インスマス年代記(上・下) (ホラー:アンソロジー)
(スティーヴァン・ジョーンズ:編 / 学研M文庫 2001)
H・P・ラヴクラフトが創造し、後続の作家たちが現代も連綿と書き継いでいる暗黒の神話『クトゥルー神話』。『クトゥルー神話』とラヴクラフトに関するアンソロジーはいくつも編纂されています。「ラヴクラフトの遺産」(創元推理文庫)、「クトゥルー怪異録」(学研M文庫 未読)、「秘神界」(創元推理文庫 未読)など、いろいろありますが、この「インスマス年代記」は、ラヴクラフトの代表作のひとつ「インスマスを覆う影」を原典とし、そこに登場するさびれた港町インスマスと不気味な住民、沖合いに潜む“深きものども”にまつわる物語に絞って編まれた異色のアンソロジーと言えます。
原典「インスマスを覆う影」を含む17編は、書下ろしと再録が交じっていますが、原典の時代の直後から第二次大戦中、80年代〜90年代、そして現代(近未来?)まで時系列順に並べられています。
作者は、初めて読む人から、R・キャンベル、B・ステイブルフォード、キム・ニューマン、B・ラムレイといった大物まで揃っていますが、その分、玉石混交という感じ。(余談ですが、ジャック・ヨーヴィルとキム・ニューマンって、同一人物のペンネームじゃありませんでしたっけ? 作者紹介ではまったくの別人として扱われていますが)
原典の設定と雰囲気をそのまま生かして描いた「暗礁の彼方へ」(ベイザル・カパー)、チャンドラーばりのハードボイルドとクトゥルー神話を融合させた「大物」(ジャック・ヨーヴィル)、巨匠のデビュー作でもある「ハイ・ストリートの教会」(ラムジイ・キャンベル)、アイルランド神話をクトゥルー神話と結びつけた「ダオイネ・ドムハイン」(ピーター・トレマイン)、正統派オカルト探偵もの「プリスクスの墓」(ブライアン・ムーニイ)、インスマウスの住民の異変を遺伝学的に解釈しようとする「インスマスの遺産」(B・ステイブルフォード)、東欧の民主化革命を背景にした異色作「帰郷」(ニコラス・ロイル」、現代らしくパソコンネットによって蔓延する恐怖「ディープネット」(デイヴィッド・ラングフォード)、「タイタス・クロウ」の作者が重厚に描く本格編「ダゴンの鐘」(ブライアン・ラムレイ)、ポピュラーな伝説の怪物と“深きものども”が対決する「世界の終わり」(ニール・ゲイマン)など。
<収録作品と作者>上巻:「インスマスを覆う影」(H・P・ラヴクラフト)、「暗礁の彼方に」(ベイザル・カパー)、「大物」(ジャック・ヨーヴィル)、「インスマスに帰る」(ガイ・N・スミス)、「横断」(エイドリアン・コール)、「長靴」(D・F・ルーイス)、「ハイ・ストリートの教会」(ラムジイ・キャンベル)、「インスマスの黄金」(デイヴィッド・サットン)
下巻:「ダオイネ・ドムハイン」(ピーター・トレマイン)、「三時十五分前」(キム・ニューマン)、「プリスクスの墓」(ブライアン・ムーニイ)、「インスマスの遺産」(ブライアン・ステイブルフォード)、「帰郷」(ニコラス・ロイル)、「ディープネット」(デイヴィッド・ラングフォード)、「海を見る」(マイケル・マーシャル・スミス)、「ダゴンの鐘」(ブライアン・ラムレイ)、「世界の終わり」(ニール・ゲイマン)
オススメ度:☆☆☆
2005.5.8
探偵小説の世紀(上・下) (ミステリ:アンソロジー)
(G・K・チェスタトン:編 / 創元推理文庫 2001)
