Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


守睢陽作
                                                  

     唐・張巡

接戰春來苦,
孤城日漸危。
合圍侔月暈,
分手若魚麗。
屢厭黄塵起,
時將白羽揮。
裹瘡猶出陣,
飮血更登陴。
忠信應難敵,
堅貞諒不移。
無人報天子,
心計欲何施。



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睢陽(すゐやう)を守る作

接戰して  春(よりこのかた) 苦しみ,
孤城  日に(やうや)(あやふ)し。
合圍(がふ ゐ )  月暈(げつうん)(ひとし)しく,
分手(ふんしゅ)  魚麗(ぎょ り )(ごと)し。
(しばし)ば  黄塵の起るを(いと)ひ,
時に 白羽(はく う )(もっ)(ふる)ふ。
(きず)(つつ)み  ()(ぢん)()で,
血を飮み  更に()に登る。
忠信  (まさ)に 敵し(がた)かるべく,
堅貞(けんてい)  (まこと)に 移らず。
人の 天子に(はう)ずる無く,
心計  (いづ)くにか(ほど)こさんと欲する。

                    ****************





◎ 私感註釈

※張巡:唐の武将で、睢陽城(すいようじょう)を死守した。景雲三年(709年)~至徳二載(757年)。名・字は巡。南陽の出身。安禄山の乱で睢陽城(すいようじょう)を守った。やがて、賊軍(=安禄山側の軍)に囲まれ、奇抜な作戦で何度か危機を乗り切るものの、食料に困窮し、あらゆる物を食べ尽くし、最後には人を食べて奮戦したが、落城して殺された。

※守睢陽作:睢陽城(すいようじょう)守備の詩。 *「-城」は城市のこと。城郭都市。 ・睢陽:〔すゐやう;Sui1yang2○○〕(すいよう):安禄山の乱に、張巡・許遠がここ、睢陽城(すいようじょう)にこもって賊(=安禄山の軍)と戦って死んだ所。現・河南省商丘市?陽区。現・商丘市の南南西部分。また、西50キロメートルの所に睢水がある。睢水は『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)14-15ページ「北宋 京東東路 京東西路」にあり、その展開は『中国史稿地図集』下冊(郭沫若主編 中国地図出版社)19-20ページ「安禄山之乱」「史思明之乱」にあり、詳細は。『中国軍事史略』(軍事科学出版社)中巻「第八節 唐朝平定安史之亂的戰爭・平亂經過・二、肅宗平反・圍之戰/河陽、山之戰」(75~83ページ)に詳しい。

※接戦春来苦:せりあった勝負も、春になってより苦しくなってきて。 ・接戦:せりあった勝負。近づいて戦う。 ・春来:春になってよりこのかた。

※孤城日漸危:一つだけ離れてある要塞(=睢陽)は、日ごとにだんだんと危うくなってきた。 ・孤城:ぽつんと一つだけ離れてある要塞。ここでは、睢陽城のことになる。唐・王之渙の『涼州詞』に「黄河遠上白雲閒,一片
孤城萬仞山。羌笛何須怨楊柳,春光不度玉門關」とあり、唐・王昌齡の『從軍行』に「青海長雲暗雪山,孤城遙望玉門關。黄沙百戰穿金甲,不破樓蘭終不還。」とある。 ・日:日ごとに。 ・漸:だんだんと。

※合囲侔月暈:(敵軍が睢陽を)包囲して輪を閉じるさまは、月のかさに等しく(完全に円く囲んでおり)。 ・合囲:(戦闘で、部隊が協力し合って)包囲の輪を閉じること。 ・侔:〔ぼう;mou2○〕等しい。 ・月暈:〔げつうん;yue4yun4●●〕月のかさ。月の周りに生じる輪状の雲気。清・譚嗣同は『夜泊』で「繋纜北風勁,五更荒岸舟。戍樓孤角語,殘臘異鄕愁。
月暈山如睡,霜寒江不流。窅然萬物靜,而我獨何求。」と使う。

