艶姿3人日記    

 

      エネルギッシュなTさん    のようなSさん    カランコロンにぎやかなYさん

 

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4月9日(火)    <わらびもちの物語>

 


福岡のある町に住んでいる,
わらびもちが大好きな親子のお話です。

お空はぬけそうなぐらい青く,
気持ちのよい或る日の午後。
その親子はいつもの散策コ−スを歩き,
ぶらりと商店街へ寄りました。

昔懐かしい荷車でわらびもちを売っていました。
白髪頭のおじいさんが売るわらびもちは
とっても美味しそうで,その親子は行列に
ならびました。

子どもは喜んで行儀よくならんでいました。
70代後半と見えるおじいさんの手は,
お世辞にも素早いとは言えませんでした。
今か今かと待ちわびてやっと順番が親子へ
まわってきました。

「そんな声をだすんやったらあっちで出してくれ。」
母親は子どもの事を説明しようと思ったけれど,
次の言葉が投げかけられました。
「あんたには売らん。あっちへ行ってくれ。」
期待に胸踊らしている子どものわき腹を,
そのおじいさんはひじで突付きました。

「そうですか。子どもは食べたくてならんでいたん
ですけれど・・・。」と言うのが母親は精一杯でした。
握り締めていた200円をポケットに押し込んで,
大好きなわらびもちを諦めました。

母親は思いました。

障害とは悲しいかな。
子どもは自分に投げかけられた言葉も,
何をされたかも全く理解できず,
おじいさんに無邪気な笑みをかけていました。

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