ブラウン神父ものの短篇で有名な英国ミステリ黄金時代の重鎮、G・K・チェスタトンが編纂した、20世紀前半(第二次大戦前)の短篇ミステリの精髄を集めた大アンソロジーです。1983〜5年に初版が出たきりになっていましたが(実は当時は読書傾向がミステリから離れていたので、チェックしていませんでした)、2001年の復刊フェアでめでたく入手できました。創元さんありがとう。
とにかく、代表作以外はめったに読めない作者の作品が並んでいたり(E・C・ベントリー、E・フィルポッツ、E・D・ビガーズ、E・ウォーレス、C・ブッシュ、トマス・バークといったラインアップを見たら、マニアならよだれがたれてくるでしょ?(^^;)、A・B・C・ホークス、ウィルスン警視、フィリップ・トレント、ソーンダイク博士、フォーチュン氏など、懐かしの名探偵たちが顔を揃えます。
内容も、古き懐かしき時代(“良き”時代というと語弊がありますが)を代表するものばかりで、現代ミステリによく見られるような幼児虐待も女性だけを狙うサイコキラーも狂信的なカルト教団もありません。その代わり、怪しげな東洋人やアフリカの秘密結社や幽霊騒ぎや古代遺跡と強盗団や怪盗対名探偵という、大時代なわくわくするネタがてんこ盛りです。
人情味のある登場人物(ヘンリー・ウッド夫人「エイブル・クルー」。これはいいですよ〜)に、読んでいる方が赤面してしまうような臆面のないラブロマンス(ベロック・ローンズ「エルキュールの功績」、F・A・クマー「豚の足」、E・D・ビガーズ「一ドル銀貨を追え」など)がからむのも、この時代ならではでしょう。
もちろん、作者もそれほどひねくれていませんから、伏線が見え見えだったり展開があっさりと読めてしまったりという点はありますが、それだけ緊張せず安心して読めるというものです(笑)。
全部で34編の楽しさが詰まっています。現代ミステリに疲れた(飽きた)方、気分転換にどこからでもどうぞ。
<収録作品と作者>上巻:「ジグソー・パズル」(レナード・R・グリブル)、「大強盗団」(E・フィリップス・オッペンハイム)、「アズテカ族の髑髏」(ギャヴィン・ホルト)、「鉄のパイナップル」(イーデン・フィルポッツ)、「真珠のロープ」(H・ド・ヴィア・スタクプール)、「読心術合戦」(エドガー・ウォーレス)、「8:45列車内の死」(フランク・キング)、「根気づよい家捜し人」(C・E・ベックホファー・ロバーツ)、「くずかご」(アラン・メルヴィル)、「死の舞踊」(ジョージ・グッドチャイルド)、「犯罪学講義」(G・D・H&M・コール)、「無抵抗だった大佐」(E・C・ベントリー)、「剣によって」(セルウィン・ジェプスン)、「無用の殺人」(ミルウォード・ケネディ)、「ハムプステッド街殺人事件」(クリストファー・ブッシュ)、「エルキュールの功績」(ベロック・ローンズ)、「みずうみ」(W・F・ハーヴェイ)、「極秘捜査」(G・R・マーロック)、「真紅の糸」(J・J・ベル)、「金色の小鬼」(トマス・バーク)
下巻:「三つの鍵」(ヘンリー・ウエイド)、「遺伝」(アントニイ・マースデン)、「青年医師」(H・C・ベイリー)、「豚の足」(F・A・クマー)、「一ドル銀貨を追え」(アール・デア・ビガーズ)、「ミス・ヒンチ」(H・S・ハリスン)、「封印された家」(ハルバート・フットナー)、「強い兄ジョン」(ハーバート・ショー)、「障壁の向こうから」(J・S・フレッチャー)、「カステルヴェトゥリを殺したのは誰か」(ギルバート・フランコウ)、「白い足跡の謎」(R・オースチン・フリーマン)、「偽痣」(J・D・ベリズフォード)、「中の十二」(ネリー・トム=ギャロン&コールダー・ウィルスン)、「エイブル・クルー」(ヘンリー・ウッド夫人)
オススメ度:☆☆☆☆
2005.5.11
