無。」ただし、東晉・陶潛の『歸園田居』五首の其四に「久去山澤游，浪莽林野娯。試攜子姪輩，披榛歩荒墟。徘徊丘壟間，依依昔人居。井竈有遺處，桑竹殘朽株。借問採薪者，此人皆焉如。薪者向我言，死沒無復餘。一世異朝市，此語眞不虚。人生似幻化，終當歸空無。」とあるのは異なった用例。

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◎　構成について

　韻式は、「AA」で、韻脚は「壚無」で、平水韻上平七虞。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●，
○○●●○。（韻）
●○○●●，
○●●○○。（韻）