※分手若魚麗:(敵の部隊が)分散配置されているさまは、魚麗(ぎょり)の陣形のようである。 ・分手:人と人とが別れること。手を分かつこと。離別。 ・若:…のようである。ごとし。≒如。 ・魚麗:〔ぎょ
;yu2li2〕陣形の一。魚が群をなして進むような隊形。≒魚儷〔ぎょれい;yuli4○●〕魚の並んだような陣形。「儷」:〔れい;li4●〕対になった。

※屡厭黄塵起:戦場の黄色い砂煙を、しばしば厭(いと)わしく(感じられ)。 ・屡:しばしば。 ・厭:いとう。 ・黄塵:〔くゎうぢん;huang2chen2○○〕黄色い土煙。戦場の砂煙。唐・王昌齡の『塞下曲』に「飮馬渡秋水,水寒風似刀。平沙日未沒,黯黯見臨洮。昔日長城戰,咸言意氣高。黄塵足今古,白骨亂蓬蒿。」とある。

※時将白羽揮:(黄塵を払うために、また、諸葛孔明のように)白羽扇を持って、指揮するようになった。 ・将:(動詞)持つ。(介詞)…を以て。…で。ここは、前者の意。 ・白羽:ここでは、白羽扇のことで、「采配」の意。白羽扇は、三国・蜀の軍師・丞相・諸葛亮(=諸葛孔明)が白羽扇を帷幄の中で、文人然として用いたことを踏まえて、軍の采配を揮(ふる)う者の持つ物(=軍扇)の謂いとして使う。形は、日本の天狗の羽団扇(はうちわ)に似ている。 ・揮:ふるう。

※裹瘡猶出陣:傷を包んで、それでもなお出陣して。 ・裹:〔くゎ;guo3●〕包(つつ)む。すっぽり包む。くるむ。 ・瘡:〔さう;chuang1○〕きず。かさ。ここは、前者の意。 ・猶:それでも。なお。すら。さえ。

※飲血更登陴:血を飲んで、更に(城壁上の)ひめがきに登って。 ・陴:〔ひ;pi2○〕ひめがき。城壁の上の土塀で、穴をあけて敵を覗く装置のもの。凹形の小さな壁。

※忠信応難敵:「まこと」というものは、本当に抗(あらが)い難(がた)いものであって。 ・忠信:まごころ。まこと。忠は、「心について『まこと』」、信は「言葉について『まこと』」。 ・応:当然…なければならない。まさに…べし。 ・難:…しがたい。

※堅貞諒不移:「かたいみさお」は、変化することがない。 ・堅貞:〔けんてい;jian1zhen1○◎〕心がかたくて正しい。堅(かた)く貞節を守って屈服しない。 ・諒:〔りゃう;ling4●〕まことに。実に。 ・不移:変化することがない。

※無人報天子:天子にこたえようとする人がいなく(ても)。 *睢陽には、援軍が来ることはなく、孤立無援の中で戦っていた。 ・無人-:(…する)人がいない。後出・紫字参照。 ・報:こたえる。また、知らせる。告げる。ここは、前者の意。 ・報天子:天子にむくいる。天子にこたえる。君王の皇恩に(感謝して)こたえる。南宋・陸游は、『金錯刀行』で「黄金錯刀白玉裝,夜穿窗扉出光芒。丈夫五十功未立,提刀獨立顧八荒。京華結交盡奇士,意氣相期共生死。千年史冊恥無名,一片丹心
天子 。爾來從軍天漢濱,南山曉雪玉嶙峋。嗚呼,楚雖三戸能亡秦,豈有堂堂中國空無人 。」と使う。

※心計欲何施:(ひとりであっても)はかりごとを、どう行おうかと思っている。 ・心計:心で考えている計劃。もくろみ。策略。計略。はかりごと。胸算用。=心算。 ・何:どこで。いづく。 ・施:おこなう。もちいる。とり行う。

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◎ 構成について

韻式は、「AAAAAA」。韻脚は「危麗揮陴移施」で、平水韻上平四支。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●,
○○●●○。(韻)
●○○●●,
◎●●○○。(韻)
●●○○●,
○◎●●○。(韻)
●○○●●,
●●●○○。(韻)
○●○○●,
○○●●●。(韻)
○○●○●,
○●●○○。(韻)
2012.1.22
     1.23
     1.24
     1.25
     1.26
     1.27





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