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田園樂七首之六 | |
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唐・王維 |
桃紅復含宿雨,
柳綠更帶朝煙。
花落家童未掃,
鶯啼山客猶眠。
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田園樂 七首の六
桃は紅 にして復 た 宿雨を含 み,
柳は綠にして更 に朝煙 を帶 ぶ。
花 落ちて家童 未 だ掃 はず,
鶯 啼 きて山客 猶 ほ眠る。
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◎ 私感註釈
※王維:盛唐の詩人。701年(長安元年)?~761年(上元二年)。字は摩詰。太原祁県(現・山西省祁県東南)の人。進士となり、右拾遺…尚書右丞等を歴任。晩年は仏教に傾倒した。
※田園楽七首之六:田園(生活)はすばらしい。作者の罔川での田園生活を指すか。これは七首のうちのその六。美しい自然に囲まれた田園のすばらしさを詠う。*この六言詩の節奏は「□□+□□・□□」となっている。なお、(『楚辭』などを除いて、)一般的に七言詩の節奏は「□□・□□+□□□」(=「□□・□□+□□・□」or「□□・□□+□・□□」)であり、五言詩の節奏は「□□+□□□」(=「□□+□□・□」or「□□+□・□□」。)(『楚辭』
の場合では、七言句、五言句の場合も上述の形式は当て嵌まらない場合が多い)。
※桃紅復含宿雨:桃(の花)は赤く、その上に、前日から降り続く雨に湿っており。 *「〔桃は〕、【〔赤く〕、かつ、〔雨に濡れている〕】」意。 ・桃紅:桃(の花)が赤い、意。 ・復:再び。また。 ・宿雨:前日から降り続く雨。
※柳緑更帯朝煙:柳は緑色になり、その上、朝靄(もや)がかかっている。 *「〔柳は〕、【〔緑色になり〕、かつ、〔朝靄(もや)〕がかかっている】」意。 ・柳緑:柳が青い、意。 ・朝煙:朝靄(あさもや)。この語、作者は或いは「朝隠」の意を含ませたか。
※花落家童未掃:花は落ちたが、(一面に散った花びらを)召使いの少年(に)は、まだ掃(は)いて(/掃かせて)いない。 ・家童:召使いの少年。しもべ。めしつかい。下男下女。=家僮。 ・未掃:(美しいので、手を加えるのを控えたため、)まだ掃除をしていない意。中唐・白居易は『晩秋閒居』で「地僻門深少送迎,披衣閒坐養幽情。秋庭不掃攜藤杖,閒蹋梧桐黄葉行。」と使う。
※鴬啼山客猶眠:(日が出て、)ウグイスが啼いている(というのに、)山に住む人(或いは、作者自身をも指すか)は、まだ眠っているようだ。 *盛唐・孟浩然の『春曉』に「春眠不覺曉,處處聞啼鳥。夜來風雨聲,花落知多少。」とある。・山客:〔さんかく;shan1ke4○●〕山に住む人。山に尋ねてきた人。また、ツツジの別名。ここは、前者の意。 ・猶:まだ。いまだに…のようである。やはり。それでも。なおかつ。なお…ごとし。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「煙眠」で、平水韻下平一先。この作品の平仄は、次の通り。
○○●○●●,
●●●●○○。(韻)
○●○○●●,
○○○●○○。(韻)
2014.5.27 5.28 |
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