M・R・ジェイムズ怪談全集2 (怪奇)
(M・R・ジェイムズ / 創元推理文庫 2001)
先日読んだ「M・R・ジェイムズ怪談全集1」の続き。英国伝統の怪奇小説の巨匠ジェイムズの後期の作品を集めたもので、本邦初訳の作品も5篇含まれています。第1巻と合わせて読めば、ほぼ全作品が網羅できます(他にファンタジー作品「五つの壺」がハヤカワ文庫FTから出ていますが、絶版)。
久しぶりに読んだ「ポインター氏の日記帳」のクライマックスにはわかっていてもぞくりとさせられましたし、禁忌の遺物に手を出した男の悲劇「猟奇への戒め」、黒魔術を扱った「ホイットミンスター寺院の僧房」と「フェンスタントンの魔女」(後者は初読み)、短いけれども圧倒的に不気味な余韻を残す「鼠」、禁断の土地に足を踏み入れた生意気な不良学生を襲う「むせび泣く泉」、ドールハウスをテーマにした怪談「呪われた人形の家」など21篇。
<収録作品>「ホイットミンスター寺院の僧房」、「ポインター氏の日記帳」、「寺院史夜話」、「失踪綺譚」、「二人の医師」、「呪われた人形の家」、「おかしな祈祷書」、「隣の境界標」、「丘からの眺め」、「猟奇への戒め」、「一夕の団欒」、「ある男がお墓のそばに住んでいました」、「鼠」、「真夜中の校庭」、「むせび泣く泉」、「私が書こうと思っている話」、「小窓から覗く」、「死人を招く――大晦日の怪談」、「無生物の殺意」、「フェンスタントンの魔女」、「暗合の糸」、「キングズ・カレッジ礼拝堂の一夜」
オススメ度:☆☆☆
2005.5.13
弟切草 (ホラー)
(長坂 秀佳 / 角川ホラー文庫 1999)
世界初(?)のサウンドノベル・ゲーム「弟切草」の小説化。ゲームでもシナリオを手がけた長坂さんがご自分で書き下ろしています。
さて、ゲームの「弟切草」をご存じない方のために、以前に某サイト(現在は休止中)に投稿したゲームレビューを再掲します。
「オトギリソウ・・・
ケルトの妖精物語などにも、良く出てくる草花です。ノボロギクだのサクラソウだのブルーベルだのと一緒に。
何でも、妖精の魔力から身を護ってくれる効果があるとか。
なので、きっと漢字で書いてもロマンチックでほんわかとしたイメージの字なんだろうな、と勝手に思っていました。例えば、『乙霧草』とか『音切草』とか・・・。
それがまさか、『弟を切る草』だなんて!!!
で、ここからが本題です。ゲームの『弟切草』。
『サウンドノベル』という新しい(あんまり大々的には流行らなかったけど)ジャンルを切り拓いた、記念碑的な作品。
SFC版が初めて出たのが92年で、その時買って、相当にハマリました。
で、昨年、新シナリオを追加した『蘇生篇』がPS版として出たので、こちらも買ってみたわけです。
中身はというと、絵と効果音と音楽が付いた紙芝居的な小説に、アドベンチャーゲームの要素が加わったものとでも言えばいいのでしょうか。ひと昔前に流行った『ゲームブック』のTVゲーム版。
主人公(名前はデフォルトが『公平』ですが、自由に変えられます)が、GFの奈美(残念ながらこちらは名前変更できない。くやしいっ!←おい)とドライブの帰りに事故に遭い、怪しげな屋敷に迷い込みます。それが発端で、プレイヤーはシーン毎に次々に出てくる選択肢を選びながら、ストーリーを進めていくことになります。
どの選択肢を選んでも、ストーリーのおおまかな流れは決まっていて、「事故」→「落雷」→「屋敷を見つける」→「2階のミイラ」→「弟切草の花言葉」→「電話」→「台所」→「悲鳴」→「風呂場」→「背比べの跡」・・・といったキーポイントを通りながら(選択肢によってシチュエーションは微妙に違う)、話はEDに向かって突き進んでいきます。
そして、1回EDを体験し、それをセーブすると、今度は新しい選択肢が加わり、EDも増えていきます。ちなみに、初めてプレイした時にたどりつくEDは5種類しかありませんが、2回、3回とプレイし続けるにつれ、EDの数も増えてきます。更に、1度体験したEDにも先に続くストーリーが加わったりして、まさに千変万化。いったんハマったら、なかなか抜け出せません。
ある程度のEDをこなすと、ピンクのしおりが出て来て、ちょっぴりエッチいストーリーになるのも◎(おい)。
さらにPS版ではZAPシステムといって、話の視点を主人公から奈美に切り替えることもできるようになっていて、これがまた、おいしい(笑)です。特にシャワーシーンとか・・・(こら)。
1回のプレイが(読む早さによって違いますが)1時間〜1時間半で済むのも手ごろで良いと思います。ま、全部の分岐を記録しようなんてばかなことを考えると(それは自分だ)、時間かかりますけど。
たぶん、人によって好き嫌いが分かれるゲームだと思いますが、いちばんの楽しみ方は・・・。
深夜(2時前後がおすすめ)、家中の灯りを消して真っ暗な部屋でひとり、ヘッドホンをつけてプレイすると、最高です。ううう、怖いよぉ・・・。
おすすめな人:ホラー小説が好きな人、ゲームブックにハマったことがある人
おすすめしない人:字を読むのが面倒な人、夜ひとりでトイレに行けない人」
さて、この小説版「弟切草」は、PS版「弟切草・蘇生編」をベースに、ZAPシステムを最大限に活用して、公平と奈美の視点を交互に繰り返しながら、迷い込んだ洋館での怪しい出来事を描いています。
また、ゲームにはなかった設定がいくつかなされています。
公平はゲームデザイナーで、自分が企画したゲーム「弟切草」が大ヒットして飛ぶ鳥の勢いですが、実はそのアイディアは元の恋人から盗んだものでした。元恋人の明美は1年前に自殺を遂げています。一方、奈美も過去に、父親ほども歳の離れた大学教授・有栖川と不倫関係にありましたが、1年前に山荘で有栖川と過ごした5日間の記憶が空白になっています。有栖川は崖から転落した死体となって発見されており、奈美は自分が殺したのではないかと怯えています。
もちろん文体はゲームとそっくりで、意図的にゲームの中で使われた言い回しが効果的に使われ、すいすい読み進めていけます。何十回となく、いやへたをすればSFC版とPS版をあわせて100回以上読み返しているわけですから(笑)。
ゲームをプレイしたことがなくても楽しめますし、プレイ経験があればますます楽しめます。ラストが少し弱い気がしますが、もしかして続篇狙いでしょうか。
オススメ度:☆☆☆☆
2005.6.2
塔のなかの姫君 (SF)
(アン・マキャフリイ / ハヤカワ文庫SF 1995)
『パーンの竜騎士』シリーズなどで知られるマキャフリイの短編集。実はこの短編集が彼女の日本初紹介です、たぶん。なのに、なぜ今ごろ読んでいるんだろう(汗)。
でも、もしかすると、マキャフリイの長篇やシリーズ作品をいくつも読んでから、この作品集に取りかかる方が楽しめるのかも知れません。一方、これからマキャフリイを読んでみようという人にも、格好の入門書になるのではないかと思います。なぜかといえば、この作品集にはマキャフリイのエッセンスが凝縮されているから。後の長篇シリーズの原型となった作品や、シリーズのサイドストーリーも、いくつも収められています。
『九星系連盟シリーズ』の原型で、ヒロインのローワンとダミアがそれぞれ主人公となっている「塔のなかの姫君」(彼女の処女作でもあります)と「精神の邂逅」、『キャテン』シリーズの発端のエピソードでもある「バレヴィの茨」、『パーン』の1エピソード「最年少のドラゴンボーイ」(本シリーズの邦訳前だったため、訳語が『パーン』での専門語化していないのが新鮮です。「感合する」じゃなくて「印象づける」なんですから)、『歌う船』の主人公ヘルヴァの後日談「蜜月旅行」などが、シリーズに関連する諸作品。独立した短篇としては、海洋惑星を舞台としたミステリ風味の「ウェラデイの天気」(どんでん返しに次ぐどんでん返しが続きますが、伏線から流れが見え見えで、予想通りになるのがかえって楽しいです)、超能力者が超能力を持つ犯罪者を追跡するドラマ「腐ったりんご」、同じく超能力のある少年の悲哀を描く「目つけ役」と「ちゃんとしたサンタクロース」、マキャフリイの独壇場であるけなげに自立する女性を描く「娘」と「鈍い太鼓」など。
<収録作品>「塔のなかの姫君」、「精神の邂逅」、「娘」、「鈍い太鼓」、「取り替え子」、「ウェラディの天気」、「バレヴィの茨」、「未知の海から来た馬」、「犬声大合唱」、「目つけ役」、「ちゃんとしたサンタクロース」、「最年少のドラゴンボーイ」、「腐ったりんご」、「蜜月旅行」
オススメ度:☆☆☆☆
2005.6.4
ノパロールの地下霊廟 (SF)
(ウィリアム・フォルツ&クラーク・ダールトン / ハヤカワ文庫SF 2005)
“ペリー・ローダン・シリーズ”の312巻。昨年までは6月(と2月)は刊行がない月だったのですが、今年から毎月刊行になりました。こうなったら毎週刊行に(無理です)。
今回はローダン版「火星の交換頭脳」です(違いますか。でもイメージがかぶってるんですけど(^^;)
前巻で陰謀により、脳だけの姿になって未知の異銀河へ飛ばされてしまったローダン。ナウパウム銀河と呼ばれるそこでは、頭脳の交換が日常的に行われていました。惑星ヤアンツェルの科学者ドインシュトに買われたローダン(の脳)は、補助種族で大白猿(だから火星シリーズ)にそっくりなボルディン族のひとりに移植されてしまいます。
ですが、ようやく自由になる身体を得たローダンは、さっそく不屈の精神で故郷へ還る手段を探し始めます。
今後は当分、故郷銀河の状況と、ローダンの苦闘が並行して描かれていくのでしょうか。
<収録作品と作者>「脳マーケット」(ウィリアム・フォルツ)、「ノパロールの地下霊廟」(クラーク・ダールトン)
オススメ度:☆☆☆
2005.6.9
戦艦陸奥 (ミステリ他)
(山田 風太郎 / 光文社文庫 2001)
「山田風太郎ミステリー傑作選」の第5巻。今度は「戦争篇」です。
とはいえ、戦記ものではなく、戦争による傷跡が色濃く刻まれたミステリから、怪奇・幻想・冒険ものまで幅広く収められています。
呉軍港で謎の爆沈を遂げた戦艦陸奥――その爆沈の真相を皮肉に描いた「戦艦陸奥」、パナマ運河を空襲に向かった潜水空母艦隊(これは史実です)の末路「潜艦呂号99浮上せず」、ゾルゲ事件を背景とした猟奇犯罪譚「最後の晩餐」、戦いに敗れて絶海の孤島に流れ着いた男女らの本能を赤裸々にむき出した姿を描いた「裸の島」「女の島」、小栗虫太郎やハガードの魔境冒険小説と比べても遜色ない南洋秘境冒険譚「魔島」、戦争で引き裂かれ、翻弄された男女の切ない悲喜劇「さようなら」「黒衣の聖母」、やるせなく痛切で後味の悪い長篇「太陽黒点」など。
<収録作品>「戦艦陸奥」、「潜艦呂号99浮上せず」、「最後の晩餐」、「裸の島」、「女の島」、「魔島」、「腐爛の神話」、「狂風図」、「黒衣の聖母」、「太陽黒点」
オススメ度:☆☆
2005.6.16